ヤマハ’23年型最新オフロードレーサーモデルをJNCC王者・渡辺学が徹底テストライド!!

ヤマハ’23年型最新モトクロスレーサーモデル

2021年、17年ぶりにフルモデルチェンジを果たした2ストモトクロッサー・ヤマハYZ125。それから1年後、’23モデルとしてYZ125をベースとしたクロスカントリーレーサー「YZ125X」が登場。その250版となる「YZ250X」、さらに5年ぶりにフルモデルチェンジした4ストモトクロッサー「YZ450F」。これら注目の最新レーサーモデルを世界的ライダー・渡辺学選手が徹底ライドした!!


●文:ゴーライド編集部 ●写真:長谷川徹 ●試乗&インプレッション:渡辺学

ヤマハYZ125X:低中回転での扱いやすさに徹底的にこだわり、前後サスペンションは日本仕様セッティングで登場!!

2021年のフルモデルチェンジで戦闘力を大幅に向上させた2スト・モトクロッサーYZ125。そのYZ125をベースとして、エンジンと前後サスペンションをクロスカントリーレース向けに変更したのが、この「YZ125X」だ。

【ヤマハ YZ125X】■全長2155 全幅825 全高1285 軸距1450 シート高970(各mm) 車重96kg ■水冷2ストローククランクケースリードバルブ単気筒 124cc 変速機6段 キック式 燃料タンク容量7.0L ■タイヤサイズF=80/100-21 51M R=110/100-18 64M ●価格:74万8000円

シリンダーボディ/ピストン/コンロッド/クランクケース/V-FORCE4R(カーボンリードバルブ)/チャンバーのエンジンパーツと、ハイパワー化に対応して歯幅を拡げたトランスミッションギアはYZ125と共通だが、シリンダーヘッド/排気バルブYPVS/CDIユニットはYZ125X専用パーツを開発。キャブレターも専用セッティングに変更されている。

前後サスペンションは、ガレ場/マディ/ウッズなど低中速域を多用するセクションで、しなやかな減衰感を発揮。それでいてギャップやジャンプ着地時などの高負荷にも耐え、長時間走行でもタレにくい特性を追求するなど、日本のクロスカントリーレースに最適化した専用セッティングが施されているのが大きな特徴だ。

学選手「モトクロッサーYZ125とのパワー感の違いについては、高回転はYZ125と変わらないパワーが出ていますが、そこへ至るまでの低中回転トルクが太くなっていますね。アクセルをそんなに開けなくてもトルクが粘ってくれるので、マシンは前に進んでいきます。ガレ場やウッズなどの難セクションでアクセルをジワ―っと開ける乗り方をしても、トルクが粘るおかげでエンストしにくくなっていて、それが初中級者にも扱いやすさとして感じられるのではないかと思います。

車体は相変わらず軽く、乗った感じも軽いので、長時間のクロスカントリーではライダーを助けてくれます。YZ125は大ジャンプに耐えるしっかり感=やや硬さがありましたが、YZ125Xの前後サスペンションは初期からよく動き、ギャップやワダチでスッとストロークして衝撃をしなやかに吸収してくれます。その初期の動きのよさは1G(乗車時)でも発揮されて、マシンに跨った時に車高が少し下がります。それが低重心化に貢献し、車体の取りまわしやすさになって、軽快な乗り味として感じられるんです。

コーナー進入時の倒し込みもやりやすく、ガレ場で振られてもリカバリーしやすいので、ミスが少なくなります。高回転のパワーは4スト250クラスほどではないですが、圧倒的な軽さでカバーして、クロスカントリーレースでは高い戦闘力を発揮してくれます。

YZ125Xの前後サスペンションは日本専用セッティングですが、体重70kgの僕がモトクロスコースで大ジャンプをしても、しっかりと耐えてくれました。柔らかさがありつつ、しなやかな衝撃吸収性も両立していて、IBクラスならモトクロスも戦えると思います。

エンジン/前後サスペンションともに扱える幅が広く、とくに車体の軽さは悪条件になるほどライダーを助けてくれます。初めての2ストレーサーとして、ビギナーにもおすすめできますね」

2021年に新設計されたYZ125のエンジンをベースに、排気タイミングをコントロールするYPVS(ヤマハパワーバルブシステム)/シリンダーヘッド/CDIユニットを低中回転域で扱いやすい特性に最適化。パワージェット&スロットルポジションセンサーを装備したケーヒン製PWKキャブレターは、3Dマップ制御点火を変更し、クロスカントリー用セッティングに変更されている。

外気導入はサイドカバー後方ストレート吸気となり、高回転域での伸びが向上。

[左]ダストシールとオイルシールの間にスクレーパーを追加し、耐久性を向上。減衰機構の背面バルブに微量のオイル流量にも対応するリーフスプリングを採用し、ゆっくりストロークする状況でも優れた減衰力を発揮する。[右]ガレ場やマディなどの低中速域から、ギャップやジャンプ着地時の高負荷時まで対応するリヤショック。前後ともに日本のクロスカントリーで扱いやすい専用セッティングとなっている。

リヤスプロケットはYZ125の49Tから50Tへ変更され、低速トルク向上に貢献。タイヤは前後ダンロップ製MX33を装備。

軽い車体と低回転から粘るトルクが、難セクションや悪コンディションで確実な走破力を発揮。エンデューロでライダーを助けてくれる乗り味は、ファンライドでも扱いやすい。

ヤマハ YZ450F:5年ぶりのフルモデルチェンジでさらにパワフルにより速く!!

“より速く/より軽く/より強く”なるために、5年ぶりにフルモデルチェンジした「YZ450F」。エンジン単体で1.1kg軽量化し、フレームは軽快性と安定性を両立するために新設計。ライダーと触れるボディ外装はシームレス処理が施され、ライディングポジションも一新するなど、軽量スリム化で速さと扱いやすさを向上しているのが特徴だ。

【ヤマハYZ450F】■全長2180 全幅830 全高1275 軸距1480 シート高965(各mm) 車重109kg ■水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 449cc 変速機5段 燃料タンク容量6.2L ■タイヤサイズF=80/100-21 51M R=120/80-19 63M ●価格:115万5000円

学選手「車体がスリムで軽く、スムーズにボディアクションできますね。前後サスペンションはゴツゴツ感がなく、しっかりストロークして衝撃を吸収していますが、大ジャンプの着地に耐えるしっかり感もあって安心です。

エンジンは回転上昇が軽く、パワーは“ドン”ではなくマイルドに出てくるので、かなり扱いやすくなっています。また、以前はコーナー立ち上がりで細かいアクセル操作が必要だったのですが、トラクションコントロールのおかげでアクセル一定でも路面を掘らず、素早いコーナリングが決まります。

車体の軽さとマイルドなエンジン特性で疲れにくく、マシンコントロール性の良さが速さに繋がっています。初めての450としてもおすすめの1台です!」

新設計エンジンは吸気経路を見直し、レブリミットが500rpm高まり、約5%パワーアップ。エンジン単体では1.1kgと大幅な軽量化も実現している。

クラッチスプリングをコイルから皿バネ式に変更し、750gの軽量化と小型化を実現。

倒し込みの軽快感/自然な舵角感/ラインの自由度を狙って新設計されたバイラテラルビームフレーム。

サイドカバーとタンクの隙間、メインシート下に吸気経路を新たに設けたことで、車体のスリム化も実現している。

フラット化され後方にわずかなストッパー形状を織り込んだ新作シート。ポジションも一新し、自然な姿勢が取りやすくなっている。

[左]フロントサスペンションには工具不要で圧減衰調整できる手回しアジャスターを追加。強化ダストシールを採用し、オイルにじみのリスクを低減。[右]スマホアプリで設定できるトラクションコントロールを初採用。OFFを含めた3段階で調整可能。さらに、ローンチコントロールシステムにレブリミット機能を追加。6000~1万1000rpmの間で、500rpm刻みで設定できる。

ヤマハ YZ250X:吸排気系と前後サスの設定をクロスカントリー向けに変更

「YZ250X」は、後方ストレート吸気を採用したYZ250をベースに、YPVSの全開回転数を高回転側に遅らせ、低中回転域でのレスポンスをマイルドに変更。これに合わせてキャブセッティングと3D/CDI点火マップも刷新。前後サスペンションも低速域での作動性を向上したセッティングとし、クロスカントリーに最適化した作りとなっている。

【ヤマハ YZ250X】■全長2185 全幅825 全高1285 軸距1480 シート高975(各mm) 車重104kg ■水冷2ストロークピストンリードバルブ単気筒 249cc 変速機5段 キック式 燃料タンク容量7.0L ■タイヤサイズF=80/100-21 51M R=110/100-18 64M ●価格:79万2000円

学選手「高回転のパワーはYZ250と遜色ないですが、そこまでの低中回転のトルクにさらに粘りが出ています。アクセル開け始めでもしっかりトルクが出て、パワーバンドに入る前でもエンストせず、パワーもジワっと立ち上がってきます。コーナー立ち上がりでマシンがしっかりついてきて、その時に前後サスペンションもよく動いてくれるので、マシン挙動が分かりやすく、マシンコントロールしやすい乗り味になっています。そうはいっても高回転はかなりパワフルなので、それを抑える技術と体力も必要です。ゲレンデやサンドのハイスピードなクロスカントリーを戦う中上級者に最適な仕上がりですね」

YPVSのセッティングと、ケーヒン製PWKキャブレターの3Dマップ制御点火をクロスカントリー用セッティングに変更。クラッチのフリクションプレートは耐熱性を向上している。

[左]ダストシールとオイルシールとの間にスクレーパーを追加し、耐久性を向上したフロントサスペンション。低速伸縮時の減衰感にすぐれたセッティングに変更。[右] リヤサスも減衰感にすぐれたセッティングで、クロスカントリーでの乗りやすさを重視している。

2023ヤマハYZシリーズ・その他のラインナップ

4ストクロスカントリーYZ450FX/250FX/4ストモトクロッサーYZ250F/2ストモトクロッサーYZ250/125/ミニモトYZ65/85/85LW/てPW50の2023年モデルは、新グラフィックとなって登場。また、YZ250FとYZ125にはモンスターエナジーヤマハレーシングエディション(ブラック)もラインナップされる。

発売は10月31日(YZ450F/YZ450FXは11月30日)、12月25日までの期間限定で予約受付中だ(PW50を除く)。なお、予約が生産台数を上回る場合は、受付期間中に終了となる場合もある。気になるモデルがある人は急ごう。

【ヤマハ YZ450FX】●価格:112万2000円

【ヤマハ YZ250FX】●価格:97万9000円

【ヤマハYZ250F】●価格:91万3000円(ブラックは92万4000円)

【ヤマハ YZ250】●価格:78万1000円

【ヤマハYZ125】●価格:73万7000円(ブラックは74万8000円)

【ヤマハ YZ85/85LW】●価格:56万1000円/57万2000円

【ヤマハYZ65】●価格:49万5000円

【ヤマハPW50】●価格:22万円


※本記事は“ゴーライド”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

最新の記事