現行ラインナップとして今はなくても、あの頃の憧れや、もう一度乗ってみたいという思いを叶えてくれる絶版車。数ある絶版車オフロードマシンの中から、ヤマハが誇るマウンテントレール「セロー225」を紹介する。
●文:ゴー・ライド編集部(青木タカオ) ●写真:栗田晃 ●外部リンク:レッドバロン
セローの完成度がまさに高まっていった頃の1台
’85年に初代が発売されて以来、「マウンテントレール」としてトレッキングというジャンルを確立し、35年ものロングセラーを続けたセロー。高性能/ハイスペックが求められたレーサーレプリカブーム真っ只中にデビューし、クセのない扱いやすさとベテランをも唸らせる走破性の高さで根強く人気を博してきたが、’20年式のファイナルエディションをもって、ついにその歴史に終止符を打った。
その偉大さが見直され、中古車市場もより活性化しそうな気配。もし迷っている人がいるなら「買うなら今のうちに」と言いたい。というのも、いちどオーナーとなったら手放さないのが、セローの特色だ。そういうモデルは他にもあるが、つまり「持っていて損はない」と誰もが判断するから。バイク歴が長い人ならピンと来るはずだ。複数台持ちの人のガレージを訪ねると、ずっとあるのがセローだ。「譲って」と言っても、答えはノーなのだ。どんなフィールドでも、どんな技量のライダーでも、乗って楽しめる多様性。いつでもどこでも相棒のような存在で、いくら時間が経っても、その魅力は色褪せない。
人気機種だけに中古車のタマ数は豊富。ただし価格は高値で落ち着き、今後上がることはあっても急落することはまずないだろう。なんたって35年分の中古車がある。全体を見渡したとき、初期ムードを色濃く残す’93年式も狙い目のひとつとなりそうだ。’89年にセルスターターを標準装備したセロー225は、’93年にリヤブレーキをディスク化し、リヤサスペンションをサブタンク付きにグレードアップ。車名をセロー225Wとし、リヤブレーキをドラム式とするセロー225と2本立てとしていた。
パッと見は’80年代のモデルのままだが、暗かったヘッドライトは60/55Wに大容量化されているし、アルミ製アンダーブラケットやフットレスト部にアルミ製プロテクターも採用。フロントフォークの作動性やシフトタッチが向上されたほか、前輪ブレーキのパッド材質が見直され、ボールレスだったステアリング軸もアンギュラー玉軸受けに改良されている。初期のフォルムのまま、進化が求められていた部分をしっかりと改良した年式といえよう。
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