海外での運転に必須の国際免許とは? 取得方法/期限/場所/注意点etcをバックパッカーが徹底解説
外国での移動手段といえば、電車やバス、タクシーといった公共交通機関が手軽で一般的。でも、そこにレンタルバイク/レンタカーという選択肢も加えてみると、もっと海外旅行が楽しくなりますよ。
バイクやクルマを自分で運転すれば、電車やバスの範囲や時間に縛られません。とくに、公共交通機関が発達していない地域に行ったときともなれば、行動範囲が格段に広がります。素敵な景色を見つけたら、自由に立ち止まることもできますし、なによりツーリング自体がとても楽しい!
ただし、外国で運転するには、日本で国際運転免許証を取得しておかなければなりません。そこで、バックパッカーとして世界を飛び回っていた私が、国際運転免許証の取得方法や使い方、覚えておきたい点を実体験を交えて解説します。
試験なしで意外と簡単! 国際運転免許証を取得する方法
国際運転免許証の取得自体は簡単です。手続きだけで試験はありません。運転免許記載の住所を管轄する、運転免許試験場または運転免許センター、指定警察署で下記の必要書類を提出するだけです。
- 運転免許証
- 写真(パスポート用と同じサイズで縦4.5cm横3.5cm)
- (あれば)古い国際運転免許証
- パスポートまたは渡航を証明する書類(電子媒体だったら印刷して持っていく)
- 手数料2350円
私が住んでいる愛知県の場合、運転免許試験場と運転免許センターでは申請して即日、指定警察署では休日除く、16日後に受け取れるようになっています。警察署では申請自体は来訪が必要ですが、受け取りは郵送でも可能です。そして、3か所とも申請は平日のみです。
私が2023年7月に、愛知県の平針運転免許試験場で取得したときは、申請から受け取りまでで、1.5時間ほどかかりました。
県によって発行まで何日かかるか、郵送で受け取り可能かなどが異なるので、お住いの地域の運転免許センターや警察署のホームページで確認しましょう。
いざ実践、国際運転免許証の使い方
基本的な使い方は、下記の通りです。多くの国で同じ流れでしょう。
- 旅行先でレンタルバイク/クルマ屋に行く
- 料金、日本の運転免許証、国際運転免許証、パスポートを提出する
- すべてコピーを取った後、運転免許証と国際運転免許証を返却される
- デポジット(保証金)またはパスポートを人質として預ける
- レンタル開始!
- バイク/クルマを返却。デポジットとパスポートを返してもらえる
ただし国際運転免許証は、道路交通に関する国際条約、ジュネーブ条約に加盟している国でしか使えません。2024年9月時点で、下記の日本人がよく訪問する地域を含む、113もの国や行政区が加盟しています。
- アメリカ大陸:アメリカ、カナダなど
- ヨーロッパ:イギリス、イタリア、オランダ、スペイン、チェコ、ハンガリー、オーストリア、フィンランド、フランス、ポルトガルなど
- 中近東:トルコなど
- アジア:インド、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、韓国など
- オセアニア:ニュージーランド、オーストラリアなど
- 行政区域:香港、マカオ、グアムなど
これはあくまで代表的な一部のみ。加盟国のすべては、警視庁のホームページで確認できます。ちなみに中国、台湾とベトナムは、非加盟国で、それぞれ運転に必要な手続きが異なります。たとえば台湾は、JAFで運転免許証の翻訳文を取得するだけで、運転できます。ベトナムは、現地での免許の書き換え、中国は現地試験が必要です。
ドイツはジュネーブ条約には加盟していませんが、ドイツ日本間の取り決めで、日本の運転免許証と国際運転免許があれば、現地で運転できます。
けっこうある、国際運転免許証の注意事項
国際運転免許証は、さまざまな国で使うだけあって、覚えておきたい注意事項が数多くあります。
日本の運転免許証も提出が必要
多くの国において、日本の運転免許証の提示も必要です。私はこれを知らず、ニュージーランドのレンタカー1周の旅が初日に頓挫し、急遽、長距離バスでの旅行に切り替えた経験があります。運転免許を紛失しないようにと、自宅に置いておきがちですが、現地にも持っていくようにしましょう。
現地の一時運転免許や翻訳文が必要な国もある
台湾は運転免許証の翻訳文、スリランカは現地の一時免許が必要です。これらの国では、日本の免許証と国際運転免許証だけでは運転できないので、覚えておきましょう。
上述したとおり、台湾で使える翻訳文はJAFに依頼して、入手できます。私がスリランカに行った際は、現地の運転免許センターに行って、一時運転免許を取得しました。
身分証明書にはならない
レンタルバイクを借りる際、パスポートをデポジット代わりに預けることが、少なくありません。そして、海外のホテルはチェックインのときに、パスポートを身分証明として見せます。
旅先のホテルにチェックインするとき、パスポートが手元にないので、国際運転免許証を渡そうとしたことがありますが、拒否されました。身分証明にはならないようです。
そのときは、レンタルバイク屋でもらったパスポートのコピーを見せて、チェックインできました。
日本の免許だけで運転できる地域もあるが、国際免許取得がおすすめ
じつは、ハワイやグアム、サイパン、スイスでは日本の運転免許証だけで、運転できます。運転できるとはいえ、現地の人は日本語が読めません。現地の警察官に運転免許証の提示を求められた場合、トラブルになる可能性もあるため、国際運転免許証を取得しておくと安心です。
有効期限は発行日から1年間
国際運転免許証の有効期間は、発行日から1年間です。多くの人にとって海外旅行は、多くても年に数回でしょう。旅行が決まって、久しぶりに国際運転免許証を確認したら、期限切れで失効している…ということが、私もよくあります。
日本で運転免許を取得していないと、海外でもバイク/クルマに乗れない
日本でバイクやクルマの運転免許がなければ、国際運転免許証を発行しても海外では乗れません。バイクの場合、普通自動車免許についてくる原付免許ではなく、二輪の運転免許が必要です。だだし、小型自動二輪(AT)さえあればOK。150ccだろうが1400ccだろうがなんでも乗れます。
国際運転免許証を持って海外旅行に出かけよう!
国際運転免許証の取得や使用自体は、難しくありません。ただし、国によって翻訳文が必要だったり、国際運転免許自体が使えなかったりするので、注意してくださいね。
国際運転免許証は、アジア横断やアメリカ横断など困難にチャレンジする人だけでなく「3連休で海外に行くよ」ぐらいの方も、行動範囲が格段に広がるので、持っておくとよいと思います。現地の交通ルールやマナーを守って、楽しく安全にバイク/クルマの旅を楽しんでください!
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