インド洋の涙と呼ばれるスリランカでツーリング後に高熱を出して得た教訓【海外旅行保険は提携病院に注意! etc…】
キミは国際空港の検疫で別室検査になったことはあるか!?
2023年の末から2024年の年始にかけて、私はスリランカに行きました。インドの南にある”インド洋の涙”や”東洋の真珠”といわれる自然豊かで美しい島国です。地図を見ると、たしかにインドから落ちた涙の一滴のような形をしています。
北海道の8割ぐらいの国土を持つ国で、地域により雨季・乾季が別々の時期に訪れるというおもしろい特徴があります。その気候と山がちな地形が作り出す豊かな自然と動植物は、多くの観光客を魅了します。
このスリランカ旅のテーマはツーリングとサファリ。ただ、スリランカ旅行中の私は、体調不良でベッドに横たわり、激しい頭痛と体のだるさに涙を流すことになりました。
あまりよくない体調でスリランカに出発した
2023年の末、私は仕事帰りに新幹線に飛び乗り大阪に行き、1泊したあとにスリランカに飛びました。
スリランカを選んだ理由は「以前ツアーで行ったことがある」「国際免許証が使える」のふたつです。ツアーで観光地に連れていってもらえるのも楽でいいのですが、手探りで電車やバスに乗り、自ら運転するバイクでスリランカを回りたいと思ったのです。
じつは出国時点で風邪のひき始めみたいな若干のけだるさがありました。しかし、渡航をあきらめるほどではないなと思い、念のため体温計と解熱剤のバファリンを購入してからスリランカに出発しました。
すぐに体調が回復し、ツーリングを開始した
入国まではトントン拍子で進み、一足先にスリランカに入国していた旅の相方とも無事合流。彼も体調がよくなかったみたいですが、お互い軽症で2,3日後には回復したので、予定通りヌワラエリアというお茶の産地でツーリングを楽しみました。
なお、スリランカで車やバイクを運転するには、国際運転免許証に加え現地で一時運転免許証の取得が必要です。難しそうですが、コロンボのセイロン自動車協会で、3000円ぐらいのお金(2024年1月時点)を払い国際免許を提出し手続きするだけです。試験はありません。
これが今回の相棒。日本では見られない前後ナンバープレートに異国を感じます。
動物がそこら中にいて、とてものどかです。何事もなくツーリングを楽しみ、この日を終えました。
あわない食事と厳しいスケジュールで体調不良が再発した
スリランカで数日過ごして、あることに気が付きました。それは…
「食事が口に合わない!」
スリランカは食べ物を右手で直接つかんで食べる文化のある国です。やけどしないようぬるい温度の食事が多く、さらに塩辛くてココナッツが強い味付けもいまいち口に合いません。そのため、果物やナッツ類を中心に食べており、栄養バランスの崩れを感じていました。
そんなあまりよくない食事で数日過ごした後、朝4時起きでサファリに参加しました。サファリとは自然公園のなかをジープで回り動物を観察するツアーのことで、動物の活動時間に合わせて日の出より前からスタートします。
ハードスケジュールと連日の栄養の偏りがたたったのか、サファリが終わってからだんだんと体調が悪くなりました。その後3時間のローカルバスに揺られていたら、すっかり体調不良に。旅の相方に至っては完全にダウン。私はまだそれほど重症でなかったのですが、このままでは共倒れになると判断して、一時解散となりました。
私も翌日には39℃の高熱が出てダウン。ここで海外保険会社に病院の手配を依頼しようと電話をしました。
「スリランカにいます。熱出ちゃったので、病院の手配をお願いできますか?」
「スリランカですか、提携の病院がないから自力で病院に行って治療を受けてください。領収書を提出いただければ後日清算できます。」
「あ、病院行くの自力なんですね…」
今それをするのはしんどいのと、病院の場所もよく分からないので、バファリンを飲んで様子を見ることにしました。薬が効いて楽になっている隙に、栄養と日本食を求めスリランカまで来たのに台湾まぜそば屋の麺屋はなびに行きました。
なんとか帰国し、関西国際空港の検疫で別室行きになる
乳製品や野菜、果物などできるだけ栄養のあるものをバランスよく食べつつ過ごしたためか、帰国の日には多少良くなりました。ただ、完全復活とはいきません。スリランカの帰りの空港で相方と合流。彼はすっかりよくなっていました。
それから帰国便で関西国際空港に着陸し、入国審査に進もうと歩いていたら「検疫」の文字がありました。
「もしかして、今回の旅行は検疫に行かないとダメなんじゃないのか」
「検疫ってどんなところだろう。そういえば何をしている場所かよく知らないな」
そう思って、検疫で相方とともに「私たち、熱出てました」と自己申告しました。係りの人はまさか自己申告者がでるとは思っていなかったのか、「あ、え、少し待っててください」と言いどこかに確認を取り、少し後に私たちを別室に連れていきました。
どの国から来たのか、いつ頃どのぐらい症状がでたのかを説明。
「スリランカに行きました。日本の出国時点でも少し体調悪くて。途中はよくなったんですけど、また熱が出ました。」
行った場所が南アジアだったからか蚊の感染症を疑われ、唾液を採取しマラリア、デング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱を対象に検査を受けました。検査の結果待ちの間は「もしマラリアとかだったら会社に行けないな」「家族にも心配かけてしまうな」「重症になったら嫌だな」など、自分から申告したくせにいろいろ考えました。
1時間たった後ぐらいに医者が隔離部屋に来て、いよいよ検査結果を聞く時間です。
「検査の結果、すべて陰性です。今回の検査では高熱の原因はわかりません。」
ほっと一安心しましたが、高熱の原因は不明なまま。自宅に戻り、近所の病院にも行きましたがインフルもコロナも陰性で、私も相方も過労と診断されました。ちなみに相方は無職なので、働いてないのに過労は本当によく分からない原因です。
謎の体調不良は数日後に完全に治り、いつもどおりの日常が戻ってきました。
無茶するなとはいわないが、無茶できるよう準備しよう
私はこの経験からふたつのことを学びました。
国によっては保険会社との提携病院がない
海外旅行保険には入りましたが、その内容や使い方は詳しく知りませんでした。韓国やタイなど保険会社との提携病院がある国では、保険会社に連絡すると提携病院までのタクシーや通訳の手配、病院での支払い代行をしてもらえる可能性があります。
提携病院がない国だと、病院への移動から受診、支払いまですべて自力です。健康体なら自力でなんとかできるかもしれませんが、保険を使うときは体調不良やケガをしているときが大半かと思います。
そんな中で正しく考えることは難しいので、自分が行く国に提携の病院があるかどうか、ないならどう行動するかを事前に確認することをおすすめします。
多少無茶してもいいよう、せめて食事には注意を払う
せっかく旅行に行ったら多少は無茶なスケジュールを立てると思います。私も連日数時間のバス・電車移動や日の出前の起床など、キツめのスケジュールでした。
無茶をしないで余裕を持ったスケジュールを立てようなんて、サラリーマンの短い休みで旅行をするととなると難しいとでしょう。なので、せめて栄養バランスには気を付けたほうがいいと感じました。日本からサプリメントを持っていってもいいですね。健康体でなければ旅行も楽しめません。
無茶するなら無茶できる準備を整えることが大切だと、インド洋の涙と呼ばれる美しい国で高熱に涙を流しつつ、心から実感しました。
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