[100均DIYアイテムレビュー] ダイソーの“ユニバーサルソケット”は本当に万能に使えるのか?
ひとつの工具で多くの働きをする工具というものは、いつの世でも男心をくすぐるというもの。けっきょく役に立たないものが多い中で、数々の挫折の経験をしつつも、「いや、次こそは!」とついつい手を伸ばしてしまうのも男の悲しい性(サガ)…。だけど、次は大丈夫。天下のダイソーの「ユニバーサルソケット」だっ!!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
330円の万能ソケットを買ったので試してみたい
いつ頃からだろうか? 100円ショップが100円だけではなくなってしまったのは…。工具のコーナーも例外ではなく、100円/200円/500円、ものによっては1000円を超えるものも存在したりする。
100円ショップの工具なんて、ちょっと前までは“安かろう悪かろう”以前のガラクタ同然なものも存在していて、とてもバイクの整備には使う気にはなれなかった。
その点で考えると、100円の枠に収まらず、近年の100円ショップの高級化はむしろ歓迎できるとさえ言える。だって、100円で買い物にならないものを掴まされるより、ちょっと高くてもちゃんと使える道具の方がいいですもんね。
てことで、期待を込めて買ってみたのが、ユニバーサルソケット(税込330円)。今回はこれがどれぐらい使いモノになるのか試してみたいと思います。
そもそも“ユニバーサルソケット”って何だ?
そもそも、ユニバーサルソケットとは何なのかというと、下記のとおり。
ユニバーサルソケットは、異なるサイズや形のナットやボルトに合わせて自動で形を変える工具です。内部に多数の動くピンがあり、これらがナットやボルトに圧力を受けて形を変えることで、さまざまなサイズに対応します。そのため、ひとつのソケットで多くの異なるサイズのナットやボルトを扱うことができるものです。
アップで見るとこんな感じ。ピンがびっしり詰まってる。
圧力がかかるとピンが沈み込み…
こうしてピンが沈み込むことによって、あらゆる形状のものを咥え込むという仕掛け。
つまり、ソケット内に収まればどんな形状でも回すことはできるのです。
説明書にも「ナットやフックの形状に自動で合わせてどんなネジでも簡単に閉めたり緩めたりできます」とある。いいですか?
これ、注目ですよ→「どんなネジでも」!! 対応サイズを見てみると、ミリ規格なら7ミリから19mm、インチ規格なら1/4から3/4まで対応とのこと。つまり…、
このユニバーサルソケットひとつあれば、もう他のソケットはいらないということです。
じつは惨敗した黒歴史が残っているのよ…
理論上では、あらゆるサイズのボルトやナットやフックを回してしまうユニバーサルソケット。じつは筆者は、すでにひとつ所有しているのです。
それがコチラ。以前Amazonで900円で買ったもの。「同じもの買ったんかい」とか言わないで、よく見てください。ほら全然違うんです。ピンの密度が!!!
この900円で買ったユニバーサルソケットは、ピンの密度が足りなくてネジが動いちゃって、加える力も弱いし力もかけられない、まるっきり使いモノにならなかったのです。
だけど、今回のダイソーのユニバーサルソケットは、比べるまでもなくピンの密度が全然違う。これならイケるんじゃないかと踏んでるわけですよ。
いざ勝負! 実際に使ってみよう(14ミリ)
神アイテムか、はたまたゴミか。それは使ってみれば一目瞭然。…ってことでレッツトライ!
スクーターのマフラーを止めている14mmのボルトを緩めてみます。
ちょっと押し込む力がいるけど、グイっと押し付けて、おりゃっと回してみる。
…おおっ! ちゃんと緩みました。バネの力で押し返されてしまうので、通常のソケットよりは変な力の入れ方になるけど、ボルトはちゃんと緩ませることができました。すっごい、やるじゃん!
先ほどの先輩ユニバーサルソケットは、この14ミリボルトですら回せませんでしたから、大金星!
だけど、ここで問題発生。緩めたら取り付けるよねってことで締め付けてみたところ、本締め終わったところでユニバーサルソケットが外れなくなりました。どうやら食いついてしまったようです。
ハンマーで叩けば解除できましたが、本締めで噛みついてしまうのはユニバーサルソケットの特徴なのかしらん??
大きめのナットを回してみよう(17ミリ)
お次は、アクスルシャフトの17mmのナット。
これも同じように緩め…たいのだけど、面積が大きいぶん、押し付ける力も2倍ぐらい必要です。アレ、これけっこう大変?
ちょっと(というかかなり)力が入れにくいけど、なんとか緩ませようと回そうとしたら、ズルッ。滑った~!!!
滑りました…っていうか外れました。すぐさま2回目挑戦したものの、やっぱり緩むより先にソケットが外れちゃう。これは食いつきが甘いのか、バネの力で押し返されちゃうのか、はたまた、中のピンで固定してる特性上、回そうとすると浮いてしまうのか…。
けっきょく17mmのナットはびくともせず。ついでにご覧のような傷がついてしまいました。マジかい!
自転車のナットを外してみる(15ミリ)
1回失敗すると怖くなりますね。すっかり腰が引けてますが、ちょっとだけ日和って、次はママチャリのナットを回してみました。
ナットのエッジがあるせいか、スコッと入って、力のかかりもスムースでした。これはあっさりとクリア。
締め込みもやってみたところ、これは食いつきもナシ。ナットの傷もありませんでした。
ナットやボルトの“角”が必要? 意外な弱点もあり
再びバイクに戻って、アクスルシャフト14mmのボルトを外してみたら、これはすんなり緩めることができました。だけど、外す時にやっぱり食いつきを起こしましたね。もっとも、締め付けはトルクレンチでするのが普通なので、緊急処置程度しか出番はありませんが…。
どうやら、ユニバーサルソケットには“角”が必要なようですね。それと実際に使って分かった弱点がこちら↓↓↓
サイズによっては(ほとんどがそうかもしれませんが)センターに来ません! コレ、回してみると強く感じるのですよ。もう、気持ち悪いったらありゃしない。中心点がぐるぐる動くのでうまく回せないのです。
それを考えると、せっかくエクステンションバーがついてますが、インパクトドライバーで使うのは絶対やめたほうが無難でしょうね(汗)。一瞬でナメるか傷だらけになる危険性が高いです。
深さは10ミリまで。使えないナットもある。
ユニバーサルソケットのピンの沈み込みは、最大で10ミリでした。
つまりは、オープンナットでネジが飛び出てるものには使えないということです。
仮にギリギリかかったとしても、ピンの歪みからくるホールド不足から舐める危険性が高いので、使用は避けた方がいいでしょう。
結論:やっぱり得意なのは“特殊形状”なんだね
実際使ってみたまとめとしましては、13ミリ〜15ミリのエッジがあるボルト&ナットについては、通常に近いトルクでの締め付け/緩めで使用可能。サイズが小さいものと大きいものについては、あまりおすすめできません。
また、角が丸いものに関しては、閉めたり緩めたりしてる最中でピンにかかるチカラが逃げてしまい、滑る可能性が高いです。そして、サイズが大きいものに関しては、ピンの押し戻すバネの力が強いので、押してる最中を抑えるのもちょっと一苦労です。
…というわけで、ユニバーサルソケットの結論としては、ダメじゃないけど良くもない“1勝1敗1引分け”みたいな、なんとも中途半端な結果になりましたが、やっぱりこのユニバーサルソケットの真骨頂は、ヒートンやフックといった“異形物”を回すのが得意な道具なんだよなと思いました。
実際、ヒートンやフック外しによく使いますが、指でやるより圧倒的に楽だし、あっという間に抜くことができます。取り付けるときも、途中まで手で押し込めば、そこからの締め付けも簡単にやってのけます。
非常用として持っていてもいい…かな?
いかがでしたでしょうか? “どんなものでも回せる”とあったものの、やはり構造上の得手不得手はハッキリとあるようです。
だけど、今回改めて以前買った900円のユニバーサルソケットも比べてみましたが、なんとダイソーの330円ユニバーサルソケットの方が圧勝でした!
すっごい。おめでとう!! 330円といえども侮ることなかれ。実際13mmから15mmの間だったらなかなかの奮闘っぷりだったので、価格から考えたら十分いい仕事をしたと言えます。
また、レビューこそしてませんが、インチサイズのナットやボルトにも対応できるのは助かるかもしれません。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました〜!
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