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【初心者もわかるホンダ レブルの系譜】アメリカンなかぶき者はとっつきやすい「反逆者」!

●文:[クリエイターチャンネル] 88サイクルズ@てんちょー
令和のかぶき者レブルシリーズ
かぶき者…といえば、戦国末期から江戸初期にかけて、派手な服装で世間の常識や秩序への反逆精神を貫いた伊達な集団のこと。令和の世で乱暴狼藉なんてもってのほかだけど、その反逆精神を忘れないためのバイクならあります! それがホンダのレブルシリーズだぜ!
言わずと知れたホンダのアメリカンクルーザー。いわゆるボバー系カスタムスタイルのお洒落なバイクです。特に250㏄が爆売れしてるので、今回は250㏄の歴史を中心にレブルシリーズ全体をご紹介していきます!
初代レブルとその源流になったホンダのアメリカンクルーザーたち
実はホンダにはかつて大文字の「REBEL」というバイクが存在しました。その誕生の流れから追っていくと現在のレブルのコンセプトがよく理解できるんです。
まずホンダの250㏄アメリカンクルーザーとして1980年に登場するのがCM250Tです。現代の基準から見るとネイキッド寄りだけど、当時はハンドルやシートの形状でアメリカンスタイルを演出していたんだね。
ドリームC70から続く250㏄スポーツが1977年にHAWK CB250Tとして刷新されて、その3年後に登場したのがこのバイクです。エンジンはHAWKそのままで走りもイケイケ!
そしてわずか1年後の1981年に続いて登場したのが、250T MASTERと250T LA CUSTOM。
空冷4ストローク並列2気筒233㏄のエンジンを搭載する新設計のアメリカンクルーザーでした。ちなみにMASTERとLA CUSTOMはホイールとブレーキに違いがあり、さらに翌年にはベルトドライブ化したMASTER S・Dも登場してます。名前がいちいちお洒落で雰囲気あるよね!
そして1985年にいよいよREBELが登場!
車名の「REBEL」というのは「反逆」という意味です。かぶいてるぜ! ちなみに北米ではCMX250という名前で販売されました。
250T MASTER/LACUSTOMから引き継いだ空冷4ストローク並列2気筒233㏄のエンジンを搭載しており、コンパクトクルーザーという方向性はそのまま。このエンジンは低中速からフラットなトルク特性で扱いやすく、取り回しやすい車体の大きさも相まって人気車種となります。
スタイリングは70年代のギラギラしたチョッパーカスタムの雰囲気があるよね。ティアドロップタンクが美しいぜ! このスタイリングは88年のモデルチェンジでフラットバーハンドルの仕様も追加されて、94年モデルからはマフラーが右側2本出しになるなど時代に合わせて小変更が加えられました。
モデルライフの後半である1994年には第二次アメリカンブームの中、V-TWIN MAGNAが登場してアメリカンクルーザーの売れ線はそちらに移っていくことになります。
そしてREBELは排ガス規制による影響で日本では1998年に生産終了となります。…しかし、アメリカ市場ではその後も生産が続けられていて、新型にバトンタッチする2016年まで生き残っていました! アメリカは今では排ガス規制が緩いマイペースな国なんだよね。アメリカでREBELは教習車に使われていたりもしたんだとか。
さて、残念ながら国内ではラインナップから消えたレブル。その胎動は十数年後まで待つことになります。
復活のコンパクトクルーザー レブル250
時代は進んで2011年、とあるバイクが登場します。それがホンダが新世代250㏄スポーツの在り方を模索して登場させたフルカウルシングルスポーツ、CBR250R。
搭載されたエンジンは当時のCBR1000RRとボア×ストローク比が一緒で、ショートストロークの高回転型という非常に元気のあるスポーティなエンジンでした。このエンジンがCB250F、CB250R、CRF250シリーズのベースになり、レブル250にも使われることになるんです!
当時ホンダが妙に気合い入れて作ったエンジンだなと思ったけど、これがレブルの走りにも効いてくるんだよね。
そして2017年にレブル250が満を持して登場!
国内では実に20年ぶりにレブルという名前が復活したというだけでなく、ホンダの250㏄アメリカンクルーザーとしては、V-TWIN MAGNA以来の登場という記念すべきモデルです。海外ではCMX250レブルという名前で登場しました。
レブルは中央にくびれのあるナロースタイルのフレーム形状をアイデンティティとした、フレームありきの車体設計とのこと。このくびれ、足つきの良さに貢献しているしデザインだけじゃないのがミソ。690㎜のシート高とミッドコントロールも相まって、小柄な人にとっても優しいぜ。ビギナーが乗る事も想定してか、立ちごけテストを繰り返し行ったというエピソードもさすがホンダって感じだね。
このバイクで面白いのはフロントフォークの角度とステアリングステムのパイプ角度が違うこと。フロントフォークは寝かせるんだけどステム側のパイプは寝てないという作りで、素直なハンドリングと直進安定性の両立を図っているのだとか。う~ん、ホンダらしいきめ細やかさ。
ローアンドロングな伝統的アメリカンのイメージに、低めに配置されたナローハンドルや前後16インチのファットなタイヤの主張がプラスされたスタイリングは、メーカー純正ボバースタイルといってもいいほど。
それでいて素材感を活かしたデザインだけあって、カスタムの余地を残していることもポイント。ユーザーそれぞれの好みを反映したカスタムレブルを乗り回す、令和のかぶき者スタイルはいかがかな?
大型クラスでもレブル500/1100が登場
そしてレブル250と同時に、基本フレームを共通とするレブル500も登場しました。当たり前だけど、パッと見では見分けがつかないくらい雰囲気そっくり!
海外ではCMX500 レブルと名前がついています。海外向けCBR500R、CB500F、CB500Xシリーズのエンジンをベースとした水冷4ストロークDOHC並列2気筒471㏄で46ps/8500rpmを搭載してます。そして2020年にはレブル250、Rebel 500共に現行型へモデルチェンジ!
ABS標準装備化、灯火類LED化、メーターの改良、アシストスリッパ―クラッチの搭載、前後サスペンションの設定変更などが加えられてよりフレンドリーに進化!
この時レブル250には小型ビキニカウルやフォークブーツなどを装備したS Editionも追加されています。
ちなみに発売以来レブル250は軽二輪クラス(126㏄~250㏄)で、2018年から2023年までの6年連続販売台数1位を記録する超大人気車種となっています。コンパクトクルーザーのとっつきやすさが愛されているんだね! そして2020年にはシリーズ中、初のリッター超えモデルとなるレブル1100も登場します。
2020年に海外向けとして販売開始され、2021年に国内に導入された1100版レブルで、海外ではCMX1100 レブルと名前がついています。レブルシリーズ共通のデザインは1100でも健在だね!
エンジンは水冷4ストロークSOHC4バルブ並列2気筒1082ccで87ps/7000rpmという性能。そう、このエンジンはCRF1100L アフリカツインのものをベースに低中速重視にリセッティングしたものです。なのでアフリカツイン同様にDCT(Dual Clutch Transmission)仕様もラインナップしているよ!
フレームは軽量コンパクトさとエンジンに対応した車体剛性のバランスに気を使っていて、大型モデルでもシート高は700㎜に抑えられているし、250/500と同様にフロントフォークの角度とステアリングステムのパイプ角度に違いを作ってトレール量を調整していたりととっつきやすいコンパクトクルーザーへのこだわりは1100でも随所に貫かれています。
そして2023年にはレブル1100Tも追加されました!
Tはツーリング、ツアラーの意味でフロントに大型のフェアリング、リアにはサイドボックスを装備した長距離装備仕様です。ますます選びがいのあるラインナップになってるね。
まとめ:どんどん広がるレブルの世界
先代レブルは125㏄エンジンをベースにすることでコンパクト化を達成し、とっつきやすい250㏄クラスのアメリカンクルーザーとして愛され、アメリカでは30年以上もラインナップされる定番モデルとなりました。
2017年から登場したレブル250はとっつきやすさを現代的にアップデートして、独自のストリートクルーザーカルチャーを打ち出し、日本国内でも一大ベストセラー車に躍り出ました。その世界観はレブル500やレブル1100といった大型車にも派生して選択肢はどんどん広がっています。
カスタムの余地もあるし、自己表現のツールとしても最適。どんどん広がっていくレブルの世界観にピンときた人は要チェックなバイクだぜ!
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