1970~80年代のBMWのメンテや整備にも注力。BMWの歴史と伝統を未来に継承するモトラッドミツオカ西宮
「最新こそ最良」というのは、バイクや自動車の進化の過程を見れば明らか。BMWモトラッドも、最新の電子制御技術を駆使することで、パフォーマンスと安全性能向上を高次元で両立させている。その一方で、100年を超える同社の歴史の中で過去に存在したモデルも、その時代における最良のBMWだったことも確かである。モトラッドミツオカ西宮は、そうしたクラシックモデルの整備やメンテナンスにも注力する正規ディーラーとして、OHV時代のBMWも積極的に受け入れている。
文&写真:栗田晃 ●BRAND POST提供:光岡自動車 BMW Motorrad
BMWモトラッドにおけるヘリテイジカテゴリーとは
BMWモトラッドには、Sport/M/Tour/Roadster/Heritage/Adventure/Urban Mobilityの7つのカテゴリーがあり、おのおののカテゴリーに何機種かのモデルをラインアップしている。この中でクラシカルなテイストの中にスタイリッシュな個性が光るのが、Heritage=ヘリテイジカテゴリーである。
R18やR12が属するヘリテイジカテゴリーは、レトロ/ビンテージ/クラシックと呼ばれることもあるモダンクラシックを基調としており、現行BMWの中では空冷ボクサーツインエンジンを搭載しているのが大きな特徴となっている。
ヘリテイジという単語には、伝統/遺産/継承物という意味があるが、過去を対象とするだけでなく未来に継承するという解釈も含まれている。
2010年の新規参入以来、14年間で6店舗のBMWモトラッドディーラーを展開してきたモトラッドミツオカ。運営母体となる光岡自動車には創業55年を越える実績があるが、BMWモトラッド販売店としては長い歴史があるとまではいえない。
西日本最大級の規模を誇るモトラッドミツオカ西宮にしても、オープンは2023年4月だから、ショップの認知度や存在感を高めることが重要な時期にあたる。敷地面積の広さを生かした大きなショールームには、上記7カテゴリーのニューモデルが並び、高品質中古車も数多く販売している。
そんな最新鋭ディーラーでありながら、一方で歴史的なヘリテイジモデルやクラシックモデルにも注力しているのがモトラッドミツオカ西宮である。
歴史の重みを感じさせるクラシックモデルが展示されることもあるモトラッドミツオカ西宮
1923年に初の市販モデルであるR32を発売して以降、ボクサーツインとシャフトドライブの組み合わせは、100年にわたりBMWモトラッドを象徴するメカニズムとして受け継がれてきた。
そうした長い歴史のページを飾るクラシックモデルが、モトラッドミツオカ西宮のショールームに並んでいる。これは兵庫県神戸市で「神戸ライダースクラブ」の代表を務める千石清一さんのコレクションの一部で常設展示ではないが、取材時にはR69S(1967年式)、R75/5(1972年式)、R75/6(1973年式)、R100S(1976年式)の4台が展示されていた。
千石清一さんといえば、1980~90年代にかけての鈴鹿8時間耐久ロードレースを代表するライダーのひとりで、1983年と1984年にはR80ベースのレーサーで連続出場も果たしている。
なぜ新車ディーラーに1960~70年代のクラシックモデルが展示されているのか。そこには2つの目的がある。ひとつ目は、博物館級に美しいクラシックモデルに見るべき価値があること。当時と現在では技術レベルも求められる性能も異なるが、ボクサーツインというBMWならではのアイコンが60年以上前のR69Sから連綿と受け継がれていることを目の当たりにすることで、BMWの信念と技術力の高さを心の底から理解できる。
現行モデルにしか興味のないBMWユーザーにとっては、「ずっと昔からBMWはボクサーツインだったんだ」と共感を覚えることができ、「クラシックモデルが見られるならモトラッドミツオカ西宮に行ってみよう」という動機づけにもなる。
R69Sから最新のヘリテイジモデルであるR18を順に見ることで、ボクサーツインの進化の過程を辿ることができる。ただ先述の通りこれは常設展ではないので、詳しくは同店のSNSを確認してもらいたい。
2つ目は、モトラッドミツオカ西宮では1970~80年代に製造された古いBMWモトラッドの整備やメンテナンスも積極的に行っていることをアピールする目的である。これはOHV時代のクラシックBMWを所有/愛用するオーナーにとって、より重要かつ注目すべきトピックスである。
クラシックBMWユーザーを受け入れる2つの理由
BMWモトラッドディーラーの基本的なビジネスは、新車や中古車の販売と整備を行うことである。それにもかかわらず、モトラッドミツオカ西宮が開業するはるか以前のクラシックBMWのメンテナンスを受け入れるのはなぜか。
第一の理由は、キャブレター時代の古いBMWの整備経験が豊富なベテランメカニックが在籍していることが挙げられる。同店の石本メカニックはバイク業界歴30年以上で、BMWのメカニックとしても24年のキャリアを積んできたスペシャリストである。
そうした百戦錬磨のスタッフを擁することで、他店で購入した車両や個人売買で手に入れたクラシックモデルの受け入れが可能になったと語るのは、店長の吉田さん。
「オープンしてからまだ1年半足らずなので、当店にはいわゆる“昔からのお客様”という方はいらっしゃいません。その一方で、整備経験が豊富なメカニックは1970~80年代モデルのメンテナンスや整備も得意としているので、だったら得意なジャンルを対外的にアピールして、調子が悪くて困っているライダーや、大切な愛車を長く乗り続けていきたいと考えているユーザーのサポートやお手伝いができればと考えました」(吉田さん)。
もう1点、若いメカニックへの技術継承という側面もあるという。高度に電子化された現行モデルでは、メンテナンスでも修理でも、まずはじめにスキャンツールと呼ばれる機器を接続して、車体側に記録されたエラー履歴を呼び出す作業からスタートする。
それは作業時間の短縮や正確な診断のために有効であることは事実だが、そうしたデバイスが使えないとトラブルシューティングができないとなると、それも悩ましい問題となる。必要なメンテナンスを行えば、現代の交通環境でも見劣りしないポテンシャルを発揮する1960年代末から70年代初頭のBMWモトラッドにとっては、それらを正しく扱えるメカニックの存在が不可欠。
たとえば、吸気系がフューエルインジェクションに完全移行した後にキャリアをスタートしたメカニックにとっては、キャブレターは教科書でしか見たことのないメカニズムかもしれない。
「キャブレターに限らず、若い世代のスタッフが古いBMWのメンテナンスを見る機会や学ぶチャンスは多くはありません。幸い当店には技術を伝えられるベテランメカニックがいるので、若手に技術を継承することで全体のレベルアップを図るとともに、1台でも多くのBMWのコンディションを維持できるようお手伝いしたいです」(吉田さん)
こうした取り組みをアピールすることで、さまざまなルートで車両を入手したものの、相談できるディーラーもなく困っていた車両のメンテナンスを行い、オーナーに喜ばれた事例も増えてきているそうだ。
「新車購入を検討されている方に比べれば、クラシックBMWのメンテナンスの依頼先を探しているオーナー様は少数で、ニッチかもしれません。ですがこの取り組みを着実に続けて、定着して認知度が高まれば、BMWの信頼性をアピールする点でも利点があるはずです」(吉田さん)
継続的に自社でメンテナンスや整備を行っていない車両では、過去にどのような作業を受けたか把握できない点がリスクとなる場合もある。多くのバイクショップが他店購入車両の整備に難色を示すのもそうした理由があるためだ。モトラッドミツオカ西宮でも、分別なくすべてのバイクを受け入れるというわけではない。
だが、少なくともいきなり門前払いを喰らうことはないので、メンテナンスの必要性を感じているクラシックBMWユーザーは相談してみると良いだろう。
最新のヘリテイジカテゴリーで注目されるR12の魅力と特徴
OHV時代の古きBMWのメンテナンスや整備をひとつの特徴とするモトラッドミツオカ西宮において、現行モデルのヘリテイジカテゴリーで注目を集めているのが、今春発売されたばかりのR12とR12 nineTである。
R12はクルーザー、R12 nineTはトラディショナルなヨーロピアンモデルというスタイルだが、一新されたフレームと従来のR nineTからのサスペンションセッティングの変更、最新の排気ガス規制に対応しながら堅持された唯一の空冷ボクサーツインエンジンが好評だ。
「R12は他機種からの乗り換えよりも、久しぶりにバイクを所有するリターンライダーや、大型自動二輪免許取得後初のバイクとして購入される新規のお客様が多いです。落ち着きのあるオーソドックスなデザイン、コンパクトで扱いやすい車体サイズ、ボクサーツインの鼓動感やサウンドを体感できるエンジンが魅力です」(吉田さん)
価格面を見ればG310シリーズやF900Rより高額になるものの、伝統のボクサーツイン=BMWと捉えるライダーにとっては、R12とR12 nineTは最高のエントリーモデルといえるだろう。
モトラッドミツオカ西宮では、70歳代で大型自動二輪免許を教習中で、R12 nineTを購入したユーザーもいるそうだ。そうした年代のライダーにとっては、BMWといえばボクサーツイン一択であろうし、軽い車体や足着き性の良さも大きな魅力となったことだろう。
R12シリーズには、往年のスーパーバイクレーサーレプリカR90Sを彷彿とさせるR12Sが2024年11月に発表され、2月には先行予約を開始する予定だ。
2025年下半期には、R nineTシリーズでラインナップされていたアーバン/スクランブラー/ピュアなどのような派生モデルのリリースも予定しいる。どんなモデルが加わっていくのか、今後の動きに期待したい。
モトラッドミツオカ西宮にはR12とR12 nineTの試乗車が用意されているので、現代のヘリテイジモデルが気になるというライダーは、一度体感してみると良いだろう。
また2025年にはR18シリーズ/R12シリーズ/R nineTシリーズのオーナーを対象とした“ヘリテイジミーティング”を、この春に開催予定。場所や日程、詳細情報は同店のホームページやSNSで発信されるのでチェックをお忘れなく。
※本記事は光岡自動車 BMW Motorradが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。