スポーツ×モダンクラシックの最前線【トライアンフ スピードツイン1200/RS 海外試乗】

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トライアンフ スピードツイン1200/RS

スペインのマヨルカ島で開催されたトライアンフのスピードツイン1200RSとスピードツイン1200のワールドローンチに参加。モダンクラシックファミリーの中でもっともスポーティーなスピードツイン1200は、フレーム以外のほぼすべてを刷新し、初のRSバージョンも登場した。

●文:小川勤 ●写真:トライアンフ 小川勤 ●BRAND POST提供:トライアンフ・モーターサイクルズ・ジャパン

ファッションからスポーツまで。現代のバイクライフにフィット

このバイクは只者じゃない−−。僕はマヨルカ島のリゾートホテルのエントランスに鎮座するトライアンフの「スピードツイン1200RS」に初対面したとき、まずそう思った。そして、その直後にスピードツインとしては初となるRSバージョンを好きになった。

前作の面影はある。しかし、機能を優勢した前後足まわりが異彩を放つ。フロントフォークはマルゾッキ製の倒立で、リヤの2本ショックはオーリンズ製。もちろん前後ともに減衰力&プリロードアジャスター付きの本格派だ。さらにタイヤはサイドに溝のないメッツラー製のレーステックRR K3を装着し、フロントブレーキキャリパーはブレンボ製モノブロックをラジアルマウント。ホイールもデザインからして軽そうなアルミ製を奢る。

名エンジニアであるエドワード・ターナーが手がけたトライアンフ初のスピードツインは、1937年に登場。並列2気筒498ccエンジンを搭載し、クラシックスタイルで初めて時速90マイルを記録した。単気筒エンジンが主流だった時代だけにインパクトは大きく、世界中で大ヒットした。

さらに、アスリートのように無駄を削ぎ落としたシェイプされたタンク&シート、短くなったサイレンサー、そしてニューカラーが洗練されたオーラを放つ。

足まわりだけを見たら、モダンクラシックのスタイルを想像することは難しい。これほどコストのかかった機能パーツを装着するモダンクラシックは、他のメーカーを見渡しても存在しない。

存在感のあるエンジンは1200ccで変わりはないものの、パワーを5ps向上させた105ps/7750rpmを発揮。ECUやカムシャフト、クランクシャフトを変更し、高回転型にしている。

実車に対面して、見るほどにこのパッケージを走らせることが楽しみになった。スポーティーな足まわり、270度クランクが生み出す不等間隔爆発エンジン、アップライトだけどほどよく前傾のポジション。すべてが僕の好み。絶対に楽しいに違いない。

もちろん、スポーティーな装備を持つスピードツイン1200RSだけでなく、スタンダードモデルとなる「スピードツイン1200」もビッグチェンジ。エンジンやフレームはRSと共通だが、足まわりや電子制御、ポジションを変更することで、より多くのライダーをターゲットにしているのがわかる。

またどちらのスピードツインも、さまざまな景色によく似合う、ひと目でトライアンフとわかるスタイリングが魅力。モダンでありながらオーセンティックな雰囲気があり、それでいてスポーティでダイナミックな佇まいは、多くのライダーのライフスタイルにフィットするだろう。

現代のアイデアと技術を注ぎ込んだトライアンフのモダンクラシックシリーズの中で、もっともスポーティーなモデルとなるスピードツイン1200RS(左)とスピードツイン1200。今回のモデルチェンジで、これまで以上にスポーティーに振り切った印象が強い。

スピードツイン1200RS/222万9000円
足まわりを充実させ、スポーツ性を重視。モダンクラシックでRSの名前が復活するのはスラクストン以来となる。

スピードツイン1200/184万9000〜188万4000円
RSよりもアップライトなポジションで、サスペンションもソフト。それでも他のモダンクラシックよりはるかにスポーティー。

スピードツイン1200RS&スピードツイン1200は、多くのライダーのライフスタイルにフィットするのが想像できる。美しい巨大なエンジンを自慢するように市街地を流す姿はとても優雅だし、パッセンジャーと楽しむタンデムも素敵だろう。ファッションを楽しむのもいいし、峠をリズム良く走る振る舞いはもちろん、そこからさらにアベレージを上げるのも想像に難しくない。

自由度の高いバイクだなぁと思う。マヨルカ島のリゾートの雰囲気も相まって、2台を眺めているだけで自然と気持ちが高揚する。

技術説明会でもトライアンフスタッフの気運はとても高かったし、スピードツインという車名をとても大切にしているのが伝わってきた。翌朝、ホテルのエントランスに行くと、トライアンフのスタッフもライディングギアを身につけ、走る気満々だ。みんなバイクが大好きなのだ。外に出ると何十台ものスピードツインが並び、奥の山々を朝の明るい光が輝かせていた。

排気量1200ccの水冷パラレルツインは、270度クランクを採用。不等間隔爆発が独特のトルク感や吹け上がりを実現。従来のエンジンからクランクシャフト、カムシャフト、ECUなどを変更。最高出力は100ps/7250rpmから105ps/7750rpmにアップ。より高回転型とすることでスポーツ性を高めている。

これから始まる試乗会に期待が募る瞬間。電子制御やタイヤの空気圧などの説明を受け、準備を進める。朝はまだまだ気温が低い。

RSのライディングモードは「レイン」「ロード」「スポーツ」。「スポーツ」はRSだけの装備となる。エンジンレスポンスが上がり、スロットル操作できちんと車体姿勢を作り出せるモードだ。

スタンダードのモードは「レイン」と「ロード」から選べる。トラクションコントロールやコーナリングABSも装備。

スピードツイン1200RSは想像以上にスポーティー

まずはスピードツイン1200RSで走り出す。エンジンのレスポンスがとてもいいが、早朝は路面もタイヤも冷えた状態。そして身体も緊張している。レーステックRRのグリップは、ラウンドアバウトでも心許なく、モードを確認するとスポーツだったので、すぐにロードに変更。するとエンジンのレスポンスが穏やかになり、タイヤが温まってくる感触も明確に。ワインディングに入る頃には気温も上がり、タイヤのグリップも高まってきたので、モードを再びスポーツに変更した。

サスペンションは想像以上に減衰力が効いたスポーティーな味付け。ロードモードではサスペンションのピッチングは少なめだったが、スポーツモードにするとスロットルワークでしっかりと車体姿勢を制御できるように。よくぞここまでベテラン寄りの攻めたサスペンションのセットにしたなぁと思うほどだ。

先導のペースはどんどん上がっていくが、スピードツイン1200RSはどこまでも応えてくれる。スロットル開度は大きくなり、ブレーキは深くなっていく。ライダーの荷重移動はもちろん、ブレーキやスロットル操作でレーステックRR K3のグリップを引き出す走りが可能なのだ。

ライダーの操作がタイムラグなくきちんとバイクに伝わる。それが高いスポーツ性を持っている証だ。

エンジンはしっかりと味わいたくなるような気持ちよさと、思わずヘルメットの中で笑みが溢れる速さを高いレベルでバランス。低速域を繋ぎながら素早いシフトアップをする走りも可能だし、中回転以上に引っ張る走りも可能。立ち上がりではトラクションコントロールもわかりやすく介入してくる。

このエンジンと往年のダブルクレードルフレームとのマッチングもよく、スチールフレームならではのしなやかさとライダーの操作が伝わる時の応答性の良さは格別。アルミフレームにはないコミュケーションもスピードツイン1200RSの大きな魅力だ。

バイクを降りて振り返る。分かってはいるもののクラシックなスタイルのバイクが佇んでいることに驚く。このスタイルでこれほどスポーティーな走りに満たされる日が来るとは…。ホテルのエントランスでの直感は正しかった。スピードツイン1200RSは、やはり只者ではなかったのだ。

フロントフォークはマルゾッキ製の倒立。リヤはオーリンズ製。前後ともに伸び側&圧縮側の減衰力とプリロードの調整が可能だ。「軽快すぎる、硬さがある」と感じる方は、プリロードや減衰力を弱めてみるといいだろう。タイヤは市販品としてはトップクラスのハイグリップを誇る、メッツラー製のスポルテックRR K3。

TFTメーターのサイドには、USBタイプCの電源ソケットも用意。純正アクセサリーの「My Triumph」モジュールを装着すると簡易ナビを使用できるが、その際はスマホのバッテリー消費が早くなるので、必須の装備。RSはモダンクラシックとして初のアップ&ダウンに対応するシフターも装備。高回転時は少しショックが大きく、クラッチレバーと併用した方がスムーズな時もあった。

タンクとシートはライダーのフィットする部分をスリム化。足つきを優先したシートは、背の低い僕には若干ニーグリップしにくいところもあり、走行中後ろに座り直すことが何度かあった。ただ、腰を少しずらすとフィット感が高まり、ライダーの荷重移動をしっかりと運動に結びつけてくれる。

RSとは異なる包容力を持つスタンダードモデル

最初の撮影ポイントでスタンダードのスピードツイン1200に乗り換える。跨った瞬間、サスペンションの沈み込み量の大きさが伝わってくる。ハンドルはアップライトで、ステップは前めで低め。跨ると見た目以上にRSとは雰囲気が異なり、跨った瞬間からこれから始まるワインディングが楽しくなることを予感させてくれる。

スピードツイン1200は、走り出した瞬間から和み、憩う感じ。バイクがライダーを優しく包み込む。アップライトなポジションは自然と後輪荷重を増やし、上半身をリラックさせてくれる。RSはバイク自らが『もっと鋭く曲がろう、速く駆け抜けよう!』とライダーを急かしたが、スタンダードはおおらかなバイクに身を預けライダーが操るイメージ。ライダーを急かす感じは皆無で、どちらかというとライダーに合わせてくれる感じ。この2台は見た目以上にキャラクターが異なるのだ。

よく動くサスペンションは乗り心地も抜群。タイヤはメッツラーのスポルテックM9 RRを装着しているため、それもRSよりも扱いやすいハンドリングに貢献。難しいことを考えずに走ることができ、自然とマヨルカ島の景色を楽しむ余裕も生まれる。RSはアスファルトばかりを見ていたかもしれない…とちょっと反省。スタンダードは驚くほど従順で素朴、しかし退屈さはなく、どちらかというとすぐに親密な関係を作れるイメージだ。

その直後に再びRSに試乗。僕の中のスイッチが音を立てて明確にスポーツモードに切り変わった気がした。

スタンダードの前後サスペンションはマルゾッキ製。リヤのプリロードのみ調整が可能。タイヤはメッツラー製のスポルテックM9 RR。

深いバンクに持って行きやすく、そこでの安定感が高いスタンダード。ライダーのスキルが求められるRSと異なり、スタンダードは多くのライダーを許容してくれる。RSと比較すると穏やかなキャラクターに映るが、前作のスピードツイン1200と比較するとスポーティーさを大きく向上させている。

2台を吟味して自分に合うバイクライフを送ろう!

この日は終日、RSとスタンダードを乗り比べての試乗だった。

RSは乗り込むほどに「もっとスポーティーに!」と身体が動いてしまう。いや、動かさないといけない気がするのだ。どこまで応えてくれるかはライダーのスキル次第。走り込んでフロントタイヤのエッジグリップを引き出し始めた頃、心のどこかでサーキットに行ってみたい気持ちが芽生えていた。ABSやトラクションコントロールの介入は思いのほか早かったが、こういった電子制御に頼った走りはとても今風である。

気がつけば夕方。休みながらとはいえ、試乗を開始してから8時間ほどが経過。そんな時は自然とスタンダードに手が伸びるのだ。疲労感が蓄積した皆がそんな気持ちになっていたのだと思う。常にスポーツライディングを要求してくるRSは、体力とスキル、さらに気温が下がった夕方の休憩後に走り出した際はタイヤを温める気遣いも必要だからだ。スタンダードに難しい考えは一切必要なく、どんな時も深い懐で迎えてくれる。

この2台をよくぞここまで作り分けたなぁと改めて感心する。オーナーになった際にできる経験はまるで異なるものになるだろう。ただ、じつはスピードツイン1200RSを優しいキャラクターにするのは難しい話ではない。サスペンションの調整機構を活用し、タイヤを変更するだけで完結するからだ。このあたりはディーラーに相談してみるのもいいだろう。

現代に求められるツインスポーツとは何か? その答えが、トライアンフにとってのアイコンであり、シンボルであり、アイドルであるスピードツイン1200の2台に込められていた。

左がRSで右がスタンダード。RSはスタンダードと比べるとステップ位置が後ろで高くなり、ハンドルも低め。スタンダードはとても自然なネイキッドポジション。シート高はRSが810mm、スタンダードが805mm。ただ、スタンダードは跨った時のサスペンションの沈み込み量多いため、数値以上に足つきが良く感じる。ライダーの身長は165cm、体重は68kg

左がRSで右がスタンダードのハンドルライダー。見た目にもスタンダードの方が高いのがわかる。

アクセサリーでセパハンも用意!

試乗会場にはセパレートハンドルのアクセサリー装着車も展示。ハンドルはホースや配線はそのままに装着が可能で、ポジションはスラクストンよりも狭くなって手前にくるとのこと。よりスポーティーに走りたい方はもちろん、カフェスタイルを手に入れたい方にもオススメ。他にもさまざまなアクセサリーが用意される。

スピードツイン1200RS(222万9000円)は2色を用意

バジャオレンジ/サファイヤブラック ⚫︎価格:222万9000円

サファイヤブラック ⚫︎価格:222万9000円

スピードツイン1200(184万9000円〜)は3色を用意

クリスタルホワイト/サファイヤブラック ⚫︎価格:188万4000円

アルミニウムシルバー  ⚫︎価格:184万9000円

カーニバルレッド/サファイヤブラック ⚫︎価格:188万4000円


※本記事はトライアンフ・モーターサイクルズ・ジャパンが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。