BMW R12ナインT 試乗インプレッション【完全新設計の車体で走りが激変!】
10年に渡ってBMWが育て上げてきたRナインTがついにフルモデルチェンジとも呼べるアップデートを敢行した。これまでの世界観はそのままに、よりモダンなモデルとして進化を遂げている。
●文:土山 亮 ●写真:BMWモトラッド ●BRAND POST提供:BMWモトラッド
ヘリテイジの中心選手がフルチェンジ
BMWモトラッドがRナインTを発表したのは2013年のことだった。当時、カスタムシーンとは一番縁のない存在にも思えたブランドが打ち出したRナインTは、車体や外装の構成を極力シンプルにして、自由なカスタムを前提としたコンセプトを打ち出したことで大きな話題となった。
それから10年、RナインTは規制対応や派生モデルの追加など、基本設計をキープしたまま進化。並行して世界中でRナインTを題材としたカスタムが誕生して、同車はヘリテイジシーンの中心的役割を担ってきた。
これまで分割式だったスチールチューブラーフレームは一体型へと進化。適度に剛性を高めるとともに、リヤサスの配置を大幅に変更した。従来モデルではギャップの大小を問わず、リヤからの突き上げがどうにも気になっていたが、新フレームと新型のリヤサスによってそうしたネガも一掃された。
空油冷ボクサーはまだまだ現役!
もうひとつの大きなトピックはエンジンで、従来ベースながらクラッチ操作なしでの変速が可能なシフトアシスタントプロを装備したのだ。これには現行モデルオーナーの筆者もさすがに驚いた。
今回、マラガでは様々な速度域の峠道を走ったが、そのシフトフィールは洗練されている。ギア比は従来通りゆえ、1〜2速では多少のギクシャク感もあるが、峠で多用する3〜6速のシフトフィールは回転を上げるほど自然になり、迫り来るコーナーが待ち遠しくなるほど。
また、細かい点ではあるが、筆者が長年不満を感じていた強弱2段階しかないグリップヒーターも、新型では3段階となり、冷寒時の快適性が大幅に向上。
このように、これまで現行車オーナーが感じていた不満を着実に解消しながら、BMWの最新モデルに相応しい装備を追加したRナインT。年々規制が厳格化するなか、いまだに空油冷ボクサーの豊かなトルクとサウンドを新車で楽しめる喜び。それがどれほど素晴らしいことかは、数多くの空冷・油冷モデルの終焉を見届けてきた方にこそわかっていただけるはずだ。
試乗会の最後に、空油冷エンジン開発の担当者はこう話してくれた。「空油冷ボクサーは今後やってくる新しい規制にも対応できるポテンシ
ャルを持っているんだ——」
1ピース構造になったスチールチューブラーフレーム
※本記事はBMW MOTORRADが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。