正調クラシック・トライアンフ「スピードツイン900」の意外な優しさと、溢れるお得感
水冷並列2気筒エンジンをクラシカルな外観で包み、リーズナブルな価格設定も魅力のトライアンフ「スピードツイン900」に試乗した。ストリートツインから車名は変わったが、扱いやすくフレンドリーなキャラクターと最新の装備はそのままだ。
●文:ヤングマシン編集部(田宮 徹) ●写真:真弓悟史 ●BRAND POST提供:トライアンフモーターサイクルズジャパン
押し歩きも操作感もエンジン特性も、とにかくフレンドリー
恋愛や人付き合いでも、ルックスとのギャップが話題になることはある。いわゆる「ギャップ萌え」というやつだ。英国トライアンフのスピードツイン900にも、これと同じような魅力が備わっている。
クラシカルな雰囲気とシンプルな装備から想像する乗り味は気難しさや無骨さだが、走りはじめてからこのマシンに感じるのは優しさや扱いやすさ。つまり“お得”な意外性がある。価格設定も、単色ブラックなら115万5000円と、欧州一流ブランドの排気量900ccモデルとしてはかなりリーズナブルだ。
そんなスピードツイン900は、2023年モデルとして新登場したモデルだが、これは従来のストリートツイン900が改名されたもので、実質的にはボンネビルシリーズのスタンダードモデルとして2016年に発売が開始された車種の熟成版ということになる。
重厚感のあるルックスだが、取り回しは軽く、これも意外性につながる要素。車重は217kgで、もちろん同排気量帯の運動性能を重視したスポーツモデルと比べたら重いのだが、車体がコンパクトかつ扱いやすいバーハンドルということで、フレンドリーな感触しか伝わってこない。
トルクアシストクラッチのおかげで、クラッチレバーは拍子抜けするほど軽い。FIには極低回転使用時のエンストを抑止する補正機能もあり、加えてエンジンそのものにも十分な低回転域トルクがあるため、ラフにクラッチをつないでもススッと発進できてしまう。
中回転域に美味しさが詰まっている
“スピード”を名乗るが、現代において速さやスポーツ性を求めているバイクではないことは、誰の目にも明らか。ストリートでの心地よさこそが最大のテーマだろう。これを実現するために重要なのは、バーチカルツインエンジンのパルス感やエキゾーストノート。公道のクルージングでは、この部分の味つけで気持ちよさが随分変わる。スピードツイン900は、その点においても秀逸。しばらく走っているうちに、自然と使いたい回転域が決まってきて、その範囲内ではとくに快感が包み込む。
とくに多用したくなったのは、スムーズな加速力と適度なパルス感を得やすい2500~4000rpmだ。ちなみに、5速トップギヤでの高速巡航時も、100km/hで3200rpm、120km/hだと3800rpmなので、どちらもちょうど範囲内に収まる。最大トルクの発生回転数も3800rpmで、厚みのあるトルクを活かしながら「ドゥイーン……」と車体を前に進めていくのが、ゆとりのあるオトナの走りという雰囲気でクセになる。
とはいえこのエンジン、レブリミット7500rpmの高回転域も扱いやすい。出力特性はフラットで、どこかで大きく盛り上がるとか扱いづらい谷がある印象は皆無。最高出力は65馬力で、900ccエンジンとしては控えめだが、そうは言ってもスロットルを開け続ければ公道なら十分な加速力を発揮する。ただし高回転域では、その振動や排気音から頑張りすぎている感じもある。
スピードツインという車名には合うかもしれないが、やっぱりこのバイクはゆったり乗ったときに真価を発揮すると思うのだ。ちなみに、常用したくなる回転域が低めで、なおかつフラットでコントロールしやすい出力特性ということもあり、レインモードの必要性は感じなかった。
ベーシックなパッケージに納得させられてしまう
ハンドリングも、ライダーのそんな気持ちに寄り添うような味つけ。フロント18インチ、リヤ17インチのホイール径ということもあり、ゆったりしている。車体の重さは感じないし、スリムなので自信を持って操れるが、フロントから積極的かつクイックにターンするわけではなく、バンクさせたぶんだけリヤ主体で曲がるというフィーリング。そこがまた、クラシカルなこのバイクのルックスと非常にマッチしている。
ハンドリングそのものにクセはなく、とくに何も考えずとも、バンクさせるだけで美しい弧を描くように旋回。ここでもまた、優しさや扱いやすさを感じる。前後サスペンションにはややカタさも感じたが、試乗車は走行100km以下のド新車だったので、これはもう少し距離を乗れば変わるかも。
それに、カタいと言っても極端に乗り心地を損なうようなレベルではなく、想像していたよりも少しだけ……というレベルなので、レトロな雰囲気を演出する要素としては、むしろこのほうがいいのかもしれない。
往年のトライアンフから継承する、シリンダーが垂直にそびえ立つバーチカルツインエンジンは、水冷化されてもなお美しさを放つ。たしかに装備はある程度簡素化されているが、このエンジンがあるおかげで貧相さはなく、バイクとしての存在感を十分に主張する。
古風な部分を多数備えながらも、本物のクラシックバイクみたいな乗りづらさは皆無。低中回転域を多用して走らせるのが心地よく、突出したパフォーマンスを発揮するわけではないとはいえ、高回転域まで引っ張れば力強い走りも楽しめる。
低中回転域での心地よいパルスとサウンドに包まれながらスピードツイン900に乗っていると、「そうそう、公道を走るバイクはこれでいいんだよ!」と思えてくる。スゴい装備はないけど、なんか気持ちいい。ベーシックなパッケージの中に、モーターサイクルの本質が詰まっている。
これを最初の愛車あるいは大型デビューバイクとすれば、二輪が持つ魅力をもっと理解できるはず。高性能なスポーツモデルに疲れたベテランが手にすれば、肩肘張らず再びバイクライフを心の底から満喫できるきっかけになるだろう。素朴さの裏側に優しさを持ち合わせながら、英国生まれの隠れた優等生は日本人ライダーとの出会いを待っている。
TRIUMPH SPEED TWIN 900[2023 model]
2023年モデルでスピードツイン900に改名。それまでのストリートツイン900は、ボンネビルシリーズのスタンダードモデルとして2016年に発売が開始された。2019年モデルでは、900cc水冷バーチカルツインエンジンの最高出力が55→65馬力に引き上げられ、ロードとレインのライディングモードを搭載。2021年型では、最高出力を維持したままユーロ5に適合化され、車体各部のデザインがリファインされている。
車名 | TRIUMPH SPEED TWIN 900 |
全長×全幅×全高 | 2090×785×1115mm |
軸距 | 1450mm |
最低地上高 | ── |
シート高 | 765mm |
キャスター/トレール | 25.1°/102.4mm |
装備重量 | 217kg |
エンジン型式 | 水冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ |
総排気量 | 899cc |
内径×行程 | 84.6×80mm |
圧縮比 | 11.0:1 |
最高出力 | 65ps(48kW)/7500rpm |
最大トルク | 8.16kg-m(80Nm)/3800rpm |
始動方式 | セルフスターター |
変速機 | 5段リターン |
燃料タンク容量 | 12L |
タイヤサイズ前 | 100/90-18 |
タイヤサイズ後 | 150/70 R17 |
ブレーキ前 | φ310mmディスク+4ポットキャリパー |
ブレーキ後 | φ255mmディスク+2ポットキャリパー |
価格 | 115万5000円 |
スピードツイン900のディテール 写真ギャラリー
クラシックフェア開催中!
さらに、同期間中にトライアンフ正規販売店で対象のモダンクラシック車両を購入のうえ、5画う21日に開催されるDGR(Distinguished Gentleman’s Ride)にエントリーした方の中から、抽選で6名様にDGRクロージングをプレゼントするという。
抽選で【1名様】にオリジナルクロージングセットをプレゼント(ジャケット・パンツ・ゴーグル・グローブなどから選択)
抽選で【5名様】にDGRシャツをプレゼント(Tシャツ、ロングスリーブ、スウェットなどから1枚 ※選択は不可)
詳しくは、お近くのトライアンフ正規販売店までお問い合わせください。
■DGRとは
DGR(Distinguished Gentleman’s Ride)は男性の健康サポートを目的とした、ダッパー(粋な)スタイルでバイクに乗るチャリティイベントです。トライアンフは今年、DGRのサポートを開始してから10周年となります。
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※本記事はトライアンフモーターサイクルズジャパンが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。