21インチガチオフ系アドベンチャー対決

ヤマハ テネレ700試乗インプレッション〈オンロード編〉【アフリカツインと比較対決#2】

“オフロードのヤマハ”が満を持して送り込んできたアドベンチャーツアラー「テネレ700」。その実力・真価を確かめるべく、同じ21インチのフロントタイヤを備えたクラス最強・ホンダCR1100Lアフリカツインとの試乗比較を行った。前ページのスペック比較に続き、本ページではオンロード(高速&ワインディング)テストのインプレッションをお届けする。

ヤマハ テネレ700試乗インプレッション〈オンロード編〉【アフリカツインと比較対決#2】
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【テスター:谷田貝 洋暁】ちょっと前まで初心者向けバイク雑誌の編集長だったが、決してビギナー向きではない突飛な内容、派手誌面を求めるキャラのためフリー化。だが最近はYouTuberになりつつあるとかないとか…。ちなみにレース経験などはほとんどない、フツーのツーリングライダーである。

ヤマハ テネレ700 ABS
【’20 YAMAHA Ténéré 700 ABS】●価格:126万5000円 [写真タップで拡大]
ホンダ CRF1100Lアフリカツイン
【’20 HONDA CRF1100L AFRICA TWIN/DCT】●価格:161万7000円/172万7000円 [写真タップで拡大]

21インチアドベンチャーとはいえ高速巡航性能は気になる

前ページより続く)

人気のアドベンチャー、それもオフロード性能重視の21インチホイール系アドベンチャーツアラークラスに、ヤマハが668cc並列2気筒エンジンを搭載した「テネレ700」(以下テネレ)をぶち込んできた。その真価を確かめるべく、同じく21インチ勢のホンダ CRF1100Lアフリカツイン(以下アフリカ)、しかもフロントストロークがスタンダードより45mm長い脚長の〈s〉と一緒に走らせてみることにした。

まず2台で向かったのは高速道路。やはりアドベンチャーツアラーというからには、ハイスピードクルージングの快適性はまず気になるところだ。 

両車の装備を比較しておくと、アフリカには、ETC車載器が標準装備され、50~160kmで設定可能なクルーズコントロールも搭載。タイヤに関しては2台ともチューブタイヤだが、テネレの履くピレリのスコーピオンラリーSTRは、ちょっとブロックが大きめでロードノイズが大きい。 

走り出してみればアフリカはさすがの安定感。排気量が1082ccとテネレ比で414ccも大きいのだから当たり前だが、出そうと思えば200km/hぐらいは余裕な雰囲気。車体にどっしりとした安定感もあり、気を抜いたクルージングも可能。”高速ツアラー”としての要件を十分満たしている。 

そこへ行くとテネレは、アフリカほどの安定感はなかった。もちろん700ccクラスの大型バイクとしては及第点の高速巡航性能だし、出そうと思えばMAX175km/hぐらいは出るだろう。しかし、不思議とそこまで飛ばそうと思わないのだ。アフリカにあった”高速ツアラー”的な要素が希薄というか、端的に言えばオフロードバイクのフィーリングに近い。吹けば飛びそうな250トレールみたいに神経質な運転をする必要はないが、”高速ツアラー”ほど気楽な運転はできないと言ったところ。 

防風性に関して言えば、アフリカのショートスクリーンよりも随分と効いている印象。雨の中を走ることにもなったが、短いながらも上端に設けられたリップの効用か、雨粒の当たりが少なかった。

高速巡航性能はアフリカツインの勝利!

排気量差的にみて当たり前だが、速度的にもアフリカの方が余裕があり、車体の安定感も断然高い。しかしテネレが悪いかというとそういうことではなく、アフリカの高速性能が良すぎるといったところ。蛇足だが、テネレもタンデムシート下にETC2.0の車載器を装着可能だ。

最新型は、50~160km/h対応のクルーズコントロールを装備するアフリカツイン。ロングな旅はもちろん、ちょっとした移動でも非常に使える装備だ。

ワインディングは気持ちよく走れるか?

テネレはオフロードバイクのキャラクターに近いのだろうな? そんな予想を立てながらコーナリングセクションで2台を走らせる。なんせ2台とも21インチホイールのガチオフロード系アドベンチャーである。コーナーリング性能に関してはそれほど期待していなかったのだが、アフリカツインの恐ろしいまでのワインディング性能に舌をまくことになった。 

もちろん、トラクションコントロールが付いているという安心感も多分にあるのだろうが、ハングオンよろしく腰を落として曲がるようなコーナリングもバッチリキマる。ギヤ比に関しても、リッター超えの潤沢なパワーのおかげで、2速で曲がっても、3速で曲がっても十分楽しい。走り込むうちにどんどんフロント荷重をかけてグイグイと曲がり始めたところで、「おいおいこいつは21インチのスポークホイールだぜ?」と言い聞かせてアクセルを緩めることにした。 

一方のテネレ。搭載するのはロードバイクのMT-07と同じCP2エンジン。ギヤ比をはじめとするハード面での仕様はファイナルスプロケット以外はまったく同じ。ただし低回転域での粘り強さと、中速回転域の加速感、良好な回転上昇の繋がりを目指して、左右気筒ごとに異なるFIセッティングが組み込まれているという。おかげでMT-07比では、低速からかなりパンチの効いたキャラクターになっている印象を受ける。 

だが、ことコーナリングの話をすればギヤがちょっと合わない。2速だと回転が高すぎるし、3速だとタルい。MT-07で感じた、アクセルワークに対する気持ちとギヤ比の絶妙な一体感みたいなものを期待していただけにちょっと肩透かしを食らった印象だ。だが何度かコーナリングを繰り返しているうちに「あぁ、やっぱりこの感じはオフロードバイクのそれなのだ」と合点が行った。 

車体全体の挙動もオフロードバイクのそれ。21インチのスポークホイールらしいしなやかな足まわりは、しっかり腰を落としたロード風のコーナリングよりも、リーンアウト気味のオフロードスタイルの方がしっくりくる。

ワインディングもアフリカツインに軍配!

アフリカはきちっと腰を落としたロードスポーツ的な走りができるのに対し、テネレはやはりリーンアウトポジションが走りやすい。またテネレのエンジン特性はオフロード走行メインのショート気味の設定。


●文:谷田貝洋暁 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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