
国内ではデイトナが展開しているバイク用アイテム「Mio(以下ミオ)」ブランド。用品店やWEBショップで見かけるものの、「どういった思想で作られているのか」といった製品の裏側については、あまり知らないという人もいるのでは。今回、ミオ製品を生産するマイタックデジタルテクノロジー社の台湾本社を訪れ、その開発現場を取材する機会を得た。
●文:ヤングマシン編集部(ヤマ) ●写真:編集部/マイタックデジタルテクノロジー ●外部リンク:Mio
初期段階から「ユーザビリティ」を考え設計
ドライブレコーダーやスマートモニターなどの製品で知られる、ミオ。その開発・生産を行っているのは、マイタックデジタルテクノロジー社だ。
マイタックデジタルテクノロジー社は台湾の企業であり、国内でのバイク向け製品の販売をデイトナが担っている、というカタチ。
今回はその開発現場の一部を取材する機会を得、台湾へと飛んだ。
再開発されたのだろう、区画整理されたオフィス街に位置するマイタックデジタルテクノロジー本社。ガラス張りの大きなビルだ。
まずは企業の理念や製品開発に対するアプローチを説明する、プレゼンテーションを受けた。
特に印象的だったことは、「社員同士が素直に意見をぶつけ合う」という企業文化。風通しの良い環境が、新しいアイデアや改善提案を生み出す源となっているのだという。
そして、プレゼンの中で繰り返し強調されたのが「ユーザビリティ」の重要性だ。単に高性能な製品を作るだけでなく、実際に使うユーザーがどれだけ快適に、そして直感的に操作できるかを追求して開発が行われているようだ。
プレゼンテーションの資料より。初期デザインの段階から、触り心地を考えた液晶範囲やタッチしやすいボタンの角度など、使い勝手を重視していることが分かる。
自社ラボで認証を取得、信頼性で台湾市場では受け入れられる
プレゼンテーションの後、開発が行われている研究開発施設の一部を見学できた。撮影禁止だったため細部までは紹介できないが、そこでは電波試験や落下試験、耐久試験に塩水試験など、様々なテストを行うための設備が整然と並んでいた。
これらの設備は台湾が設けている認証基準を満たすレベルであり、マイタックデジタルテクノロジー社では自社製品だけでなく、他社製品の試験まで請け負っているというのだという。
こういった施設を自社で備えているからこそ信頼性も高く、決して安くはない(台湾でも高級機種に属する)価格帯のミオシリーズが、広く受け入れられているのだろう。
研究開発施設の内部。こちらは電波試験施設。
不要なノイズが出ていないかなどを測定する、音響試験施設。
メーカー保証の範囲で壊れることがないか、スイッチ操作や端子の抜き差しの耐久テストを行う。
色温度やバランス、暗闇から晴天に移動した際のカメラ性能などもテスト。太陽や大気との関係で、緯度により色の出方が変わるそうで「同じドライブレコーダーでも、台湾向けと日本向けでは仕様が異なる」のだという。
バイクからクルマまで、広がるミオの存在感
さらに、台湾内でのミオ製品の販売現場も取材することができた。
訪れたのは、バイク用品店、ディーラー、そしてカー用品店やカーカスタマイズショップ。どの店舗でもミオの製品は主要な位置に陳列され、その人気の高さが伺えた。
特に注目すべきは、クルマ向け製品において高いシェア(50%以上)を誇っているという点だ。交通量が多く、実際に事故も少なくないという台湾。
ドラレコの映像をSNSに晒したり、それをもとに警察に訴える人もいるらしく(そしてそれをもとに警察が動くこともあるのだとか)、ドライブレコーダーやカーナビなど、ミオの技術と信頼性が受け入れられていることが分かった。
台湾のヤマハディーラー。ミオを取り扱っており、実際に取り付けるユーザーも多いという。
「日本での存在感もさらにアップさせていきたい」
マイタックデジタルテクノロジーの本社では、スティーブ・チャン社長に話を聞く機会も得られたので、台湾や日本においての今後の戦略について、直接話を聞いた。
「台湾においてクルマ向けドライブレコーダーに関しては、すでに50%以上の高いシェアを得ている。そこをさらに伸ばしていくというよりは、新しいテクノロジーを入れることなどで収益性を上げていきたいと考えている。一方バイク用に関しては、まだまだ伸びしろがありそうだ」
「同じく日本においては、バイク用もクルマ用もまだまだシェアは低い。これからそこを、いかに伸ばしていくかということを考えている」
とのこと。台湾では通勤通学の足として利用されることが多く、より趣味性の高いバイクの普及、およびそれに使用されるだろうドラレコについては、まだ伸びる余地があると考えているようだ。また
「日本市場は日本メーカーのライバルも多く、『価格だけ』『機能だけ』で勝負するのは難しいと思っている。価格と機能のバランスを取りつつ、新しいテクノロジーも積極的に取り入れていく。常に新しいことをやっているブランドなんだ、という認識を持ってもらい、そのイメージを広げていきたい」
ということだ。バイク用/クルマ用の両方で、最新テクノロジーを搭載したミオブランドによる新製品の登場を、今後も期待できそうだ。
インタビューに応じるスティーブ・チャン社長。「モーター系市場ではドライブレコーダーをコアなビジネスとしつつ、スマートテレマティクスの分野などですそ野を広げていきたい」と語る。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ドライブレコーダー)
高額モデルが多いドライブレコーダーはブラックフライデーで賢くアップデート MAXWIN バイク用 スマートモニター ドライブレコーダー Kaedear (カエディア) バイク ドライブレコーダー バイ[…]
セールは全商品が対象! この「秋の大感謝祭」は、2025年10月28日(火)までの期間限定で開催される。対象となる購入先はAKEEYO公式オンラインストア。車載ドライブレコーダー、バイク/自転車用ドラ[…]
ライダーの「不安」を解消する全方位監視性能 「Driveman DD-1000」の開発責任者は、「秋のライダーが直面する『後方の不安』と『夜間の不安』、この両方を解消したいという想いで開発した」と語っ[…]
取り付けから録画までスマートすぎるドライブレコーダー ドライブレコーダーを取り付ける際、ネックになるのが電源確保のための配線作業だ。バイクへの取り付けともなると、専門知識や工具、あるいは高めの工賃が必[…]
注目ポイント:高画質と長時間駆動のバランス 「AKEEYO AKY-710S」は、SONYのStarvis IMX335センサーを採用し、2K 55fpsや4K 28fpsでの録画に対応。142度の広[…]
最新の関連記事(デイトナ)
防風生地×ボア素材で冷たい走行風を抑えやすい構造 「DI-007FA」は、フロントに防風素材を配置し、走行時に正面から受ける風を抑える構造になっている。内側にはボア素材が使われており、空気を含んで保温[…]
ライディング後の“湿気/臭い”を手軽にケア バイクの走行後、ヘルメット内に残る汗や湿気、そして“帰宅後もほんのり気になる臭い”──そうした日常的な悩みに着目したのが、デイトナの「RE:MET(リメット[…]
ツーリング中もファッションを楽しめる、デイトナのインナーが27%オフに! 本商品の最大の魅力は、「普段着をバイクウェアにする」という新しい選択肢を提供してくれることである。従来のプロテクター入りライデ[…]
快適性とスタイルを両立するスクリーン&バイザー 長距離ツーリングの快適性を求めるライダーにとって、風防効果の高いスクリーンは必須アイテムだ。「ブラストバリアー 車種別キット(スモーク)」と「エアロバイ[…]
高額モデルが多いドライブレコーダーはブラックフライデーで賢くアップデート MAXWIN バイク用 スマートモニター ドライブレコーダー Kaedear (カエディア) バイク ドライブレコーダー バイ[…]
人気記事ランキング(全体)
最強のコスパ防寒着か? 進化した「GIGA PUFF」 まず注目したいのが、「GIGA PUFF フュージョンダウンフーディ」だ。価格は驚異の4900円。このフーディの肝は、中わたの量にある。従来製品[…]
「着る換気扇」サーキュレーターメッシュ 今回紹介するのは、2025年9月の発売からわずか2ヶ月半で累計3万枚を突破したという「サーキュレーターシリーズ」だ。最大の特長は、裏地に採用された「サーキュレー[…]
バイク置き場を有効活用できる。掛けてから移動できるリアスタンド バイクとの接点は、スイングアーム下から支える付属のL形アタッチメントか、スイングアームに取り付けたスプールに引っかける別売りのV形アダプ[…]
「天然のエアコン」が汗冷えを防ぐ 厚着をしてバイクで走り出し、休憩がてら道の駅やコンビニに入った瞬間、暖房の熱気で生じる汗の不快感。そして再び走り出した直後、その汗が冷えて体温を奪っていく不安。ライダ[…]
後輪を軸に旋回する基本通りに乗れる車体のしなやかさと従順かつ繊細なエンジン特性! 2ストロークエンジン・メーカーではなかったホンダが、’60年代に世界GP完全制覇の後に再挑戦した4ストNR500が思わ[…]
最新の投稿記事(全体)
あの興奮をもう一度! 聖地・Hakuba 47に集結せよ BMWファン、いや、全バイクファン待望のニュースが飛び込んできた! BMW Motorradは、年に一度のビッグイベント「BMW MOTORR[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
バイクいじり全般で使い勝手の良いスタンダードサイズ 自社内の多段鍛造設備で同じブランク材から鍛造するため、スタンダートサイズの全長は6角/12角/サーフェイスとも開口部5.5〜13mmは全長26mm、[…]
DRZ4シリーズが24年ぶりのフルモデルチェンジ ʼ00年に登場したDR-Z400シリーズ。オフ車の“S”が24年ぶり、モタードの“SM”が19年ぶりとなるフルチェンでDR-Z4シリーズへと進化! 早[…]
CB復権! 新型CB1000F/CB1000F SE 名車CB1300シリーズの後を継ぐHonda CBの新しいフラッグシップモデル・CB1000Fシリーズがついに正式発表となりました! CBの持つ歴[…]
- 1
- 2
















































