
春と夏のはざま、季節が移ろうこの時期こそ、バイクで走りたくなるライダーも多いことだろう。ここではツーリングスポット探しとしてはもちろん、地理や歴史が好きな方にもおすすめな書籍「全国2954峠を歩く」を紹介する。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:Amazon購入サイト
ツーリングの目的地としても楽しめる「日本の峠」たち
ツーリングの醍醐味にはいろいろあるが、バイクならではの「五感で感じる風景」や「季節の移ろい」を楽しむことも大きな魅力。
山/海/川/田園風景など、走るだけで気分爽快だ。そして峠にも、その魅力がたくさん詰まっている。
この本で紹介している峠にはいろいろある。バイクやクルマで走行できる峠なら、走る楽しみを味わえるし、徒歩で通過するような峠であればツーリングの目的地に設定して、徒歩で雄大な景色を眺めるような楽しみもできる。
内容の一例。奥深い峠の魅力について述べられている。
山間部の多いこの国には3000を超える峠が存在
日本全国に峠はおよそ「3773箇所」存在している。
本書によれば、こんなにも峠が多い理由は山の多い日本、隣町に行くためには必ず峠を越えなければならず、必然的に移動するための道として整備されてきたからだという。
多くの人々が通行しやすいように、時代とともに改良されてきているのだ。
この国に峠が多い理由や、「自然に還っていく」峠についての解説も。
本書でも紹介されている峠のひとつ「金精峠」
たとえば栃木県日光市にある「金精峠」を簡単にご紹介。こちらの峠は、絶景の中禅寺湖が見える峠だ。
峠に立つと雄大な景色が広がり、日光のランドマーク的な存在である標高2484mの男体山、その裾野には美しい中禅寺湖の景色を望むことができる。
とくに紅葉の季節は日本でも有数の美しさで、この峠を訪れる楽しみのひとつにもなっている。
こちらの「金精峠」は絶景だけではなく、峠の頂上には、石造りの男根をご神体にした金精神社があり、子孫繁栄/五穀豊穣/招福などのご利益があるとされている。
金精峠の紹介ページ。金精トンネルなど近くまでバイクで行き、ぜひ徒歩にて味わいたい峠である。
歴史に思いを馳せながら旅をしてみては
ツーリングにおいて、”峠走行”それ自体も大きな楽しみのひとつ。しかしながら、当時の人々の暮らしといった歴史に思いを馳せながら、歩いてみるのも一興だろう。
走行中に見える風景はもちろん、道の”成り立ち”に対する理解が深まって、より楽しい旅になること間違いなし! ぜひ、手に取ってみてほしい。
【全国2954峠を歩く】
「全国の峠、2954峠を訪ねた著者が記す、峠で歴史散歩を楽しむ、完全ガイドブック! 」
峠には、古代から、戦国、江戸、明治、昭和、平成まで人々の暮らしと日本の歴史が刻まれている。そんな歴史散歩の宝庫でもある峠の歩き方・楽しみ方を徹底ガイド。
ISBN:978-4–86257-3-919
価格: 1,600円+税
判型:A5版
頁数:168頁
【紹介している峠の一例】
- 吹上峠(東京都)…江戸城へ石灰を運ぶためにつくられた峠
- 右左口峠(山梨県)…信玄、家康、信長も越えた峠
- 飯干峠(宮崎県)…西郷隆盛が西南戦争で敗走した峠
- 北見峠(北海道)…近代化へ向かう明治の悲劇をはらんだ峠
- 宇津峠(山形県)…イザベラ・バードが桃源郷と呼んだ峠
- 雁坂峠(山梨県)…日本書紀に登場する神々の峠
- 神坂峠(長野県)…古墳時代の祭祀の地だった峠
- 宇津ノ谷峠(静岡県)…伊勢物語に登場する峠
- 川内峠(長崎県)…ザビエルが越えた峠 など
【著者:中川健一】
1948年、東京生まれ。峠研究家。國學院大學法学部卒業。建築・土木資材メーカーの岡部株式会社に入社し、営業として活動する。
建築技術を一から学び始め一級建築士を初めとして、国家資格及び準国家資格を取得し、文系出身の技術者としての道を歩み始める。
2008年より峠めぐりを始め、10年間で全国2954の峠を制覇した。
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