
●文:ヤングマシン編集部(山崎陸)
いつ乗ったかも定かではない、ガレージの隅で置物になっている錆びたバイク。タイヤはパンクして、エンジンもかからないし、パーツはサビサビ。「こんなバイク売れそうにないし、処分ともなればお金もかかりそう…」と頭を悩ませている方もいることでしょう。じつは、そんなバイクでも「無料で引き取ります!」という業者が数多く存在するのだ。
「そんなうまい話ある?」「後で代金請求されない?」と、疑問に思うのはごもっとも。やはり注意点はあるので、バイク無料引き取りの仕組みや、安心して依頼するための、業者選びを解説していくぞ。
ボロボロのバイクでも引き取るだけのメリットがある
一見すると「無料で引き取る」というビジネスモデルは不思議に思えるかもしれないが、業者側にもそうするだけのメリットがきちんとあるのだ。
修理して再販する
ボロボロなバイクでも、専門業者から見ると修理できる状態に映ることも少なかったりする。とくに人気が高かったりレアだったりするバイクの場合、修理コストを上回る価格で国内外に再販できるケースがあるのだ。
たとえば、スズキRGV250Γがそんな一台。1999年に販売終了しているが、2025年現在でも人気が高く、なんと約100万円で取引されることもあるぐらいなのだ。そんなバイクなら乗れる状態でなくても、引き取ったり、状態によっては買い取ってもいいと業者が考えるのも当たり前というわけ。
それに東南アジアをはじめとした海外市場では日本製バイクの需要が高く、修理したバイクを日本から輸出するビジネスが成立している。国内では人気がない車種でも、海外では人気があるケースも。どんなバイクでも、場所が変われば再度活躍する可能性を秘めているのだ!
パーツ取りに使う
修理して走行可能にするケースもあれば、エンジンの一部やブレーキなど使える部品を中古パーツとして確保・販売するケースもある。とくに人気が高く、需要の多い車種ともなれば、高値で取引されることもあり、業者にとって無視できない収入源となっているのだ。
金属ゴミとして売る
あんまりにもボロボロで、どの部品も使用できないとしても、バイクに使われているアルミニウム、鉄、銅などの金属には価値がある。これらを分別して、資源回収業者に売却すれば利益を得ることができるのだ。
たとえば、鉄を回収業者に持っていくと数十円/kgの値が付く。70kgの原付スクーターの半分が鉄とざっくり仮定すると1000円程度の儲けにはなる。パーツ取りを終わらせて、原形がない悲しい状態のバイクとなったとしても、まったくお金にならないということはないのだ。
怪しい業者に騙されないためのチェックポイント
無料引き取りのシステムは理解できたら、次は安心して依頼できる業者を見極めるポイントを知っておこう。
本当にすべて無料か確認する
中古バイクの公正で公平な流通の促進を目指している一般社団法人、中古二輪自動車流通協会は「不用品の回収業者にバイクを渡すのは慎重に検討してください」と警告を出している。
どういうことかというと、無料引き取りをうたっていても、実際には「レッカー代」や「手数料」などの名目で費用を請求する業者がいるのだ。事前に契約書や見積書を取り交わし、後から追加費用を請求されることがないようにすることも、とても効果的だ。
廃車も依頼する場合は廃車証明書をもらう
バイクを処分するともなると、適切な廃車手続きが必要になる。引き取り業者に廃車手続きも依頼する場合は、きちんと手続きが完了したことを証明する「廃車証明書」をもらうようにしよう。手続きが不十分だと、自動車税の支払い義務が残ったままになり、納税通知書が元オーナーに届いてしまうといったトラブルにも遭いかねないからだ。
実績と口コミをチェックする
信頼できる業者かどうかを判断するために、その業者の実績やこれまで顧客との間にどんなトラブルがあったかを確認しておこう。SNSやGoogleMapの口コミも意外と参考になる。
迷ったら、全軽自協が推奨する業者を選ぶ
業界団体の全国軽自動車協会連合会は、ホームページで廃棄二輪車取扱店を公開している。これは、バイクのリユースとリサイクル業務をしている専門業者の名簿だ。これらの業者なら、全軽自協の審査を通過しているため安心して廃棄を依頼できる。
問題が起きたとしても、連合会が相談にのってくれる場合も多い。近隣地域の廃棄二輪車取扱店を名簿から確認し、そこから廃棄依頼をする業者を選ぶと安心だ。
引き取ってもらう前に、バイクもチェック!
引き取り希望のバイク自体にも、チェックしておきたいポイントが2つある。
特殊なケースは引き取りを断られることも
水没車や火災にあったバイクの場合、状態によっては無料引き取りを断られることも。修理が困難かつ、パーツ取りとしても価値が低くなってしまっているためだ。ただし引き取りできるかどうかは業者によって判断が変わってくる。あきらめず、いくつかの業者に連絡してみよう。
もしかしたらバイクが売れるかも?
「このボロボロのバイクに価値があるはずがない」と諦める前に、中古バイク買取店に一度相談してみよう。価値が付かないように思えても、プロの目からするとお宝かもしれない。人気車種やレアな車種などは意外と高値で買い取ってくれるぞ。
実際、前述したスズキRGV250Γともなれば「不動車でも数万円で買い取り!」とホームページで公表している業者もあるぐらいだ。多くの買取店では無料で出張査定を行っているので、ダメ元で相談してみよう。
トラブルを避けて、愛車と上手にお別れしよう!
バイクの無料引き取りサービスは、使わなくなったバイクを手軽に処分できる便利な選択肢だ。信頼できる業者を選んで、嫌な思いをすることなくバイクとお別れしよう。たとえ10数年乗っていなくても、ボロボロになっていたとしても、そこにはたくさんの思い出が詰まっているはず。気持ちよく、愛車を送り出していこう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
6999ドルで入手したバイク「VOGER」、ハーレーよりでっかい箱で到着! タンクの中が明るいぞ! 彼女を乗せたらどこに足を置けばいいんだ? ヘッドカバーがプラスチック?! アメリカの人気YouTub[…]
12億リーチの衝撃! バイクとロボットの融合 CORLEOは、2025年の大阪・関西万博で披露され、SNSでは累計約12億リーチという驚異的な注目を集めたモビリティだ。 その名の由来はラテン語で「獅子[…]
Q:雪道や凍結路は通れるの? チェーンやスタッドレスってある?? 一部の冒険好きバイク乗りと雪国の職業ライダー以外にはあまり知られていないが、バイク用のスノーチェーンやスタッドレスタイヤもある。 スタ[…]
驚愕の650ccツイン×2基搭載! 魔改造すぎる怪物「VITA」爆誕 まず会場の度肝を抜いたのが、滋賀県を拠点に世界の名だたるショーでアワードをかっさらってきた実力派「CUSTOM WORKS ZON[…]
大型バイクのカスタムはクルーザーからアドベンチャーまで 台湾から世界的なカスタムビルダーも登場したこともあって、カスタムエリアでは車種を問わずさまざまな仕様が展開されていた。「SPEED&CRAFTS[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
「一時停止違反」に、なる!/ならない!の境界線は? 警察庁は、毎年の交通違反の取り締まり状況を公開しています。 最新となる「令和3年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等につい[…]
悪質な交通違反の一つ、「無免許運転」 今回は無免許運転をして捕まってしまったときに、軽微な違反とはどのような違いがあるのか紹介していきます。 ■違反内容により異なる処理無免許運転の人が違反で捕まった場[…]
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
いまや攻めにも安全にも効く! かつてはABS(アンチロックブレーキシステム)といえば「安全装備」、トラクションコントロールといえば「スポーツ装備」というイメージを持っただろう。もちろん概念的にはその通[…]
「マスダンパー」って知ってる? バイクに乗っていると、エンジンや路面から細かい振動がハンドルやステップに伝わってきます。その振動を“重り”の力で抑え込むパーツが、いわゆるマスダンパー(mass dam[…]
人気記事ランキング(全体)
悪質な交通違反の一つ、「無免許運転」 今回は無免許運転をして捕まってしまったときに、軽微な違反とはどのような違いがあるのか紹介していきます。 ■違反内容により異なる処理無免許運転の人が違反で捕まった場[…]
6999ドルで入手したバイク「VOGER」、ハーレーよりでっかい箱で到着! タンクの中が明るいぞ! 彼女を乗せたらどこに足を置けばいいんだ? ヘッドカバーがプラスチック?! アメリカの人気YouTub[…]
充実してきた普通二輪クラスの輸入モデル この記事で取り上げるのは、日本に本格上陸を果たす注目の輸入ネオクラシックモデルばかりだ。それが、中国のVツインクルーザー「ベンダ ナポレオンボブ250」、英国老[…]
進化した単気筒TRエンジンは5%パワーアップの42psを発揮! トライアンフは、2026年モデルとして400シリーズの最新作×2を発表した。すでにインドで先行発表されていたカフェレーサースタイルの「ス[…]
バッテリーで発熱する「着るコタツ」で冬を快適に ワークマンの「ヒーターウエア」シリーズは、ウエア内に電熱ヒーターを内蔵した防寒アイテム。スイッチひとつで温まることから「着るコタツ」として人気が拡大し、[…]
最新の投稿記事(全体)
売上げ増大のためにあえて小型マシンを発売 ハーレーダビッドソンは1969年に経営難から株式を公開し、AMFという機械メーカーの傘下に入ったことがあります。ハーレー/AMF時代が1984年まで続いたこと[…]
250でもビッグバイクと同じレベルのクオリティを! ヤマハは1988年に250ccのアメリカンクルーザー、空冷60°VツインのXV250 Viragoをリリースした。 それは250ccの片側125cc[…]
航続距離はなんと362km! ヤマハは、2025春に開催された大阪モーターサイクルショーにて「オフロードカスタマイズコンセプト」なる謎のコンセプトモデルをサプライズ展示。従来型のWR155R(海外モデ[…]
〈1978年3月〉SR400[2H6]/500[2J3]:ロードスポーツの原点 1976年に発売したオフロードモデルのXT500のエンジンとフレームをベースに、トラディショナルなロードスポーツとして登[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転可 バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原[…]
- 1
- 2





































