
ホンダはEICMA 2024で電動過給機付きV型3気筒エンジンのプロトタイプを公開。世界中で話題を呼び、ホンダの二輪事業本部長が「すでに試乗した」と発言するなど現実味は増すばかりだ。そんな中、英国で「V3R」の商標が出願されたことがわかった。
●文:ヤングマシン編集部 ●イメージCG:SRD
V3の全開サウンドを鈴鹿で聞きたいっ!
ここ数年で最も興奮した。少なくともヤングマシン編集部はそうだった。ホンダが昨秋のミラノショーで発表した「電動過給機付きV型3気筒エンジン」である。
V3だけでも面白そうなのに、電動過給器というチートとインテリジェンスを兼備するアイテムまで投入。過去に例がなく、フィーリングが全く想像できないという意味で、こんなにも興味をそそられる内燃機関は本当に久しぶりだ。これぞファンの期待する“俺達のホンダ”だろう。
しかし現時点の情報は限られていて、出力はおろか排気量も謎……。そう、このバイクに懸念を述べるとすれば“分からなさすぎる”ことだろう。外装がないのでスポーツなのかツアラーなのか、バイクとしての方向性がそもそも不明。メカニズムに興味が薄いと“何なのコレ?”という印象で終わってしまうのではないか……。
そんなことではイカーン!! 凄い挑戦なのだから、ホンダはもっと情報発信に積極的になって欲しい……と、ここで本誌はひらめいた。このV3+電動ターボで鈴鹿8耐のエクスペリメンタル(EXP)クラスに出場というビックリ計画はどうだろう?
EXPはエンジンやフレーム、外観まで、ざっくり言えば何でもOKなプロトタイプクラス。昨年はスズキが参戦し話題になったのは記憶に新しい。ホンダV3もまだまだ開発途上と言うのならば、いっそ決勝はターボOFFの自然吸気で走らせたっていい。その代わり予選に全振りし、超ハイブーストの一発仕様でファクトリーRR-Rをストレートでブチ抜く……。そんなストーリーがホンダのホーム・鈴鹿で紡げたら、もう浪漫しかないと思うのだが?!
鈴鹿8耐EXPクラス、昨年はスズキが参戦
2024年の鈴鹿8耐ではスズキが社内チーム「CNチャレンジ」を結成してエクスペリメンタルクラスに参戦。車両はヨシムラGSX-Rの世界耐久車をベースにカーボンニュートラル燃料対応やCO2排出を削減したパーツを使用しており、総合8位という好成績を挙げた。
ベース車にはないウイングも装着。モトGPを撤退したスズキのレース復帰という話題性もあり、大きな注目を集めた。
趣味性の塊!! 2輪世界初の電動過給機+75度V3
【V3 E-COMPRESSOR[コンセプトモデル]】ホンダが約40年ぶりに手掛けるV3に、モーターでコンプレッサーを回す電動過給器を合体。4輪では電動ターボとして既に市販化されている技術だが、2輪では世界初。想定は大型バイクだが、V3の利点を活かした200㎜幅のリヤタイヤとほぼ同等の超スリムな車体もアピール点。大阪・東京・名古屋モーターサイクルショーには、この状態で出展される予定だ。
ピーキーもフラットも出力特性は自由自在
電動過給機はエンジン回転と無関係に出力特性を作り込めるのが美点で、搭載位置の自由度も高い。今後の課題はモーター用の冷却系や電気系(高電圧回路+バッテリー)の配置か。V3エンジンは75度のバンク角にポイントがありそうだ。
ホンダV3はチャンピオンの血統
NS500[1983] Freddie Spencer
英国では「V3R」の商標が提出された!!
昨秋発表された「電動過給機付きV型3気筒エンジン」は、現実味のある話としてホンダからも情報がチョイ出しされている。2025年1月28日には二輪事業の説明会が開催され、すでに走行可能な車両があることが判明しているのだ。
ホンダの二輪・パワープロダクツ事業本部長の加藤稔氏は、市販化について「内燃機関領域の新たなチャレンジと位置づけており、モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感できることを目指している。走りだけでなく、燃費、排ガスにおける高い環境性能も実現しており、量産化に向けて開発を進めていくのでご期待ください」と述べている。
これはもう市販化の明言と受け取って間違いないだろう。
さらに、質疑応答でより詳しくV3ターボの説明を求められた加藤氏は「電動ターボは先々週、熊本でテスト車に乗りました。いい出来です。ご期待下さい(笑)。具体的な排気量は言えないが、コンパクトなエンジンとコンパクトなボディで、軽量でありながら全領域で電子制御による過給ということで、とてもパワフルな仕上がりになっている。まだテスト車だが、これから目標に向かって引き続き本気で開発していく」とも発言した。
ホンダV3スポーツ登場へ機運は高まるばかりだが、さらなる情報が入ってきた。なんとホンダが英国で「V3R」という商標を出願したのだ。
もちろんこれが他のバイクやクルマを指している可能性もゼロではないが、時期的に考えればV型3気筒マシンととらえるのが自然だろう。
気になるのは「R」の文字だ。V3のエンジンレイアウトに対し、Rの文字を追加したということはスポーツモデルになると見て間違いなさそうだが、“RR”や“RR-R”ではないためレーサーレプリカのようなものと断言はできない。
とはいえ、そこは妄想たくましいヤングマシンスクープ班である。V3エンジンで鈴鹿8耐を走るというイメージを膨らませ、予想CG「RC-V3R」を制作してみた。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ホンダ [HONDA] | スクープ/未来予想)
日本仕様が出れば車名はスーパーフォアになるか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「Ninja ZX-4R」が登場し[…]
みんながCBを待っている! CB1000Fに続く400ccはあるのかないのか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「[…]
“次”が存在するのは確実! それが何かが問題だ 2018年に発売されたモンキー125以来、スーパーカブC125、CT125ハンターカブ、そしてダックス125と、立て続けにスマッシュヒットを飛ばしている[…]
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載 おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ[…]
グローバル展開では『500cc』のほうが有利になる地域も ホンダ「GB350」シリーズといえば、直近ではクラシカル要素を強化したGB350Cも新登場し、走りのフィーリングまで変えてくるこだわりっぷりが[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
CB復権! 新型CB1000F/CB1000F SE 名車CB1300シリーズの後を継ぐHonda CBの新しいフラッグシップモデル・CB1000Fシリーズがついに正式発表となりました! CBの持つ歴[…]
BMWの牙城を崩そうとドイツの開発チームと熟成をはかる! ホンダはスーパースポーツで世界を制覇、その勢いはフラッグシップで呼ばれる豪華ツアラーモデルでもリーダーを目指し、水平対向4気筒のGLゴールドウ[…]
「バケヨンカスタムご存じ?」’70年代のホンダ4発末弟はCB350Four! 1972年6月、ホンダはCB350フォアを発売した。 1969年に衝撃のデビューを果たした世界初の量産4気筒スーパースポー[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
人気記事ランキング(全体)
色褪せないヘリテイジ、進化する「Z」の系譜 017年秋の東京モーターショーで世界初公開されて以来、Z900RSは常に我々ライダーの注目の的であり続けている。その最大の魅力は、往年の名車Z1/Z2への敬[…]
排気量拡大路線から4バルブヘッド開発へ 1980年代の後半はAMGにとって重要な分岐点だった気がします。もともと、彼らはメルセデスベンツが作ったエンジンをボアアップ、強固な足回りへと改造することに終始[…]
Q:雪道や凍結路は通れるの? チェーンやスタッドレスってある?? 一部の冒険好きバイク乗りと雪国の職業ライダー以外にはあまり知られていないが、バイク用のスノーチェーンやスタッドレスタイヤもある。 スタ[…]
オンロードメインで楽しむ扱いやすいツアラーモデル いい意味で、事前の想像とは大きく異なる乗り味だったのが、油冷単気筒エンジンを搭載した軽二輪アドベンチャーのVストローム250SX。このルックスから、個[…]
「着る換気扇」サーキュレーターメッシュ 今回紹介するのは、2025年9月の発売からわずか2ヶ月半で累計3万枚を突破したという「サーキュレーターシリーズ」だ。最大の特長は、裏地に採用された「サーキュレー[…]
最新の投稿記事(全体)
ナンバー登録して公道を走れる2スト! 日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン[…]
ライバル勢を圧倒する抜群のコーナリング性能 ’80年代初頭のヤングマシン紙面には何度もRZが登場しているが、デビュー当初のRZ250の実情を知る素材としてここで選択したのは、’80年11月号に掲載した[…]
寒暖差が大きくても着替えずに対応できる! ワークマンのヒーターウエア『WindCore(ウインドコア)』シリーズは、電熱ヒーターを内蔵する防寒アイテム。別売りのバッテリー(4900円)は必要だが、もの[…]
パンアメリカのオフロード性能をユーザーに体験してもらう 2021年夏に販売開始されたパンアメリカ。ストローク量の多い前後サスペンションのおかげで、ハーレーの中で唯一ダート走行が可能なアドベンチャーカテ[…]
勝つための合理性と最新テクノロジーが辿り着いたパラレルツイン! レーシングマシンは勝つためを最優先に開発される。だから優位なテクノロジーなら躊躇せず採用する斬新で個性の集合体のように思われがち。 とこ[…]













































