![【エンジンの気筒の数でなにがちがう?】バイクの乗り味ざっくり解説[単・2・3・4・6気筒]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2025/01/number-of-cylinder_2025-Jan.jpg?v=1737526828)
バイクという乗り物を特徴づけるのは、2つの車輪でバランスを取りながら走らなければならないこと、傾けて曲がること、そしてエンジンと人間が近いことだ。いわばエンジンを懐に抱えて走るようなもの。それゆえエンジンの違いがバイクの個性の大きなウエイトを占める。本記事では単気筒、2気筒、3気筒、4気筒、6気筒をフィーリング主体で解説していきたい。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
振動、路面を蹴飛ばす感じ、エンジンで走らせる気持ちよさ
バイクはエンジンを懐に抱えて走るような乗り物だ。単純にライダーとエンジンの距離が近いことがエンジンの存在感を大きく感じさせるだけではなく、エンジンの性格と、それを扱うアクセル操作の仕方によって、バイクの曲がり方やタイヤのグリップなども変わる。バイクはバランスを取りながら走らなければならないため駆動力の影響がとても大きいこと、そしてクルマに比べれば軽く小さな車体ゆえ相対的にエンジンの質量(エンジン自体の重さだけでなく回転する部品の慣性力も)の及ぼす影響が大きくなることが理由だ。
のっけからちょっと小難しいが、ようするにバイクっていう乗りものはどんなエンジンを搭載しているかで、その個性が大きく左右されるってことである。今回はそのあたりをざっくりと解説してみたい。
※本記事は4ストロークエンジンを搭載した現行量産車を対象に書かれたもので、2ストロークエンジン搭載車や競技専用車両、現在市販されていない型式のものは割愛しています(2025年1月現在)
もっとも大きな違いを生むのは排気量
現在、新車でふつうに買える量産車であっても、原付一種の50ccから2000cc前後のビッグマシンまで、多種多様なバイクが生産されている。どんな排気量のバイクにもそれぞれの面白さがあるものだが、ざっくり言えば小排気量車はエンジンをブン回しながら人間がバランスを取る要素が大きく、対する大排気量車はアクセルでエンジントルクを操り車体を動かす、つまり右手のアクセル操作でバランスを取る要素が大きい。
アクセルをためらいなく開けて走れるのが小排気量車であり、アクセルを開け過ぎないように気を遣いながらコントロールしていくのが大排気量車、とも言えるだろうか。中間的な排気量では、その割合が車両ごとに異なると考えていい。これはサーキット走行などの大きな負荷がかかる走りだけでなく、街乗りで周囲の流れに合わせたようなペースでも変わらない。おおよその傾向としてそういうものなのだ。
『バイクの気持ちよさは全開時間の長さ』という考え方もあり、その立場からは小~中排気量モデルや、大排気量であっても低回転高トルク型が気持ちいいと言えるし、これが『扱いきれないパワーを手元に置くことに痺れる』となれば、そのライダーにとっての価値は逆転するかもしれない。
ちなみに、小排気量車はエンジンが小さいことから車体も小さく軽くつくることができ、大排気量車は基本的に車体が大きく重くなる。これも、軽量コンパクトな小排気量車と、手応えの大きさが操る醍醐味にもなる大排気量車という違いを生んでいる。
じゃあ、気筒数ってなに?
さて、気筒数のハナシである。エンジンの中ではピストンがシリンダーという筒の中を往復することでクランクという“はずみ車”のようなものを回し、これがいろいろ(省略)伝達していって最終的にタイヤが回る。このおおもとになるピストンの数がイコール気筒数になるわけだ。ちなみに排気量とは、ピストンがいちばん下からいちばん上まで上がる際に押しのける空気の体積のこと。理科の実験で使った注射器を思い出してもらうとイメージしやすいかもしれない。同じ大きさの気筒が2つあれば排気量は倍になる。
単気筒のバイクの性格は?
単気筒のキャラクターはというと、構造と同じくとてもシンプル。複数のピストンがあるとお互いに影響を与えあうが、単気筒はひとつしかない。低速からトルクがあり、シンプルにわかりやすい調子で回転を上げていき、公道向けモデルならそれほど高回転までは回らないのが一般的だが、KTM系やドゥカティのビッグシングルや競技向け車両はその限りではない。排気量を問わずアクセル操作に対する反応がとてもわかりやすく、エンジンと車体も軽いことから、キビキビと軽快に走りたい人に向いている。
排気量の分布は50cc~700cc程度。以下の2気筒の欄で触れる駆動パルスの関係と、アクセル操作に対する反応が極めてダイレクトなことにより、悪路でもリヤタイヤがグリップを失いにくく、またグリップを失いはじめてもコントロールできる余地が大きい。そのエンジン質量自体の軽さもあって、本格オフロードバイクのほとんどが単気筒を採用している。
ちなみに、ロイヤルエンフィールド各車やホンダGB350シリーズなどは、単気筒の中でも“ロングストローク設定”、つまりピストンの直径よりもシリンダー内の往復距離のほうが大幅に長い設定のため、より低回転で高いトルクを発生する性格だ。
スーパーカブシリーズのようなコミューターからレブル250、GB350、ハイパーモタード698モノなど趣味性の強いバイクまで、用途も車両タイプも幅広い。
※本稿は2019年7月13日公開記事を再編集したものです。※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
バイクバッテリー上がりの原因とは? エンジン始動時のセルモーター駆動やヘッドライトの常時点灯、ABS制御、デジタルメーターなど、バイクは高性能化するにつれてバッテリーの負担がどんどん増加していきます。[…]
ハンドルまわりだけでも用語はたくさん 「いつかは旧車に乗り、自分専用のカスタムをしたい」と、憧れを抱いている筆者。その夢を叶えるためには、ひとつの大きなハードルがあったりする。そもそも、各部の名称や役[…]
芦ノ湖スカイラインとは? バイク乗りに人気の理由 富士山の麓に点在する富士五湖のひとつ、芦ノ湖は箱根の人気観光地ですが、湖の西側の尾根に沿って通じているのが芦ノ湖スカイラインです。 全長約10.7km[…]
ホンダはEクラッチとDCTの二面展開作戦だ 自動クラッチブームの火付け役として、まず一番目に挙げられるのが今のところホンダCB/CBR650Rとレブル250に採用されている”Eクラッチ”。機構としては[…]
原付でエンジンがかからない主な原因 「原付 エンジン かからない 原因」とネット検索する方が多いように、バッテリー上がりやプラグの劣化、燃料不足など、複数の原因によってエンジンを始動できなくなるケース[…]
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
エンジニアもバイクに乗る、それがボッシュの面白さ ボッシュが二輪車向けABSを世に出してから今年で30周年を迎えた。ボッシュといえばドイツのメーカーだが、バイク部門の開発拠点が日本の横浜にあることはご[…]
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
ケーヒン/ショーワ/ニッシン/日立を統合した“日立Astemo(アステモ)”が4月より“Astemo”へ 自動車業界で「100年に一度」と言われる変革期を迎えるなか、キャブレターや電子制御スロットル、[…]
【冒頭解説】ECUをサスペンションに一体化、フロントフォークに自動車高調整を初採用 2021年1月に日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合して誕生した日立Astemo(ア[…]
人気記事ランキング(全体)
RZ250を上回る新テクノロジー満載! 1979年にホンダがリリースした、まさかの2ストローク50ccスポーツのMB50(広告なでの名称はMB-5)。 250ccやビッグバイクのスケールダウン・デザイ[…]
エンジニアもバイクに乗る、それがボッシュの面白さ ボッシュが二輪車向けABSを世に出してから今年で30周年を迎えた。ボッシュといえばドイツのメーカーだが、バイク部門の開発拠点が日本の横浜にあることはご[…]
コンパクトで取り付けが簡単なスマートモニター タナックス(TANAX)の「スマートライドモニター AIO‑5 Play (SRS‑015)」は、本体サイズ78.8(H)×136.2(W)×26.8(D[…]
KATANAというバイク 一昨年のこと、キリンと同じ年齢になったことをキッカケにKATANA乗りになったYです。 ノーマルでも十分乗り易いKATANAですが、各部をカスタムすることで、よりカタナ(GS[…]
X-ADVの兄弟車として欧州で販売される「フォルツァ750」 ホンダは欧州でフォルツァ750(FORZA 750)の2026年モデルを発表した。主要諸元に変更はなくカラーバリエーションの一部変更でイリ[…]
最新の投稿記事(全体)
火の玉「SE」と「ブラックボールエディション」、ビキニカウルの「カフェ」が登場 ジャパンモビリティショー2025でカワサキが新型「Z900RS」シリーズを世界初公開した。主軸となる変更はエンジンまわり[…]
外観をスタイリッシュにリニューアルしたトリシティ125 前回のトリシティ300に続き、今回試乗を行うのも前2輪を持つLMWシリーズのトリシティ125。ちなみにLMWとは、リーニング・マルチ・ホイールの[…]
父とB+COM SB6XRで会話しながらプチツーリング すっかり秋模様。なんなら執筆している今日は、最高気温が15度。朝から冷え切っていて、冬気分です。 自宅近くを走っているスクーターの方を見て、「わ[…]
KATANAというバイク 一昨年のこと、キリンと同じ年齢になったことをキッカケにKATANA乗りになったYです。 ノーマルでも十分乗り易いKATANAですが、各部をカスタムすることで、よりカタナ(GS[…]
エンジニアもバイクに乗る、それがボッシュの面白さ ボッシュが二輪車向けABSを世に出してから今年で30周年を迎えた。ボッシュといえばドイツのメーカーだが、バイク部門の開発拠点が日本の横浜にあることはご[…]

![ホンダ|スーパーカブC125|【エンジンの気筒の数でなにがちがう?】バイクの乗り味ざっくり解説[単・2・3・4・6気筒]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/02/296bd7e57e166c10a5f3ae9cd777a507-768x512.jpg?v=1707963482)
![ホンダ|GB350|【エンジンの気筒の数でなにがちがう?】バイクの乗り味ざっくり解説[単・2・3・4・6気筒]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/09/2240912-gb350c_002H-768x512.jpg?v=1727185785)
![トライアンフ|スピード400|【エンジンの気筒の数でなにがちがう?】バイクの乗り味ざっくり解説[単・2・3・4・6気筒]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/06/Speed-400_MY24_Caspian-Blue_RHS-768x512.jpg?v=1687872000)
![ドゥカティ|ハイパーモタード698モノSP|【エンジンの気筒の数でなにがちがう?】バイクの乗り味ざっくり解説[単・2・3・4・6気筒]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/04/84291f7c304dddcfa4e9c69c31d917d0-768x512.jpg)


































