[高校生のバイク問題] 日本二普協のシンポジウムで紹介:バイク通学実施高校“秩父農工”の取り組み

[高校生のバイク問題] 日本二普協のシンポジウムで紹介:バイク通学実施高校“秩父農工”の取り組み

2024年9月12日、一般社団法人日本二輪車普及安全協会(日本二普協)が「二輪車の安全運転を考える」をテーマに、第3回シンポジウムを開催した。バイク通学を長年指導してきた、埼玉県立秩父農工科学高等学校(秩父農工)の今井教夫(みちお)教諭も登壇し、これまでの取り組みと現状、課題などについて発表した。


●文:田中淳麿(ヤングマシン編集部)

「心の教育」とプロテクターの装着推進が課題

バイク通学実施高校、秩父農工 今井教諭の、日本二普協シンポジウムにおける講演タイトルは「地域と連携した交通安全」。埼玉県の秩父地域は中山間地であり、公共交通が乏しい場所も多い。ゆえに県が三ない運動を実施していた時でも、特例として原付免許の取得、バイク通学が認められてきた。

その当時から今井教諭は生、徒指導担当として地域の警察と連携し、講習会を独自で開催していた。それが現在の”高校生の自動二輪車等の交通安全講習”(埼玉県教育委員会主催)のモデルにもなっているそうだ。

高校生のバイク通学に関して長年知見を深めてきた今井教諭は、講習会への参加で知識や技能を身につけたその先にある、生徒の「心の教育」とハード面で体を守る「プロテクターの装着推進」を課題に挙げた。

多くのバイク通学実施校で、プロテクターの装着は必須条件ではない。バイク通学時の安心安全、生徒自身の意識向上にも寄与するだろう装着推進に向け、当シンポジウム発の施策実現に、期待したい。

埼玉県立秩父農工科学高等学校の生徒指導担当、今井教夫教諭が登壇。長年バイク通学を続けてきた秩父農工に、23年間も勤務する今井教諭。県立高校の教諭としては異例とも言える勤続年数だが、それも「バイク通学の生徒指導継続」という地域特性によるものだ。

学校現場での1番の課題は事故を防ぐことだが、そのために大切なのが「心の教育」。今井教諭はバイク通学を行う生徒に「できればプロテクターを着けさせたい」と考えている。

秩父農工のある秩父市はゼロカーボンシティ宣言都市であり、通学用バイクの電動化も考えられている。「社会の流れとして取り組めたらいい」と今井教諭。

講師陣によるパネルディスカッションでも「パソコンのアカデミックパック(特別価格)のように、自治体からの補助も含め学生の着用推進策を業界全体で考えていただけたら」と提案を述べ、用品メーカー担当者からは前向きな回答があった。

三ない運動実施下でもバイク通学が許可された秩父地域

中山間地の秩父地域にある各高校では、埼玉県が三ない運動を実施していた期間でも原付バイクによる通学が許可されてきた。

今回の登壇で今井教諭は、三ない運動実施下に行われていたマナーアップ講習会を振り返りつつ、秩父農工におけるバイク通学の許可地域/バイク通学の生徒数/バイク免許取得者数など現在のデータも提示。

県教委による講習会など、指導内容と成果、課題について説明した。

バイク通学が許可されている地域の図。

今井教諭は、安全運転教育に力を入れる秩父農工の特色として「秩父警察署/埼玉県警との強い協力関係」を挙げた。秩父地区では自転車の安全運転教育も積極的に行われており、小学生が全国大会で好成績を収めている。

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