ガッチこと小川友幸は14度目のチャンピオン獲得

藤波貴久×RTLエレクトリックが全日本スポット参戦全勝! 3連勝で電動トライアルバイクのポテンシャルを示す

ホンダ|藤波貴久

11月3日に開催された全日本トライアル選手権(JTR)の最終第8戦、City Trial Japan 2024 in OSAKA 大会で、劇的なタイトル争いの決着と、新時代の電動トライアルバイクの可能性が示された。当日の主役になったのは、ホンダの2名だった。


●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:ホンダ、ヤマハ

タイトル争いを制したのはエンジン車の「RTL301RR」

11月3日、全日本トライアル選手権(JTR)の最終第8戦、City Trial Japan 2024 in OSAKA 大会が大阪市中央公会堂前中之島通りで開催され、第7戦SUGO大会の終了時点での総合ランキング上位10名のみが参加。これがシーズン最終戦になり、シリーズチャンピオンが決定した。

これまでの争いでは、電動トライアルバイクをいち早く全日本選手権に投入してきたヤマハが、最新バージョンの「TY-E2.2」を駆る黒山健一選手が第6戦終了時点でランキングトップ。エンジン車の「RTL301RR」を駆る小川友幸選手、同じくヤマハのTY-E2.2の氏川政哉選手が僅差で競るというバチバチの三つ巴を展開してきた。

第7戦では小川選手が逆転し、氏川選手はやや後退。そして挑んだ最終戦で小川選手が競り合いを制し、前人未到のIASクラス14度目のチャンピオンを獲得した。

最後に黒山健一選手を振り切った小川友幸選手がタイトル獲得!

……が、第6戦以降には別の台風の目が出現し、会場の盛り上げに大きく貢献していた。以前のニュースでもお伝えした、ホンダの電動トライアルバイク・プロトタイプマシン「RTL ELECTRIC(アールティーエル・エレクトリック)」を駆るフジガスこと藤波貴久選手の参戦だ。

日本人唯一の世界チャンピオン経験者で現トライアル世界選手権・レプソルホンダチームの監督を務めるフジガスは、スポット参戦の第6戦でRTLエレクトリックをデビューウィンに導くと、その勢いのまま第7戦も圧勝し、最終戦の出場権を得てシティ・トライアル・ジャパン大会に出場。ここでもクリーン10/減点2として3連勝を飾り、電動トライアルバイクのポテンシャルを誇示した。

狙うは優勝のみとしていたフジガスこと藤波貴久選手は宣言通りに第6戦で優勝を飾り、そのままの勢いで3連勝してしまった。

電動トライアルバイクそのもので言えば、IAクラスで成田匠選手が「エレクトリックモーション(EM)」で初めて優勝を飾り、第3戦もてぎではヤマハ氏川選手がIASクラスで初優勝。最終戦近くまでランキング優位に進めるなどしており、電動バイクとトライアル競技の相性のよさに疑いの余地はないだろう。

とはいえ、フジガスは今年の5月に初めてRTLエレクトリックに乗ったといい、そこからの終盤3戦のみのスポット参戦で3連勝は、やはり世界チャンピオンの貫禄といったところ。もちろん、フジガスが開発を務めるRTLエレクトリックのパフォーマンスが非常に高いレベルにあることも見逃せない。

City Trial Japan 2024 in OSAKA 大会

2022年から全日本格式になったシティトライアルは、シーズン最終戦(第8戦)City Trial Japan 2024 in OSAKA 大会として11月3日に開催された。負傷で出場できなかった野崎史高選手(ヤマハ)を除く9人で争われ、4つのセクションを往路/復路で攻略。計8セクションにトライし、上位6名はさらに2セクションを往復するファイナルに進出するシステムだ。

フジガスはランキング8位からの出走で、走行順は3番目。タイバルの手のうちが見えない段階のトライながら、往路の4セクションを減点1点で通過し、この後に減点2点で複数の有力選手が続く。同じくフジガスは復路でも減点1点のみとし、これに小川選手と氏川選手が6点差で続く。

そしてファイナルでは、小川選手、黒山選手がオールクリーン(減点0)とし、1回でも足を着けばタイトルを逃すという緊張感を制した小川選手が前人未到の12連覇、14度目のチャンピオン獲得を決めた。

そして、これに続くフジガスもオールクリーン。全8戦のうちスポット出場した3戦で全勝という、RTLエレクトリックにとってもこれ以上ない戦績で締めくくった。

僅差で3位になり、惜しくもタイトルを逃した黒山健一選手がシーズン総合2位を獲得。

ISAクラスにおける電動トライアルバイクの初優勝を飾ったヤマハの氏川政哉選手は最終戦で4位、シーズン総合3位に。

マシンの詳細と第6戦参戦前のインタビューはこちら↓

#27 藤波貴久選手(Team HRC)のコメント

「選手としてトライアル世界選手権に出場していた時代、Repsol Honda Teamの監督としてトニー・ボウ選手やガブリエル・マルセリ選手を後押しする最近の活動と、それぞれ異なる難しさがありますが、今回の3大会は絶対に勝たなければいけない戦いで、今までにない緊張感でした。3戦目でしたが、今回は今回でやはり難しい戦いとなりました。序盤に1点の減点を受けた時点で、今日は勝てないかなという思いもありました。ファイナルまで5点差をつけることができていましたが、5点差はこちらの1回の減点5点で逆転を許す点差ですから、やはり緊張を解くことはできないまま、最後までトライを続けました。なんとか勝てて3戦全勝です。Hondaさんの期待や開発陣の労に報いることができて、本当によかったです。このスタッフでなければ、今日の結果は得られなかったと思います。そして、もうかなわないと思っていた日本のファンの前でのトライが実現できたというのは、これもたいへんありがたいことでした。最後のフジガス、ありがとうございました」

#1 小川友幸選手(TEAM MITANI Honda)のコメント

「かつてない厳しい戦いでした。最終戦まで総合優勝を僅差で争っていた戦いはありましたが、1回の足着きでチャンピオンの行方が変わる戦いというのは、初めて経験したのではないかと思います。それだけに、いつもの比ではない緊張感で、どんなに集中し気持ちを落ち着かせても、平常心とはほど遠い状態で走っていました。今年はシーズン途中にケガがあり、一時は参戦をあきらめなければいけないかもしれないという状況だったのですが、そんな状況から参戦ができて、結果も上向かせることができ、そして最後に連覇を更新することができて、本当によかったです」

#3 黒山健一選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)のコメント

「2024年全日本トライアル、無事に終了しました。この最終戦は、スタートしてすぐいきなりミスをしてしまいまして、それが大きく響き、頑張ったのですけれども結果3位に終わってしまいました。シリーズ戦としてはランキング2位になりまして、去年よりは1つ上がり、僕としては良かったかなとは思っていますが、今年の目標、1回は勝つ、そしてチャンピオンを取る、この2つの目標がどちらも達成できなかったので、来年に持ち越しとなります。今年は氏川選手が優勝してくれたりとか、ヤマハの電気バイクにとって非常に良い年にはなったと思いますけど、まだまだ僕たちはこんなんじゃ満足していません。来年は3年目になりますけど、野崎選手、氏川選手と3人で表彰台をすべて独占するように頑張りますので、皆さん応援をどうかよろしくお願いします」

#2 氏川政哉選手(bLU cRU VICTORY)のコメント

「最終戦シティトライアル、無事終わりました。結果は4位で、すごく悔しいです。去年のシティトライアルは1位を取れたのが、今年は4位で、今シーズンを笑って終えれないなと思っています。でも、自分的にはランキング3番にとどまったので、悔しいですけど少しホッとした部分もあります。来年はチャンピオンめざしてもっと頑張りたいと思います。一年間応援していただき、ありがとうございました」

City Trial Japan 2024 in OSAKA 大会の結果

順位ライダーチームマシン減点/クリーン
1藤波貴久Team HRCHonda減点2/クリーン10
2小川友幸TEAM MITANI HondaHonda減点7/クリーン9
3黒山健一YAMAHA FACTORY RACING TEAMYamaha減点8/クリーン9
4氏川政哉bLU cRU VICTORYYamaha減点13/クリーン7
5小川毅士Wise Beta RacingBeta減点17/クリーン5
6武田呼人GASGAS with MITANIGASGAS減点19/クリーン5
7柴田暁TEAM TRRS & NILS OILTRRS減点20/クリーン4
8黒山陣Team Serco JapanSHERCO減点24/クリーン0
9久岡孝二HRCクラブMITANIHonda減点27/クリーン1
 

シーズン総合ランキング

順位ライダーマシンポイント
1小川友幸Honda127
2黒山健一Yamaha120
3氏川政哉Yamaha111
4小川毅士Beta90
5藤波貴久Honda75
6柴田暁TRRS74
7武田呼人GASGAS69
8野崎史高Yamaha56
9久岡孝二Honda56
10黒山陣SHERCO45
 

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