MotoGPを’22年限りで撤退したスズキが、鈴鹿8耐で環境技術テストを遂行した。内燃機関、つまりこれまでのガソリンエンジンをベースにしながら、カーボンニュートラル(CN)に挑む。“チームスズキCNチャレンジ”が掲げたテーマは、次世代のスズキの市販車へと繋がっていく。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:佐藤寿宏、箱崎太輔、スズキ ●取材協力:スズキ
MotoGP撤退のスズキが新カテゴリーで先陣
誰が言ったか「8耐は泣ける」。
鈴鹿を8時間走り切ったゴール後には各チームそれぞれの感動が交錯するが、チームスズキCNチャレンジのピットでも他に負けない歓喜と涙模様が繰り広げられた。
CNチャレンジのプロジェクトリーダー佐原伸一さんをはじめ、田中強 二輪事業本部長、そしてスズキの鈴木俊宏社長も歓喜の輪に加わり、社内からの公募で集った若き社員たちの目には光るものがあった。
スズキは’22シーズン末をもってMotoGPやEWC(世界耐久選手権)のワークス活動を終了し、レースグループも解体。それまでレースに携わっていたスタッフは、新たにサステナブル(持続性)を軸とした技術開発の場に移った者も多いが、中にはスズキを去った者もいた。
今回のチャレンジが具体的に動き出したのは’23年の鈴鹿8耐の後。かつてないスピード感で物事が決定していったという。レース運営についてのノウハウが欠かせないコアメンバーは、多くがMotoGPなどに関わっていた者たち。そして周辺を固めるスタッフは、社内公募に100名を超える応募があった中から選ばれていった。
これまでに例のないサステナブルアイテムを使用した青いGSX-R1000Rは、想定よりも“普通”に走ったといい、事前テストからトップ10入りをする好調が伝えられた。
予選は気合いやや空回りしてか16位だったものの、決勝では常に10位前後を走り続け、8位でゴール。ミスや転倒はなく、最終スティント前にライダーの濱原颯道選手が腰の痛みで限界を迎えた以外は、ほぼノートラブルと言っていいレースだった。
全てが作戦通りに進めばトップ10入りも可能と想定し、8回ピットや216周という結果も予定通り。ライダーやコアメンバーだけでなく、スタッフの全員がそれぞれの役割に徹し、成し遂げたチャレンジだった。
この場で得た感動やノウハウを普段の職域に持ち帰ることで、スズキ全社がさらに活気づいていくはずだ。
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