運転免許証の有効期間は、違反歴によって異なり、優良運転者(ゴールド)/一般運転者(ブルー)は5年、違反運転者(ブルー)/新規取得者(グリーン)は3年です。運転免許の更新時期は、免許証に記載されている有効期限年月日から知ることができますが、多くの人は有効期限が近づくと送られてくる更新ハガキを頼りにしていることでしょう。ということは、更新ハガキが届かなかったり紛失してしまうと、誰もが更新時期を逃してしまう可能性があるということ。その場合はどうなるのでしょうか?
●文:ヤングマシン編集部(ピーコックブルー)
免許更新の時期が過ぎてしまったら……そのまま走行してもOK?
運転免許が失効した状態は、当然ながら無免許扱いとなるため、バイクもクルマも運転できません。再度運転をするためには、新たに免許を取得する必要があります。
もし無免許状態で公道を運転をした場合は、3年以下の懲役または50万円以下の刑事罰が科せられたうえ、25点もの違反点数が加算されます。また、もし25点の違反点数が科された場合、過去に免停や免許取り消しの前歴がなくても、2年間は免許の再取得ができません。
警察による統計によると、毎年なんらかの理由で20万件以上の運転免許失効が発生しているとのことです。もちろん、そのなかには更新忘れによる失効も多く含まれていることでしょう。
そのため、失効してからの期間に応じて、運転免許の再取得が容易になる救済措置ともいえる制度が用意されています。
- 失効日から6ヶ月を経過しない場合
本免許試験の技能試験と学科試験を免除。適性試験と講習を受けるだけで再取得ができます。 - 失効日から6ヶ月を経過し、1年を経過しない場合
仮免許試験の技能試験と学科試験を免除。ただし、自動二輪免許/原付免許/特殊免許などは対象外のため、新規で取得する必要があります。 - 失効日から1年を経過した場合
一切の免除はありません。
このように、免許を失効してしまっても、6ヶ月以内であれば比較的簡単に再取得ができます。しかし6ヶ月をすぎると、合格が難しいとされる一発試験を受けるか、教習所に通い直すかして、再度運転免許本試験を受けなくてはなりません。
ただし、“やむを得ない理由”によって免許の更新ができなかった場合は、有効期限が延長される特例措置も設けられています。
免許更新できなかった場合の“やむを得ない理由”って?
免許を更新できない“やむを得ない理由”があった場合は、失効していた期間も有効期間として認められることになるため、原則3年以内に限って通常どおり免許の更新をすることができます。
やむを得ない理由として認められるのは、道路交通法施行令で定められた以下の理由に限られ、更新時にはそれぞれの理由を証明する書類が必要です。
- 海外渡航をしていた場合
必要書類:出入国記録タンプが押されたパスポートなど - 災害に遭った場合
必要書類:罹災証明書など - 一定の病気や負傷をした場合
必要書類:入院証明/診断書など - 法令の規定により身体の自由を拘束されていた場合
必要書類:在監証明書(刑務所に入所していた事実証明書)など - 社会の慣習上または業務の遂行上やむを得ない用務が生じた場合
必要書類:旅券/出張届け/出張命令書など - 公安委員会がやむを得ないと認める事情の場合(緊急事態宣言など)
必要書類:とくになし
なかでも曖昧なのは「社会の慣習上または業務の遂行上やむを得ない用務」です。更新期限間際の急な出張や、遠方への法事などがこれに該当しますが、正当な理由として認められるかどうかは審議のうえで決定されます。
ただし、仕事が忙しかった/更新ハガキを見ていない/更新予約が取れなかったなどの理由は、やむを得ないものとしては認められません。
このほか、免許更新に関する道路交通法が改正された2001年(平成13年)6月20日以前に生じた“やむを得ない理由”の場合については、当該事情が終わってから1ヶ月以内であれば、失効後3年を経過した場合でも本免許技能試験が免除される特例があります。
なお運転免許の更新期間は、有効期限年の誕生日の前後1ヶ月間。ただし、やむを得ない理由が発生すると予想される場合には、更新期間前でも手続きができる特例もあります。
うっかり運転免許を失効させないためにも、免許更新にはこうした多数の特例措置があることを知っておきましょう。
とくにバイクの免許は、普通自動車運転免許とは異なり、6ヶ月を過ぎると新規での取り直しになるため、更新期間に入ったら早めに手続きを済ませておくことが肝心です。
また、更新ハガキが確実に手元に届くように、引っ越しなどをした際の住所変更手続きも忘れないように。
不安であれば、スマートフォンのカレンダーアプリなどを使って更新日付を管理しておきましょう。郵送される更新ハガキは手続きの必須書類ではないため、更新期限さえ把握していれば有効期限切れによる運転免許の失効は防止できます。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(交通/社会問題)
もっとも悪質な交通違反=救護義務違反とは? “救護義務違反”とは、いわゆる“ひき逃げ”のこと。 道路交通法第72条では、救護義務について以下のように明記されています。 『交通事故があったときは、当該交[…]
1分でわかる記事ダイジェスト 1970年代当時の主流バイクは? 1970年代はナナハンが流行りだした頃で、当時流行っていたバイクはナナハンだったそう。当時の人に聞いてみたところ、ナナハンが流行りだした[…]
1分でわかる記事ダイジェスト 自転車事故の増加 自転車による交通事故の割合が近年増加傾向にある。新型コロナウイルスの感染拡大などにより、自転車人口の増加が大きな理由。道交法違反が改正されたり、警察によ[…]
ドア開放事故の基本過失割合は“バイク10:クルマ90” 交通事故が起きた際の責任分担については、過去の判例を基にした“基本過失割合”が事故ごとに定められており、バイク対クルマのドア開放事故の基本過失割[…]
違法改造車は、その証拠として“押収”されるかも 警察が暴走族を取り締まっている様子を、テレビ番組やニュース等で見たことがあるかと思います。とくに交通安全運動が始まる時期は、警察も取り締まりを強化し、暴[…]
人気記事ランキング(全体)
1分でわかる記事ダイジェスト ボルトやネジは「大は小を兼ね」ない! エンジンのマウントボルトが、長すぎると見た目が悪い。ナットを締め付けるのも大変だが、それ以上にチェーンに当たってしまうので使えなく、[…]
絶対出力ではなく、総合性能の高さで勝負 とは言っても、スペック的にカワサキをまったく無視するのは難しいだろうから、最新ヨンヒャクとして同じ土俵の上とユーザーに判断してもらえる最高出力、具体的には70p[…]
1966年式をモチーフとした最終仕様で歴史にピリオド ホンダが50ccのバイクを2025年5月に生産終了するというニュースが駆け巡ったのは6月22日。情報を集めてみると2025年11月までに生産終了と[…]
1分でわかる記事ダイジェスト 1970年代当時の主流バイクは? 1970年代はナナハンが流行りだした頃で、当時流行っていたバイクはナナハンだったそう。当時の人に聞いてみたところ、ナナハンが流行りだした[…]
ライバルのフィールドで新たな挑戦 1970年代から専業ではなくなったけれど、かつてのヤマハとスズキの主力エンジンは2ストで、カワサキも魅力的な2ストモデルを数多く販売していた。その一方で少なくとも19[…]
最新の投稿記事(全体)
無料&涼しく過ごせる、希少な2輪サマーイベント? 8月19日が「バイクの日」とされたのは今から35年前の1989年。政府総務庁(現在の内閣府)が二輪車の事故撲滅を目的に制定したもので、以来、全国自治体[…]
1分でわかる記事ダイジェスト ライダーはやっぱりラリーが好き!? 人気の「ラリー系イベント」だけど、メキメキと開催が増え参加者も多いのが「コマ図ラリーイベント」。その人気の秘密、コマ図ラリーの魅力に直[…]
鈴鹿8耐のカワサキブースでハイブリッドバイクと電動バイクを展示 1980年代後期のZXRシリーズのカラーリング(青×緑×白)がのちにファミリーマートの店舗を想起させるということで“ファミマカラー”と呼[…]
1周でのコンマ2秒差が、20周では4秒差になる MotoGPは早くも来シーズンのライダーラインナップが決まってきましたね。主要チームのシートはほとんど埋まってしまいました。かつて移籍話は「ストーブリー[…]
“警察官になれば運転免許をタダで取得できる”ってウワサは本当なのか? 警察官は常日頃、クルマやバイクでパトロールをしていますが、警察官になるには運転免許は必須です。なぜなら、警察官になるとパトカーや原[…]