
バイクやクルマの外観/機能が切り替わる“モデルチェンジ”。基本コンセプトはそのままに全体が一新されることを“フルモデルチェンジ”、外観や機能が部分的に変更されることを“マイナーチェンジ”と呼ばれています。その頻度や内容については、バイクとクルマとでは大きく異なります。
●文:ヤングマシン編集部(ピーコックブルー)
バイクとクルマで異なるモデルチェンジの周期と規模。その理由とは?
バイクやクルマが定期的にモデルチェンジされる理由は3つあります。
- 性能や利便性の向上
- 商品力アップによる競争力の向上
- 法規制や環境規制への対応
いずれの場合でも、モデルチェンジの目的は“時代やニーズに合った、より適切な状態の商品をユーザーに選んでもらう”ためです。
これは家電製品やスマートフォンなども同じで、言い換えれば陳腐化を防止して販売促進を図ることが、モデルチェンジの主目的と言えるでしょう。
ただしバイクとクルマでは、とくにモデルチェンジの間隔が大きく異なります。
クルマの場合は、おおよそ5年〜6年程度の間隔でフルモデルチェンジを実施し、その間に数度のマイナーチェンジを行うのが通例です。
なかにはフルモデルチェンジサイクルの中間あたりで、外観から中身まで、別の車両とも言えるほどの大幅な改善が加えられる“ビッグマイナーチェンジ”が行われる場合もあります。
しかしバイクは、モデルチェンジサイクルがクルマよりも長い傾向にあるうえ、マイナーチェンジのタイミングも不規則です。こうした違いが生まれる原因は、バイクとクルマにおける用途の違いにあると言えるでしょう。
生活必需品の“クルマ”と、趣味性が高い“バイク”
生活必需品とも言えるクルマの場合は、メーカーで新技術が確立されればラインナップに広く採用して、モデルチェンジもしくはマイナーチェンジが実施されます。またメーカーによっては、モデルによって毎年定期的に改良を施すケースもあります。
燃費/安全性/利便性に大きく貢献する部分の改善具合は、購入するクルマを選ぶうえで大きな要素です。
積極的な改良によってライバル車種に対する競争力を高めることが、クルマにおけるモデルチェンジの第一目的と言えるでしょう。
一方で趣味性の高い乗り物であるバイクの場合、指名買いが比較的多いこともあり、他車種からの乗り換えを誘うための競争力はそれほど重要視されません。
加えて、クルマに比べるとバイクに燃費や快適性を求める人の割合が少ないうえ、そもそもクルマよりシンプルな構造のバイクは、改善を施せる場所が少ないこともあって、必然的に改良の頻度も少なくなります。
この違いが、バイクとクルマにおけるモデルチェンジ周期や規模の差として表れています。
速さという絶対的な指標があるスポーツバイクなどは頻繁に改良される場合もありますが、多くのバイクで頻繁に行われるのは、ボディカラーの入れ替え程度のものです。
とくに人気のバイクは、毎年カラーラインナップが入れ替わるケースもあります。
またバイク/クルマともに、商品力アップのためのモデルチェンジのほか、法規制対応のためのモデルチェンジも実施されます。
近年、クルマではADAS(先進運転支援システム)やバックモニターの搭載が、そしてバイクでもABSやOBD2(故障診断装置)の装備が義務化されました。さらに、騒音規制や排出ガス規制への対応も無視できない要件です。
これらの規制に対応させなければ新車を販売できないため、メーカーは商品改良という形でモデルチェンジやマイナーチェンジを施しますが、この対応もバイクとクルマでは異なります。
クルマの場合、スポーツモデルなどの特殊なクルマでないかぎり、改善を施して販売を継続するケースがほとんどです。一方でバイクの場合、法規制に対応させたとしても採算が見込めないようであれば、早々に生産終了を選択する傾向にあります。
そのため、ここ数年は法規制対応のためのモデルチェンジが実施されたバイクが多い一方、改良を受けられずに生産を終えたバイクもたくさんあります。
クルマを購入する場合なら、モデルチェンジやマイナーチェンジを待ってから買うのが一般的です。しかし、モデルチェンジが不規則なバイクは、こうした買い方は適していません。
バイクでは、人気車種であっても翌年にはカラーラインナップの入れ替えられるなどの可能性があるため、気に入ったモデルや色があれば、早めに購入してしまうのが吉と言えそうです。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(バイク雑学)
白バイがガス欠することはあるの!? 今回は、「白バイが警ら中にもしもガス欠になったら!?」について、お話したいと思います。結論を先に言うと、ガス欠にならないように計画を立てて給油しています。 私も10[…]
免許制度は基本、ヨーロッパで共通 イタリアのバイク事情を現地からお届けするコラム「Vento Italiano」(イタリアの風)第2回。今回はイタリアの自動車運転免許制度について紹介していきます。 と[…]
660ccの3気筒エンジンを搭載するトライアンフ「デイトナ660」 イギリスのバイクメーカー・トライアンフから新型車「デイトナ660」が発表された際、クルマ好きの中でも話題となったことをご存知でしょう[…]
バイク同様に開放感を楽しめるオープンカー、屋根を開けた状態での雨対策はどうなっている? ごく一部の特別なモデルやカスタムされたマシンを除くと、バイクは雨の中を走ったからといってトラブルが起きないように[…]
実は大型二輪の408cc! 初代はコンチハンのみで37馬力 ご存じ初代モデルは全車408ccのために発売翌年に導入された中型免許では乗車不可。そのため’90年代前半頃まで中古市場で398cc版の方が人[…]
人気記事ランキング(全体)
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
最新の投稿記事(全体)
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
州知事や政府関係者のほか、従業員も参加し祝う 四輪車はもちろん、ビジネスジェット機でも知られ、最近では再使用型ロケットでも話題のホンダ。その始まり、つまり「祖業」は二輪車にある。 スタートは自転車用補[…]
2024年モデル概要:XSRらしさを受け継いだ末弟 海外で先行して展開されていたXSR125の国内導入が明かされたのは、2023年春のモーターサイクルショーでのこと。発売は同年の12月8日だった。 X[…]
似ているようでカブとはまったく違うのだ アウトドアテイストの強いCT125ハンターカブが人気だからといって、ここまでキャラクターを寄せてくることないんじゃない? なんて穿った見方で今回の主役であるPG[…]
実績豊富なディーラーによる絶妙なバランス感覚 全国のハーレーダビッドソンジャパン販売網がカスタムの腕とセンスを競うコンテスト『バトルオブザキングス』にて2年連続で日本一になった実績を持つワタナベモータ[…]