前回連載に続き、日本自動車工業会による「自治体の二輪車駐車場施策に関する調査」報告書(2023年1月)から、原付二種以上が駐められる駐車場を増やすには何が必要なのか、50自治体の回答から考察する。
●文:ヤングマシン編集部(田中淳麿)
自治体側の意識は…
「地域に自動二輪車駐車場を増やすには、どのような要件が満たされることが必要ですか?」という質問への各自治体の回答を表にした。回答は選択式で、複数選択も可能。地域に分けて見てみよう。
東京23区
「回答6:住民の声が必要」「回答7:どこに必要か情報が必要」「回答3:民間事業者の採算性が必要」の3つが突出した。これらの回答を選んだ自治体は、自動二輪車駐車場のニーズが認識できておらず、駐車場を作るにしても、区の公共用地ではなく、あくまでも民間事業者に依頼したい、あるいは自動二輪車駐車に関する条例がないということ。
東京7市
「回答3:民間事業者の採算性が必要」がもっとも多い。
※東京7市:立川市/武蔵野市/府中市/調布市/町田市/福生市/多摩市
政令指定20市
「回答3:民間事業者の採算性が必要」「回答7:どこに必要か情報が必要」の2つが突出。
全体としては「回答3:民間事業者の採算性が必要」がもっとも多い結果となり、やはりというか、東京23区の回答傾向が全体平均と合致した。逆に言うと、東京のやり方が地方都市で通用する可能性もあるということだ。
東京23区内では、東京都道路整備保全公社が2輪駐車場の新設、4輪/自転車等駐車場から時間貸し2輪駐車場への改修について、事業者向けに整備助成金を用意し、2022年までの18年間で、21区の195駐車場に対し3714台分の助成をしてきた。
※政令指定20市:札幌市/仙台市/さいたま市/千葉市/横浜市/川崎市/相模原市/新潟市/静岡市/浜松市/名古屋市/京都市/大阪市/堺市/神戸市岡山市/広島市/北九州市/福岡市/熊本市
「道路交通センサスに“2輪車”分類を」との声も
また、「回答8:その他」には自由記述欄があった(表2参照)。注目すべきは横浜市の回答で、“道路交通センサス”について言及している。これは、国(国土交通省)が5年ごとに行う全国の道路の交通情勢調査のことだが、現状は通行車両の分類が“小型車”と“大型車”しかない。そこに“2輪車”という区分があれば検討しやすいのにと言っているのだ。高速道路の車種区分を思い起こさせるが、これは国交省に要望すべきことだろう。
『自治体の二輪車駐車場政策に関する調査』(日本自動車工業会 二輪車委員会):東京23区のほか、東京7市に、政令指定都市の20市を加えた50の自治体にアンケートを実施。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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