予約制時間貸し駐車場の増加は、バイク駐車問題の改善につながる道筋のひとつとして期待されている。この3年間で倍増している予約制駐車場について、一般社団法人日本二輪車普及安全協会のデータとともに、予約制駐車場大手のakippa(アキッパ)株式会社広報担当の森村優香さんに、こうした動きや市況について尋ねた。
●文:ヤングマシン編集部(田中淳磨)
予約制時間貸し駐車場の増加は、バイク駐車問題の改善につながる道筋のひとつとして期待されている。この3年間で倍増している予約制駐車場について、一般社団法人日本二輪車普及安全協会のデータとともに、予約制駐車場大手のakippa(アキッパ)株式会社広報担当の森村優香さんに、こうした動きや市況について尋ねた。
予約制の2輪車駐車場はほぼすべての都道府県で増加し、2023年9月30日時点で2万1千か所を越えている。
――倍増の要因をどう考えますか?
森村:アキッパの例を挙げると、バイク用の駐車場はクルマ用の駐車場と比較して、小さいスペースで作ることができます。そのため、都市部の限られたスペースでもバイク用駐車場として活用できることも要因の一つと
考えられます。また、2020年10月と2023年10月について、アキッパのバイクユーザーの予約数を比較してみると、2023年ではバイク用駐車場の利用数が1.7倍に増加していることからも、駐車場ニーズの高まりが窺えます。この背景には、コロナ禍における“密を避ける移動手段”として、バイクの利用が見直されたことが影響していると推測できます。
――予約制駐車場市場はどのような状況でしょうか?
森村:新型コロナウイルスが5類に移行したこともあり、旅行やイベントなどお出かけ時の駐車場の需要が回復しています。それに伴い、駐車場シェア自体の認知も上向いているように感じています。シェアリングエコノミー協会が発表している『シェアリングエコノミー市場調査2022年版』では、シェアリングエコノミーの市場規模は過去最高の2兆6158億円を記録しています。また、アキッパでは、通勤通学やお出かけ時の駐車場不足解消に加え、バイクが駐車できるスペースはあまりないものの、最近では音楽フェスや花火大会など大規模イベントでの交通渋滞解消ツールとしての新たな活用が増えているなど、今後も駐車場シェアの市場拡大が期待できます。
予約制駐車場事業者の新規参入は2016年頃から増えてきています。新規参入が増えることで市場が大きくなり、世間の予約制駐車場への理解や認知も広がるため、アキッパとしてはポジティブに捉えています。
――今後3〜5年、予約制2輪車駐車場の状況をどう展望されますか? また、そこにはどのような課題があ
りますか?
森村:今後もバイク利用の増加に伴い、駐車場需要も増加すると考えています。その一方で、アキッパでもバイク用駐車場が増えているものの、弊社が2021年より実施しているバイクユーザー向けアンケートでは、「バイクを利用できる駐車場がない」という声が多く挙げられています。アキッパを含む多くの事業者が、バイクを駐められる駐車場をさらに増やしていく必要があると考えています。
今後も予約制2輪車駐車場は増加見込みだが、自治体や商工会などへの情報発信を含め、このムーブメントを広げていくべきだろう。
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