28年連続で減少し、現在はピーク時の半分以下

防げ給油難民! 高いガソリン税を続けるなら、減少しているガソリンスタンドの存続に予算を……〈多事走論〉from Nom

2013年3月末から2023年3月末までに全国のガソリンスタンドは2割以上も減ったという。利用者の減少や自動車の燃費改善などが理由とされるが、一方で古いガソリンスタンドでは地下タンクの改修費用がネックになっている。ツーリング先で給油に困らないようにするには、そしてこれ以上ガソリンスタンドが減らないようにするためには。ちょっと考えてみた。


●文:Nom(埜邑博道)

ガソリンスタンドが10年で8000か所超減少! ツーリング先で給油難民になる可能性も?

2023年12月28日の東京新聞に、「給油所10年で8000超減。過疎化、EV普及で苦戦」という記事が掲載されていました。

経済産業省の調べによると、2013年3月末時点で3万6349か所あったガソリンスタンド(以下SS)が、23年3月末までに2割超の8386か所が減り、2万7963か所になったそうです。

ピークは1995年3月末の6万421か所だといいますから現在のSSの数はピーク時の半分以下で、28年連続で減少しているそうです。

これを都道府県別に見ると、もっとも減少幅が多かった千葉県では501減の999か所になり、茨城県が445減の959か所、東京都が428減の912か所と関東圏での減少が目立っています。

逆に減少幅が少なかったのは、沖縄の41減(現在322か所)、鳥取の55減(同200か所)、福井の60減(同258か所)など。

この減少の原因は、地方の過疎化などによるSSの利用者の減少、また自動車の燃費が改善したことで給油する回数が減り利用者も減ったこと、さらに電気自動車が普及し始めたことなどが挙げられています。また、2011年の消防法改正で、埋設後40~50年を経過した地下タンクの改修が義務化され、3000万円以上と言われる改修費用がなかなか捻出できない、といった事情を抱える老舗SSも……。

資源エネルギー庁の資料を見ると、SSが1か所もない市町村が全国に8町村、1か所しかないところは97町村、2か所は114市町村、3か所は139市町村。表を見ると、SSの過疎化が進んでいる地域は北海道や福島県、長野県、鳥取県、福岡/熊本/佐賀/大分/宮崎/鹿児島といった九州地区などが目立ちます。

ライダーにとってガソリンスタンドはただの給油場所じゃない

SSの減少は地方にツーリングに行く我々ライダーにとっては見過ごすことができない事態で、初めて訪れるツーリング先で給油しようとしたらそのエリアにはSSがまったく存在しなくて立ち往生してしまうなんてことも起こってしまうかもしれません。

また、何度か行った場所であっても、あそこにSSがあったはずと思っていたら、いつの間にか廃業しているなんていうことも実際に起こっています。

また、SSはツーリングライダーにとってはただの給油場所ではありません。トイレに入ったり、飲み物を買ったり、あるいはその地域の情報を得たりすることもできる重要なインフラ施設。何十キロ走ってもコンビニが一軒もないようなところでは、ツーリングの中継点としてとても貴重な存在です。

一方で、給油利用者の減少などを受けて、最近のSSはカフェやコンビニ、軽整備工場などを併設したりした給油+αをサービスする複合施設が増えています。また、EV化が進むにつれ、充電設備を併設するSSも今後は増えて来るでしょう。

また、将来的には化石燃料のガソリンに代わって、eフューエルやバイオ燃料といったカーボンニュートラル燃料の給油ステーションに代わっていくかもしれません。

しかしこれも、現在あるSSが廃業せずに残っていればの話で、利用者減に加え、後継者問題なども存続を難しくしている要因のようですから、この先の見通しはなかなか立ちません。

立ち寄りやすいロードサイドにあるSSは、前述したように便利で重要なインフラ施設ですから、空白地域が存在しないようにする国の施策も必要だと思います。将来的に足代わりのコミューターが普及し始めたとしても、まだまだ保有台数が多く、地方に住む方々の便利な足になっている原付を維持していくにもSSは絶対に必要です。

高速道路では、大体50km間隔に設置されているサービスエリアにSSが併設されていることが多いので(一部区間ではこの限りではありませんが)、給油の計画が立てやすくなっています。高速道路のように、例えば「50km圏内にはSSを最低1カ所設ける」というような施策はできないのでしょうか。

経産省は24年度予算で、SSの地下タンクの設備補修支援などに44億円を計上しているそうですが、ライダー/ドライバーから不当に高いガソリン税を徴収しているのですから、SS存続のためにさらなる予算を投下してSS空白地帯がこれ以上広がらないようにして欲しいものです。

また、このSS減少による給油難民にならいないための自衛策として、ツーリング先ではYAHOO!ロコといったエリア別でSSを検索できるネットのサービスを利用されることをオススメします。

2024年も全国各地でツーリングを楽しむために、SSの減少という現状をぜひ心得ておいてください。

※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。