ドゥカティは12月11日、ディアベルV4の特別仕様『Diavel for Bentley(ディアベル・フォー・ベントレー)』を発表した。世界限定500台に加え、ベントレーオーナーのみが購入できるというさらなる特別仕様車『マリナーバージョン』が50台という、まさしくスペシャルなディアベルとなる。車両価格は760万円~(予価)で、マリナーバージョンは1035万円(予価)だ。
●文:ヤングマシン編集部(山下剛) ●外部リンク:ドゥカティ
ベントレーと共同開発した類まれなラグジュアリースポーツ
近年のドゥカティは自動車メーカーとのコラボレーションモデルを数多く手がけており、直近では2021年に発表された『ディアベル1260ランボルギーニ』が記憶に新しい。アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されたアートフェア『フオーリサローネ』で12月11日に発表された『ディアベル・フォー・ベントレー』もその潮流にある特別仕様車で、いずれもフォルクスワーゲングループに属するドゥカティならではのコラボレーションだ。
ドゥカティはベントレーとのコラボレーションについて「共通の価値観」とし、ハイレベルなパフォーマンス、クラフトマンシップ、イノベーション、エクスクルーシブなキャラクター、そして栄光の歴史を共有している、とその理由を説明している。
ディアベル・フォー・ベントレーは、ベントレーがハンドクラフトする限定モデル『マリナー・バトゥール』をモチーフとしている。マリナー・バトゥールとは、2022年8月にベントレーが発表した2シータークーペで、740psを発生するツインターボW12エンジンを搭載。生産数は限定18台、車両価格は165万ポンド(当時の為替相場で約2億7500万円。なお発表前にすべて完売)というスペシャルカーだ。
ディアベル・フォー・ベントレーの解説をする前に、マリナーについて簡単に説明しておこう。マリナーとはベントレーのコーチビルダー(車体架装部門)で、その歴史は1559年まで遡ることができる、イギリスの伝統を背負ったブランドだ。もちろん当時は自動車が発明されておらず、19世紀までマリナーは馬車や馬具の製造を手かげてきた。そしてガソリンエンジンの発明によってモータリゼーションが活況を迎えた20世紀初頭、マリナーはベントレーのボディを製造するようになったのである。さらに1959年にマリナーはベントレーの事業部門となり、イギリスの歴史と伝統に基づくラグジュアリーを作り上げるベントレーのパーソナライゼーションを担っているのだ。
ドゥカティ・デザインセンター(チェントロスティーレ・ドゥカティ)は、ベントレーのデザイナーと協力してマリナー・バトゥールのサイドビューを特徴づけている水平ラインをディアベルに採り入れた。車体色のスカラベ・グリーン・カラーは、マリナーのカラーパレットから厳選したもので、ゴージャスさを感じさせるメタリックのブリティッシュグリーンはディアベル・フォー・ベントレーの印象をさらに深く、濃いものとしている。
サイドエアインテークは、マリナー・バトゥールのグリルと同じカラースキームを用いた赤と黒のツートーンとしている。さらにリアエクストラクターはマリナー・バトゥールのスタイルエレメント、フロントフェンダーとフェアリング、燃料タンク上部はマリナー・バトゥールのボンネットのリブ、パッセンジャーシートとシングルシートカバーは、マリナー・バトゥールのリアエンドを形作っているダブルレイヤー・エクストラクターにインスパイアされたデザインとし、ディテールの隅々に至るまで徹底して作り込まれている。2本出しマフラーと前後ホイールも専用デザインだ。
シートもマリナー・バトゥールのインテリアをモチーフとしたブラック・アルカンターラ製で、シート下地には赤いファブリックを用いている。さらにリアパッドにはベントレーの刺繍ロゴをあしらっている。
カーボンファイバーを惜しみなく採用している点もディアベル・フォー・ベントレーを印象深くしており、フェンダー、ヘッドライトカバー、エンジン/エキゾースト/ラジエターカバー、ラジエターシュラウド、サイドパネル、テールピースと多岐に及ぶ。
また、キーオン時のメーターパネルとテールランプに専用アニメーションが表示されるのもこの特別仕様車ならではの特色だ。
ベントレーオーナー限定の「マリナーバージョン」
ベントレーオーナー限定のマリナーバージョンはセミオーダーシステムとしており、ドゥカティ・デザインセンターのスタッフと直接相談しながら、シート、フロントブレーキキャリパー、カーボンパーツ、ホイールなどのカラーをカスタマイズすることができる。また、車体色はオーナーが所有するベントレーと同じカラー、あるいはベントレーのデザイナーが厳選した専用カラーパレットから選ぶことも可能としている。
ディアベル・フォー・ベントレーには、真正証明書、パッセンジャーシート、専用ボディカバーが付属するほか、バーティカルヘッドカバーにはシリアルナンバーが刻印される。さらに専用の木製輸送コンテナに梱包されて出荷され、世界各国の販売店へ送られた後にオーナーへ納車される。
車両だけでなく、スカラベ・グリーンで彩られたオープンフェイスヘルメット(アライ・VZ-RAM)とレザージャケットも制作された。どちらも優れたデザインのプロダクトで、せめてこれだけでも……と思う逸品だが、残念ながらオーナーのみが購入できるスペシャルギアとなっている。
日本への導入数や発売時期は未発表だが、限られた人のみが手にできるレアなモデルになることは間違いない。
ベースとなったディアベルV4は、168psを発生する1158cc水冷90度V型4気筒エンジンを搭載する、ロー&ロングのスタイルを特徴とするマッシブなスポーツバイクだ。クルーザーともドラッグマシンとも違う、ドゥカティにしか作れない独特のデザインが異彩を放つ。4種のライディングモード、コーナリングABS、トラクションコントロール、ウイリーコントロール、パワーローンチ、クイックシフター、クルーズコントロールなど電子制御デバイスは最新バージョンを備えるほか、バックライト付きハンドルスイッチ、ブルートゥースによるスマートフォン連携機能のほか、5インチフルカラー液晶ディスプレイはオプションでターン・バイ・ターン・ナビゲーションにも対応する。
DUCATI DIAVEL FOR BENTLEY
主要諸元■全長─ 全幅─ 全高― 軸距1593 シート高790(各mm) 車重─■水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ 1158cc 168ps/10750rpm 12.8kg-m/7500rpm 変速機6段 燃料タンク容量20L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=240/45ZR17 ●色:深緑 ●価格:760万円~1035万円(予価) ●発売日:未定
ディテールは画像ギャラリーへ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(記念モデル/限定モデル)
アグレッシブで戦闘的なデザインのグラフィックがジェットタイプに登場 ジェットヘルメットのグラフィックは比較的おとなしめのものが多いが、SHOEIの最新ジェットヘルメットは、イエローとオレンジとレッドの[…]
全ての個体にシリアルナンバー入り カワサキドイツの設立50周年を記念した特別モデルが登場した。1975年にカワサキドイツが設立されてから間もなく50周年を迎えるが、すでに2025年モデルとして登場して[…]
トライアンフの歴史を華々しく飾った一流スタントライダーの記念碑的モデル トライアンフ・ロケット3は、2458cc水冷並列3気筒エンジンをクランク縦置きで搭載するメガクルーザーだ。このたび発表された特別[…]
2023年の世界チャンピオン、2024年は総合2位の『Yamalube YART Yamaha EWC Official Team』 ヤマハモーターヨーロッパ(YME)とヤマハオーストリアレーシングチ[…]
伝説のロゴが語る歴史 2024年現在でこそ、三角形にブロック体のアルファベットといった趣の、トライアンフロゴ。しかし100年以上続く、歴史あるブランドだけあって、1902年の盾型デザインに始まり、いく[…]
最新の関連記事(ドゥカティ)
ミドルSSの究極を目指しフルチェンジ パニガーレはドゥカティが誇るスーパーバイクで、2018年からはV型4気筒エンジンを搭載し、その戦闘力を高めるとともに車名がパニガーレV4となった。そして2020年[…]
スクランブラー誕生10周年。スタンダードモデルと特別仕様車を発表 ドゥカティ スクランブラーは、2014年に登場したネオクラシックシリーズで、1960~1970年代に人気を博したモデルをモチーフとした[…]
熟成度が深まったアドベンチャーツアラー ムルティストラーダはドゥカティのアドベンチャーツアラーで、2021年のフルモデルチェンジで1158cc水冷V型4気筒エンジン『V4グランツーリスモ』を搭載した。[…]
ライダーを様々な驚きで包み込む、パニガーレV4S 5速、270km/hからフルブレーキングしながら2速までシフトダウン。驚くほどの減速率でNEWパニガーレV4Sは、クリッピングポイントへと向かっていく[…]
全日本ロードレース最高峰クラスで外国車が優勝したのも初 全日本ロードレース選手権シリーズ後半戦のスタートとなる第5戦もてぎ2&4レースで、ついにDUCATI Team KAGAYAMAの水野涼[…]
人気記事ランキング(全体)
CT125ハンターカブ[47万3000円] vs クロスカブ110[36万3000円/くまモン=37万4000円] 原付二種(51~125cc)クラスの販売台数でPCXとトップ争いを繰り広げるCT12[…]
ホンダV3 どうなる新型モトGPマシン 築き上げた栄光にしがみつくことなく、常に挑戦を続けるホンダ。デビュー初年度に圧倒的な強さで王座に輝いたRC211Vとて例外ではない。すでに次期エンジンを搭載した[…]
「もしも出先でヘルメットを盗難されたら、自宅までどうやって帰るのだろう」バイクに乗っていると、こうした疑問も浮かぶのではないでしょうか。そもそもヘルメット窃盗犯は、なぜ人が使った中古のヘルメットを狙う[…]
通勤エクスプレスには低価格も重要項目! 日常ユースに最適で、通勤/通学やちょっとした買い物、なんならツーリングも使えるのが原付二種(51~125cc)スクーター。AT小型限定普通二輪免許で運転できる気[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
最新の投稿記事(全体)
新体制で挑む10年目のFIM世界耐久選手権 TSR(TECHNICAL SPORTS RACING)が運営する「F.C.C. TSR Honda France」は、2025年シーズンもFIM世界耐久選[…]
量産モーターサイクル世界初のストロングハイブリッド搭載、デザインも新機軸 カワサキモータースジャパンは、諸事情により発売延期されていた世界初のストロングハイブリッド搭載バイク「ニンジャ7ハイブリッド」[…]
レーシングコースのイメージを細やかなグラフィックで鮮やかに表現したモデル SHOEIが積極的にグラフィックモデルを投入しているZ-8のニューフェイスは“ニーダウン”で、ずばり“ヒザスリ”だ。ヘルメット[…]
バイク王の初売り2025 企画①:「500台大放出! 初売り特選車争奪戦!」 バイク王の豊富な在庫車両から、このキャンペーンのため特別に用意された500台の特選中古車を2025年1月4日(土)から2回[…]
第1位:AV2278 DICTATOR MC[AVIREX] バイクシューズ売れ筋第1位にランクインしたのは、AVIREX(アヴィレックス)の「AV2278 DICTATOR MC」です。アヴィレック[…]
- 1
- 2