
川崎重工業は2023年12月12日、2030年に向けた「グループビジョン2030」の進捗報告会を開催した。その中で、モーターサイクルなどにかかわるカワサキモータースは同社のニンジャH2SXをベースとした世界初の「水素エンジン モーターサイクル」をお披露目。このほか2030年に1兆円の売上を目指す戦略などについて発表を行った。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:カワサキモータースジャパン
水素エンジン二輪車を開発、水素エンジン四輪バギーではダカールラリー出場
川崎重工業が12月12日に開催したた「グループビジョン2030」の進捗報告会にて、モーターサイクルなどを開発・生産するカワサキモータースは、2030年に売上収益1兆円を目指し、中間目標の2025年7000億円の達成が視野に入ったことを発表。KHIグループ全体の収益を支える柱として今後も貢献していくとした。
また、メキシコ新工場を2024年度より本格稼働して生産能力を高めるほか、先進国には高付加価値モデルを積極投入すること、脱炭素化の流れに対し電動化/水素エンジン開発を加速するといった戦略を発表した。
その中でサラリと発表されたのが、世界初の水素エンジンモーターサイクルの試作車だ。カワサキモータースの伊藤浩社長は「このバイクはニンジャH2SXをベースにしたもので、年明けには試験走行を開始し、将来を見据えた研究を行っていきます」を言及した。
「グループビジョン2030」の資料に貼付された、CGと思われる画像。
外装デザインはかなり未来的で、後部左右にマウントされた水素タンクはかなり大きい。
2022年のEICMAでは動画などが公開されていたが、実車がお目見えするのはこれが初。先にエンジンのみ展示されていたが、動画や画像などで示されていた、パニアケースのように見える水素タンクもさらに大型化して搭載されている。ヘッドライトの形は水素の元素記号『H』を模したものだろうか。
2022年秋の時点でカワサキは「インフラ次第ではあるが、2030年代初頭に水素エンジン2輪車の実用化を目指す」としており、今回の発表では内燃機関の存続に向けて着実に歩みを進めていることがわかる。
ジャパンモビリティショー2023でモーターサイクル用水素エンジンとして展示されたもの。ニンジャH2SXの並列4気筒をベースに直噴化したスーパーチャージドエンジンだ。
日本メーカー4社とトヨタからなる(HySE: Hydrogen Small mobility & Engine technology)が水素エンジン車「HySE-X1」で2024年のダカールラリーに出場する。エンジンはニンジャH2SXをベースとした998cc並列4気筒を搭載する。
ニンジャH2Rベースの直列6気筒エンジンも開発中!
このほか、『航空エンジン事業への進出』として、ニンジャH2Rのエンジンをベースとした直列6気筒ガソリンターボエンジン、直列6気筒水素ターボエンジンについても言及。これは2023年6月のパリ・エアショーで最初に公開されたもので、同クラスのターボシャフトエンジンと比較して重量はほぼ同等、燃料消費を約3~5割低減できるという。電動/ハイブリッド航空機スタートアップ・VOLTAERO社への出資と協業を推進し、2024年初旬にはニンジャH2SXのエンジンを搭載して試験飛行を実施予定だという。
ニンジャH2Rのスーパーチャージド4気筒エンジンから、直列6気筒ターボガソリンエンジン(緑ヘッド)、直列6気筒ターボ液体水素エンジン(青ヘッド)へ。ガソリン版は2030年に認証登録、液体水素版は2035年に認証登録を目指す。ジェット燃料との互換性を持ったエンジンも同時開発し、こちらのサンプル供給は2030年。
2024年初旬にニンジャH2SXエンジンを搭載して試験飛行を実施予定という試作機。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
水素燃料を使うと、超ハイレスポンスエンジンが出来上がる!? カーボンニュートラルに挑みつつも、我々ライダーが大好きな内燃機関も新規開発を進めるとEICMAで発表したカワサキ。4輪のトヨタを筆頭として、[…]
”PREPARE FOR TAKE-OFF”って……オイ! 最初に言っておきたい。これは光栄にもバイク界の東●ポと呼ばれるヤングマシンが、妄想力を逞しく発揮した記事である。カワサキが直列6気筒ターボ搭[…]
もっとも厳しいレース環境で水素小型モビリティの課題抽出へ 1978年から毎年開催されており、地上でもっともマシンと乗り手が試される過酷なモータースポーツスとして熱烈なファンも多いダカールラリー(当初は[…]
ドローンへの搭載を想定した「αlive RX」、水素エンジン技術の「αlive H2E」 ヤマハのカーボンニュートラル技術を間近で見られる機会が訪れる。2023年5月24日~26日にパシフィコ横浜で開[…]
川崎重工は、大型ハイブリッドドローン試験機の浮上試験に成功したと発表した。これは全長約7m×全幅約5m×全高約2m の大型ドローンで、200kg以上の貨物を搭載し、100km以上の航続距離がある「空飛[…]
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
新型「ニンジャZX-10R」は国内導入は2026年夏か まずは欧州と北米で発表されたスーパースポーツの旗艦、新型「ニンジャZX-10R/RR」の話題だ。 最大の特徴は、フロントカウルに設けられた大型の[…]
カワサキの侵攻で勢力図に異変!? アドベンチャーカテゴリーの世界的な人気は依然として高めに維持されているが、その一方で、主力となるリッタークラスのマシンに対して、「大きすぎる、重すぎる…」と感じている[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
新型Z900RS発表を記念した火の玉グラフィック! 「かわす性能」をさらに高めるためのフォルムを生み出す、世界初のシールドシステム〈VAS-VCシステム〉を搭載したアライヘルメット「RAPIDE-NE[…]
通勤からツーリング、サーキット走行まで使えるカウル付き軽二輪スポーツ 日本の道に最適といえるサイズ感や、通勤/通学からツーリングまで使える万能さが軽二輪(126~250cc)の長所。スクーターやレジャ[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
新型「ニンジャZX-10R」は国内導入は2026年夏か まずは欧州と北米で発表されたスーパースポーツの旗艦、新型「ニンジャZX-10R/RR」の話題だ。 最大の特徴は、フロントカウルに設けられた大型の[…]
12/11発売:ホンダ スーパーカブ110/スーパーカブ110プロ/クロスカブ110 ホンダの原付二種ビジネス&レジャーモデル群、「スーパーカブ110」「クロスカブ110」などが12月11日に発売され[…]
GSX-S1000GT 2026年モデルは新色投入、より鮮やかに! スズキはスポーツツアラー「GSX-S1000GT」の2026年モデルを発表した。新色としてブリリアントホワイト(ブロンズホイール)と[…]
ボルドールカラーのCB1000Fがアクティブから登場 アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムが発表された。CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、いわゆる“スペ[…]
YZF-R7、R1譲りの電子制御を獲得し大幅進化!【海外】 新型YZF-R7が欧州と北米で発表。R1由来の6軸IMUと電子制御スロットル(YCC-T)を新たに採用し、電子制御が劇的な進化を遂げた。バン[…]
人気記事ランキング(全体)
KTMの進化ポイントを推測する 第17戦日本GPでマルク・マルケスがチャンピオンを獲得した。ウイニングランとセレブレーションは感動的で、場内放送で解説をしていたワタシも言葉が出なかった。何度もタイトル[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
前バンクはクランクリードバルブ、後バンクにピストンリードバルブの異なるエンジンを連結! ヤマハは1984年、2ストロークのレプリカの頂点、RZシリーズのフラッグシップとしてRZV500Rをリリースした[…]
ボルドールカラーのCB1000Fがアクティブから登場 アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムが発表された。CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、いわゆる“スペ[…]
超高回転型4ストローク・マルチのパイオニアはケニー・ロバーツもお気に入り 今回ご紹介するバイクは1985年春に登場した超高回転型エンジンを持つヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)です。 フェー[…]
最新の投稿記事(全体)
アイルトン・セナ 1992年 ショウエイX-4 1992年のベルギーGPでアイルトン・セナがレースで着用した本物。お値段は驚愕の1億4360万円で落札されています。ヘルメット自体はショウエイX-4レー[…]
バイクは、心と身体をひとつにするスポーツ。心の健康法そのものです。 アメリカは情報革命の最先端を行く国です。そのアメリカの製薬業界が今、開発にもっとも力を入れてるのは心の病=うつ病の薬と聞きます。 医[…]
新型「ニンジャZX-10R」は国内導入は2026年夏か まずは欧州と北米で発表されたスーパースポーツの旗艦、新型「ニンジャZX-10R/RR」の話題だ。 最大の特徴は、フロントカウルに設けられた大型の[…]
カワサキの侵攻で勢力図に異変!? アドベンチャーカテゴリーの世界的な人気は依然として高めに維持されているが、その一方で、主力となるリッタークラスのマシンに対して、「大きすぎる、重すぎる…」と感じている[…]
[プレミアム度No.1] エボリューション集大成モデル。スプリンガースタイルがたまらない!! ストック度の高さはピカイチ!! 取材時に年式が最も古かったのが1998年式ヘリテイジスプリンガー。この車両[…]
- 1
- 2












































