
ホンダGB350の登場当初から、ずっとくすぶり続けている”500″の噂。ただでさえ鼓動感の気持ちいいGB350、500ccの排気量を得ればもっとドコドコ楽しくなるのは間違いない!! …と考えるユーザーは少なくないはずだ。そこで、ヤングマシンが得ている情報と推測を交えて「GB500」が登場する可能性を検討してみたい。ぶっちゃけ、作ること自体に問題はなさそうだが、それ以前の障壁があるようで…。
●文:ヤングマシン編集部
エンジン自体は「500」を見越した設計だ
GB350に常につきまとう「500cc存在説」。その噂の出元をひも解いていくと、2021年春に開催されたメディア向け試乗会にたどり着く。ホンダの主催で千葉県南房総市で開催されたこの会場に、撮影用としてGB350のクランクシャフトとシリンダーヘッドが展示されていたのだ。このシリンダーヘッドを手にしたヤングマシン編集部は雷撃のごときショックを受けることになる(大げさ)。
詳しくは写真を見て欲しいが、GB350のシリンダーヘッドは素人目にもかなりのボアアップを許容しそうな寸法だったのだ。GB350の開発チームが趣味人というか、一癖も二癖もある(褒めてます)曲者揃いなことは、試乗会に参席していた彼らとの会話で痛いほど分かっていた。「間違いない。これは開発陣の”匂わせ”だ!」 と、ヤングマシンを中心とする二輪メディアが騒ぎ出したというわけだ。
【GB350 シリンダーヘッド】まずはこちらをじっくりご覧ください。少しでもエンジンの知識があれば「!」のハズ。
しかし本当に”ビッグGB”は存在するのか? ここからはヤングマシンが得た情報と推論を交えた話として聞いて欲しい。
まず、GB350のエンジンが排気量アップを見据えた設計なのは間違いない。我々ヤングマシンとしても、これについては確証を持っている。しかしこれは”ピストンさえ用意すればすぐボアアップできる”などという単純な話ではなく、メーカーが大排気量版を作ろうと考えた際に、様々な面で不都合のない設計になっている…というふうに考えてもらいたい。
もちろん実際に「500」を作るとなれば、ピストンやシリンダーだけでなく、クランクシャフトやバランサーなどは専用品となるだろうし、排気/吸気系も350とは要求スペックが異なってくるだろうが、出来る限り350のパーツが流用できるような設計の工夫がなされているはずだ。
車体に関しては350のままでも問題はないだろう。GB350のスペックは20ps/3.0kg-mで、これが約1.4倍の500ccになっても単純計算で28ps/4.2kg-m程度。8ps程度のプラスであれば350の車体でも対応できるはずだ。GBの名を関するのなら、これ以上のパワーを追求するとも思えないし、そもそもエンジンが拡大を見越しているのだから、車体にも何らかの”仕込み”があるのかもしれない?!
単気筒ゴヒャクはビジネスとして難しい?
作ること自体は難しくなさそうなビッグGB、最大の壁は”売れるのか?”に尽きるだろう。現在から過去まで空冷500cc単気筒のヒット作なんてそうそう思い浮かばないし、そもそも500シングルという車両自体が現在の市場にはほとんど存在しない。ロイヤルエンフィールドですら以前は存在した500cc単気筒をカタログ落ちさせている現状を見れば、メーカーとして二の足を踏むジャンルなのは理解できる。
というわけで、ここからはヤングマシンの提案。できる限り350の部品を流用してコストを抑え、例えば60万円台の「日本で最も安い大型車」として発売するのはどうだろうか? 価格の安さは何にも代えがたい武器だし、その方向なら欧州などでも受け入れられる可能性がありそう。2012年に「400ccの値段で変える大型バイク」として59万8000円で発売された、NC700Sのようなブームも喚起できるかもしれない。「いいものを安く、たくさん売る」は、ホンダさんのポリシーでもありますし、ね?!
【シリンダー肉厚にはかなりの余裕】ボアアップの余裕は、シリンダー内壁とスタッドボルトの間にどれだけ肉厚があるかで決まる。そこでGB350だが、ボアはΦ70mm(GBの場合は燃焼室の直径と同じ)で、その外周とスタッドボルトの間隔は約20mmもあるのだ。90.5mmのストロークはそのままに、ボアΦ83.5mm(=13.5mmボアアップ)の496ccとしてもシリンダーの肉厚は13mm以上残る計算。こんなの見たら…そりゃあ騒ぐでしょ!!
【’23 HONDA GB350】令和2年排ガス規制に適合し、3月に発表された2023年型GB350。一見すると何も変わっていないが、マフラーの内部構造やFIインジェクターの装着位置、ACGや排気センサー、クラッチレバー周辺など事細かな改良が施されている。
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