‘70s国産名車 カワサキ 900スーパー4 Z1 再見【驚異の動力性能と流麗なスタイルで世界を席巻】

カワサキ 900スーパー4 Z1

今も絶大な人気を誇る’80年代の名車たち。個性の塊であるその走りを末長く楽しむには、何に注意しどんな整備を行えばよいのだろうか? その1台を知り尽くす専門家から奥義を授かる本連載、今回は言わずとしれた名車、カワサキのZ1をあらためて紹介する。まずはこの名車の特徴と歴史について振り返ろう。


●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:富樫秀明 ●取材協力:GPクラフト

カワサキ 900スーパー4 Z1: 車両価格は高価だが整備環境は良好

量産初の並列4気筒車という称号は、’69年にホンダが発売したCB750フォアに譲ったものの、’72年秋からカワサキが海外市場での販売を開始したZ1:900スーパー4は、2輪の歴史を語るうえで欠かせないモデルだ。

もっともそういう見方をするなら、カワサキが’69/’71年に世に送り出した2スト並列3気筒の500/750SSもインパクトは強烈だったのだけれど、4スト並列4気筒ならではのスムーズさと圧倒的な動力性能を両立し(82psの最高出力は、同時代の他メーカーの旗艦を15~25psほど上回っていた)、スリム/スリーク/セクシーの“3S”をテーマとする流麗なスタイルを導入したZ1は、以後のビッグバイクに多大な影響を及ぼす、当時としては画期的な存在だったのである。

そんなZ1に端を発する空冷Zシリーズの前期型は、排気量の拡大や細部の熟成を行いながら’80年まで生産が続き、’81年以降は後期型のZ1000J系にバトンタッチ。そして’84年にカワサキの新世代の旗艦としてGPz900Rがデビューすると、市場における空冷Zシリーズの評価は、イッキに下落することとなったのだが…。

フルカウルを装備する超高性能車が各社から続々と登場したことへの反動なのだろうか、’80年代末からは日本を中心にして、空冷Zシリーズの再評価が始まる。ちなみに、当時の空冷Zシリーズはカスタムの素材として見られることが多かったものの、’90年代になるとノーマルに価値を見出す人が増加。現在の価格高騰に至る。

【’72 KAWASAKI 900 SUPER4 Z1】■全長2200 全幅865 全高1170 軸距1490 シート高── 乾燥重量230kg キャスター/トレール26度/90mm ■空冷4ストローク並列4気筒DOHC2バルブ 903cc 内径×行程66×66mm 圧縮比8.5:1 最高出力82ps/8500rpm 最大トルク7.5kg-m/7000rpm 変速機5段リターン 燃料タンク容量18L ■タイヤF=3.25-19 R=4.00-18

【チューニングを視野に入れた設計】過剰品質と呼ばれたエンジンは、1200cc前後までの排気量拡大を念頭に置いて開発。ホンダCB750フォアのSOHCヘッド/一体鍛造クランクに対して、Z1はDOHCヘッド/組み立て式クランクを選択。

【斬新な構成の砲弾型ケースで独自性を演出】日本電装の2連メーターは至ってオーソドックスだが、砲弾型ケースは空冷Zシリーズ前期型ならではのデザイン。イグニッションキーシリンダーの上に見える穴は、純正キーホルダーの収納を前提としていた。

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