いまやETCはバイクに必須の装備購入・装着費用の助成を求めていく
(P1から続く)
ETC購入の助成もAJが取組んできた仕事のひとつだ。
「二輪ETC機器が1メーカーからしか発売されていない時代、ミツバサンコーワさんに機器を作ってもらいました。やはり種類がないと普及も進みませんからね。同時に、助成金の陳情もしてきました。あるとき国交省の高速道路課が今後はETC2.0以外の機器への助成はしないと発表したのですが、そのときも2.0は従来モデルよりも価格が高く、二輪にはメリットがほとんどないので何度も陳情を繰り返し、従来モデルも継続生産するようにミツバサンコーワさんにも依頼しました。それもあって、2022年2月から6月まで行った助成キャンペーンでは6万台のバイクがETCを装着しました。来年も助成をお願いする予定です」
ツーリングプランや、ETC定率割引もETC装着車が対象で、首都高や一部の高速道路にETC専用入り口が設置されるなど、ETCはバイクにとっても必須の装備になっていく見込みだから、今後もAJの陳情活動に期待したい。
そして、北海道から沖縄まで、全国に支部を持つAJにはさまざまな規制に関する情報が入ってくる。昨年、AJの働きで規制緩和が実現した例がある。
沖縄の道路には、3車線道路でもバイクは一番左の車線を走らなければいけない区間が存在している、一番左側の車線を走って、右折する際は直前に右端の車線に移動するように定められているのだ。交通量が多い3車線道路で、一番左から右端に素早く移動するのはかなり危険な行為であることは誰の目にも明らかだが、それが昭和53(1978)年から放置されたままになっていたのだ。
「施行した当時は、まだ50ccしか走っていなかったのかもしれませんが、いまは大型バイクもたくさん走っていますし、観光客の方がレンタルバイクで沖縄を走るケースもあります。ルールを知らないと危ないし、違反になってしまいますよね。交通状況が大きく変わっているのにまったく変更する気配がないので、沖縄に行った際は必ず県警に行って、この規制を解除するようにお願いしていたんです。それでもなかなか変わらなかったんですが、一昨年の暮れに公明党のオートバイ懇話会の要望懇談会に警察庁の担当者が出席していたんで、沖縄のことを話したんです。そうしたら、翌年の3月に一部区間の規制がなくなりました。ただ、その区間の前と後ろの道路がまだ左端を走らなければいけないので、それも解除するようにお願いしていくつもりです」
駐車場問題の解決は、会議体を作りバイクの利活用方法を討議することから
駐車場不足、駐車禁止の問題にも、AJは長年にわたり取組んでいる。
「駐車場に関しては、バイクをどういふうに利活用するかという観点から考えなきゃいけないと思っていまして、会議体を作って話さないと進展はないんだと考えています。バイクの利用の仕方ってなんだろう。なかには電車に乗り継ぐための手段として使っている人もいますが、本来は用事を足しに行ってまた乗って帰って来るという使い方じゃないかと。そうすると、どこにでも停められなくちゃいけない。ですから会議体で、本来のバイクの使い方を討議していこうと、東京都の小池知事にも打診しています。やはり、地方の自治体さんには東京の影響力は大きくて、東京が動けば地方も動きますから。そして、当然、政治家の先生方が主導する形でなければ何かを変えるのは難しいですから、オートバイ議連等の先生に言って関係省庁にも働きかけていただこうと考えています。そのうえで、やはり駐車場が必要だねということにしていかないと」
実際、コロナ禍でバイクに乗り始めたが、思ったよりも不便だし、乗ってみたらけっこう大変だと早々にバイクを手放す人もいて、オークションなどに高年式のバイクが出品されているそうだ。
「バイクを取り巻くさまざまなルールがありますが、どれも神様が作ったルールではなく、人間がその時々の事情を考慮して作ったもの。そうすると、時代や状況に合わないものも出てきますから、今の時代に合った、現実的なものにしていくために頑張っていきます」
大村会長の提言
- 原付を必ず残す
- 来年もETC助成を実現
- バイクの利活用方法を会議体を作って検討
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