
●文:ヤングマシン編集部(Nom)
[その1] バイク専用料金の実現:首都高料金の1000円上乗せで露呈した、国交省/道路会社の詭弁
高速道路料金の基本的な考え方は“受益者負担”。したがって、車両の重量/専有面積/乗車定員に応じて料金が高額になる仕組みとなっているが、なぜかバイクは軽自動車と同区分で同じ料金が設定されているのはご存知の通り。
しかし、軽自動車と比較して大幅に軽量で専有面積も狭く、道路に対する負担も大幅に少なく、乗車定員も2人のバイクが同じ料金なのはおかしい、バイク専用の料金区分(軽自動車の8分の5程度の料金=普通車の半額)を作るべきだ、と長年にわたり自工会/バイク関連団体/AJなどが主張し続けてきた。
2021年の東京オリンピック開催期間中、首都高速は値上げを実施した。
これに対して国交省やNEXCO等の道路会社は、料金区分を新設するためには高額なシステム改修費がかかるなどとして、バイク専用料金の新設を拒んできたのだが、2021年の東京オリンピックの際に、混雑回避のために会期中の首都高料金を1000円上乗せすることを決定。これに対して、そんなにフレキシブルな料金設定ができるなら、バイク専用料金も設定できるはずと、バイク側の関係者はあらためて強く主張するとともに、それまでの国交省と道路会社側の答弁が詭弁であったことが明白になったのである。そして、2022年4月から始まった定率割引により、事前申込が必要などいくつかの条件付きとはいえ、“バイク専用”とも言える料金を設定することが可能だということがより明らかになった。
いままで頑なに“できない”と言っていたことが“できる”のだと分かったいま、“いつでも/どこでも普通車の半額”というバイク専用料金を新設することを、国交省/道路会社が拒む理由はもはやなくなったと言っていいだろう。
念願の専用料金実現は、すぐそこまで来ている!
[その2] ETC専用料金所の設置:ユーザー側のメリットはどこに?
戦略的な料金体系の導入が容易になること等を通じた混雑の緩和や、高速道路内外の各種支払いにおける利用者利便性の向上、感染症リスクの軽減等のため、料金所のキャッシュレス化/タッチレス化を推進することなどを目的に、2022年3月から設置が始まった首都高速道路等の“ETC専用料金所”。
もっともらしい理由を挙げてはいるが、正直言ってユーザー側のメリットはほとんどなく、逆にETC非装着車にとっては利用できない料金所ができたというデメリットしかない。とくにバイクの場合は、ETC機器やセットアップ料金の高さに加え、複数台のバイクを所有する方はメイン車種以外には装着していないケースがあるなど、特有の事情で装着率が低いのが現状。
設置開始から5カ月経った時点で、ETC非装着車が専用料金所に誤って進入した場合に備えて設けられている“サポートレーン”は何件くらい利用されているかを首都高速サイドに尋ねたところ、件数は公表できないとの回答だった。
ユーザーに不便さを強いながら、不都合なデータは公開しないなど、自分たちの都合だけで業務の効率化を推進している様子が明らかだ。
2022年3月から設置をスタートした高速道路料金所のETC専用料金所は、現在、首都高速の35カ所と東日本管轄の東京外環道の2カ所、中日本管轄の中央道と圏央道の計40カ所。非搭載車が誤って進入した際に係員と通話ができるサポートレーンが併設されている。
[その3] 使い勝手が良くないツーリングプラン
NEXCO東/中/西日本の各社が提供する“ツーリングプラン”は、2日間ないし3日間、決められたルート内の高速道路が乗り降り自由で40~50%割引で利用できるというもの。2022年は、東日本6コース/中日本6コース/西日本8コースの計20コースが用意されて、定率割引開始後の4月25日から提供が開始されている。
しかし、平日も使えるなどのメリットもありながら、現実は7月下旬時点で20コースの利用者合計は4万3500件と、定率割引の約30%の使用率にとどまっている。
その最大の理由は、利用範囲があらかじめ決められているため、自分が行きたい所ところに行けないなど使い勝手が良くないこと。
やはり普通車の半額で、好きなところに行ける定率割引のほうがメリットが大きいと言える。
バイクの高速料金は割高だという声を受けて、2017年から用意された“ツーリングプラン”。開始当初こそ、初めての割引料金ということもあって利用件数もそれなりだったが、定率割引が導入された2022年は7月現在で3社合計で4万3500件と伸び悩んでいる。
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