●文/まとめ:ヤングマシン編集部(田中淳磨)
- 1 7割以上の生徒が好印象
- 2 “難しさ”を楽しく知る場
- 3 “知る”場としては大成功
- 4 [連載] 2輪車利用環境改善部会に関連する記事
- 5 [高校生のバイク問題] 静岡県飛龍高校にOBらがカブを寄贈〈背景には整備士資格検定の改正〉
- 6 [バイク駐車場問題] アキッパが調査結果を報告〈8割以上が駐車場不足を実感〉
- 7 [バイク駐車場問題] 駅近の駐輪/駐車場事情:小田急電鉄編〈高架下や法面脇に駐車場を設置〉
- 8 [高校生のバイク問題] 埼玉県は“特定原付”の周知/啓発に自転車講習会の場を活用
- 9 [バイク駐車場問題] 北海道ツーリングの拠点・札幌の、雪国ならではの課題と対応
- 10 [高校生のバイク問題] 三ない運動を廃止し、交通安全講習会を始めて6年。埼玉県の目的と思いとは?
- 11 [高校生のバイク通学] スクールバス廃止などの環境悪化に、ふくらむ電動原付への期待
- 12 [バイク駐車場問題] 国交省が条例等を見直し? “駐車場政策のあり方検討会”で議論される施策の近未来
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7割以上の生徒が好印象
前回に続いて、’21年に埼玉県で開催された「令和3年度高校生の自動二輪車等の交通安全講習」のアンケート結果について紹介する。埼玉県は’19年4月から三ない運動を撤廃し、バイク免許の取得や購入/乗車について、保護者同意のもと学校への届け出制とした。その上で、県の教育委員会が中心となって”乗せて教える”能動的な交通安全教育を推進している。県内を6地域に分けた講習会は、毎年1回、各地の自動車教習所に対象生徒を集めて開催されている。その内容は、原付バイクや自動二輪車を対象とした運転実技講習に加え、交通法規やマナー/モラルといった講義(座学)、さらには事故発生時の救急救命法にまで及ぶ充実したものだ。それでは、受講生徒がどのように感じていたのかを見てみよう。
まず紹介するのは、「受講した講習の印象について」という質問で、実技講習/講義/救急救命法についてそれぞれ選択するものだ。回答結果を見ると、「大変良かった」と「良かった」というポジティブな選択肢がとても多く、合計すると、3項目ともに7割以上の生徒が好印象を抱いていた。「あまり良くなかった」「良くなかった」を選択した生徒は極端に少なく、無回答が1割ほどいたことを差し引いても、参加生徒のほとんどが講習会の内容に満足していることがわかる。
“難しさ”を楽しく知る場
次に、講習を受けた感想についてのフリーアンサー(自由記述回答)結果について、テキストマイニングしてみた(図1参照)。
単語(名詞)で見ると、スコア(重要度の高い言葉)が高かったのは「救急救命」「aed(AED)」といった救急救命法に関連するワードだった。これらに続いては、「運転」「大切さ」「講習」「危険」といったワードが並んだ。こうした名詞の共起関係(同じ文章に出てくる)や修飾関係(同じ文章内での、形容詞や動詞への係り受け)を見てみると、次のような参加者の感想が見えてきた。
- ポジティブ:「走行〜楽しい」「講習〜楽しい」「指導員〜楽しい」
- ネガティブ:「千鳥〜難しい」「走行〜難しい」「運転〜難しい」「低速〜難しい」
受講生徒は、指導員による実技講習は楽しいものとしてポジティブに捉えているが、その反面、低速/千鳥走行などを体験することで、運転の難しさを再認識しているようだ。また、係り受け解析を進めると、「運転〜見直す」「丁寧〜教える(教えてもらう)」「大切さ〜わかる」「知識〜付ける」「危険〜知る」といった修飾/被修飾関係も見えてきた。こうした関係性からは、講義や救急救命法の内容といった知識の習得面について、参加生徒の中で”大切なこと”として受け止められていることがわかる。
“知る”場としては大成功
アンケート結果を見ると、教育委員会や指導員らの狙いはしっかり生徒に伝わっていることがわかった。実技講習の場は、運転/操作の難しさを知るとともに、愛車の状態や自身の運転レベルを知る場であり、決して運転技術上達の場ではない。ライディングスクールにありがちな、「テクニック」という言葉がひとつもなかったことはむしろ良いことだ。公道を走る上での危険は何か、安全運転に大切なことは何かを知ってもらう場としては大成功だろう。
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