カスタムというかチューニングというべきなのでしょうか? 自分の使用用途に合わせてバイクのパーツを交換する行為。林道でのオフロード走行からキャンプ道具を満載してのロングツーリングがしたいと、モトメカニック編集部ミヤシがCT125ハンターカブを購入したのは’20年6月。それを実践し始めて、どうしても交換したくなったのは”リヤサスペンション”。それも自分好みの逸品を。本連載(全5回)は、そんなCT125カスタム沼にどっぷり肩まで浸かったミヤシのリヤサス開発奮闘記です。
●文/写真:モトメカニック編集部(ミヤシーノ 宮下豊史) ●外部リンク:アラゴスタモーターサイクルサスペンション
- 1 CT125はオールマイティに使える大変優れたバイクです
- 2 旅仕様にカスタム開始! トップケースにスクリーン、エトセトラ
- 3 それは静岡駅前のおでん屋のカウンターから始まった
- 4 高荷重時はどんな感じになるのかな?
- 5 フルボトム問題
- 6 CT125カスタムリヤサスをクラウドファンディング型ECサイト『2輪市場 by ヤングマシン』で限定販売中!!
- 7 [特集] CT125ハンターカブリヤサス開発奮闘記に関連する記事
- 8 〈開発期間約2年の成果現る〉CT125ハンターカブ用カスタムリヤサスペンション開発奮闘記#4【2輪市場で販売中】
- 9 【2輪市場で販売中】CT125ハンターカブ用カスタムリヤサスペンション開発奮闘記#3〈林道テスト編〉
- 10 CT125ハンターカブ用カスタムリヤサスペンション開発奮闘記#2〈オフロード&九州ツーリングテスト編〉【2輪市場で販売中】
- 11 〈旅にキャンプに林道に〉CT125ハンターカブ用カスタムリヤサスペンション開発奮闘記#1【2輪市場で販売中】
- 12 CT125ハンターカブ 自分仕様のオリジナルパーツを作ってみた〈サイドカバー&リヤサス編〉
- 13 最新の記事
CT125はオールマイティに使える大変優れたバイクです
CT125ハンターカブの実車を初めて見たのは、’19年秋の東京モーターショーでのこと。その後すぐに発売されるという噂を耳にし、さらに『ヤングマシン』誌面上に掲載されるスクープ記事を見かけるたび、CT110をしっかりオマージュした懐かしいデザインに惹かれ「いいなー、欲しいなー、絶対に買うぞ」と心に決めました。
その翌年6月にCT125の販売が開始。2月早々に予約していたので、発売日と同時に獲得することができ、納車当日に富士山近くの林道へ持ち込み、早速オフロード走行を楽しみました。
まだ下ろしたてでもったいないので、控えめの走行。飛んだり跳ねたり、アクセル全開はしませんでしたが、カタログのイメージ写真にもあるような、山の中をゆったりトレッキングする程度の使い方であれば、何の不足もない、満足度の高いバイクです。
さらに気になったのが、ツーリング性能です。特にCT125ハンターカブのアイデンティティのひとつである大型のリアキャリアに注目。日帰りツーリングではなく、キャンプ道具を満載して北海道や九州へのロングツーリングがしたい、むしろ日本一周? と夢見た方も多いのでは? 自分もまさにそのひとりです。
旅仕様にカスタム開始! トップケースにスクリーン、エトセトラ
納車から3ヶ月後、ロングツーリングを見据えて、ツーリングツアラテック製のアルミトップケースを装着。72Lもの大容量で2泊3日程度のキャンプツーリング荷物ならばすっぽり収まります。さらに焚き火台/コット/テーブルなど思いつく道具を積載してもへっちゃらです。撮影を絡めたツーリングだとカメラ機材を積むこともあります。大きな荷物をバイクに背負ってキャンプ地まで移動。荷物を降ろしテント設営後は近くの林道を散策するのが、自分の定番スタイルとなりました。
しかしここで問題となってくるのが、リヤサスペンションの性能です。純正のリヤサスはこれだけの荷物を載せてもフルボトムすることなく走行ができます。よくよく考えてみると、二人乗りを想定しているということはリアに60キロ以上の荷重がかかるのは想定内。キャンプ道具の重さなんてたかが知れています。
ただし空荷の場合の乗り味はけっして褒められたものではありません。しっかり荷重をかけたライディングをしないとリヤサスが動きません。ダンパー性能も高くないので、林道走行時の路面の段差に差しかかるたびにピョンコ、ピョンコとリアが跳ねます。長距離ライドをした後は、お尻と腰にじわりとした痛みが発生し、疲労感が残ります。
一方で、荷物を満載にしたときは、サスの初期の沈みが多くなるので、プリロードをかけたくなりますが、残念ながらその調整機構はありません。
林道では楽しくキビキビと。ロングライドでは快適に。そして荷物満載をしても破綻しないリヤサスペンションがあればなー、と考えたのが自分仕様のサスペンションを作るきっかけとなりました。
それは静岡駅前のおでん屋のカウンターから始まった
静岡市清水区のモトテック.LLC杉山代表は昔からのお付き合いのある方で、かつ飲み友達。同店はオランダから輸入したサスペンション「アラゴスタ(Aragosta)」に日本製スプリング「スイフト(swift)」を組み込んで販売するサスペンションメーカーでもあります。静岡市の青葉横丁のおでん屋でCT125のリヤサスに対する不満を漏らしたところ「じゃあうちで作りましょう」という流れに。飲みの席での話なので、そこまで期待していなかった(失礼!)のですが、翌週、ミヤシーノ事務所までCT125の純正リヤサスをチェックしに来てくれました。
純正リヤサスペンションのバネレート/全長/アッパー/ロアマウントの形状などを計測し、オレンジのスプリングが装着されたCT125用アラゴスタサスペンション試作版ができ上がったのはその翌週のこと。仕事が早い!
何度もテストをする前提でサスを組んでもらいました。バージョン1は純正よりも良く動くサスペンションを目指します。スプリングのバネレートは純正より柔らかめ。純正は1.4kgf/mmで、これは1.2kgf/mmと弱めです。スプリング長が純正より短いですが、杉山氏の手元にちょうどあったスプリングを装着したためで、特に意図はありません。むしろ長めのスプリングのほうが、プリロードの掛け幅を多く取れるので、1Gでの車高を調整しやすいメリットや、よりしなやかなサスとなる傾向がありますが、まずはバージョン1で走り込んでみます。
荷台に何も載せない一人乗りでのテストを開始。町中を少し走っただけで、段違いに動きが良くなったことに気付き、感動。とにかくしなやかに動きます。よく動くのは当たり前。ゴツゴツとした突き上げがなくなり、アスファルト上のギャップをしっかり追従し、スムーズにバイクを走らせることができるようになりました。
高グレードのリプレイスサスペンションの特徴のひとつでもあるセッティング機構も潤沢です。プリロード/リバウンドアジャスター/全長の変更が可能(純正は何ひとつ調整できません)。ちょっと走ってはセッティングを繰り返します。
アスファルト路面の次は、林道に持ち込みオフロード路面でも走行テスト。アスファルト路面では出合えないような段差を乗り降りしたり、ジャンプさせたりし、フルボトムをしないことを確認。細かなギャップをすべて吸収してくれるので乗り味が気持ちいい。リヤサスペンションを交換するだけでこんなに乗りやすくなるとは!!
オンロード/オフロードともに空荷走行時の問題はまったくありません。しかしリヤサスペンションが優等生すぎて、純正のフロントサスペンションのネガな部分が気になるようになりました。これもいつか改善しなければ。リヤサスの次にトライしたいパーツとなりました。
高荷重時はどんな感じになるのかな?
次に高荷重時のテスト。トップケースに荷物を満載し、プリロードを掛け1Gの沈み込みを調整。2泊3日のキャンプツーリングでテストします。
東京23区内から南箱根経由で本栖湖を目指します。走り始めはリヤサスペンションの動きに目が行くより先に、予想以上に積載してしまった荷物に車体が振られて、ドキドキ。慣れてくると乗り方がわかり、安定して走行をすることができました。
市街地を抜け、流れの良いバイパスを走り、箱根の山道を登ります。乗り味は悪くはないのですが、いかんせんリアヘビーでコーナーリングが楽しくありません。車線変更でアスファルトに刻まれた轍をまたぐたびに大きく車体が振られます。
シャフトにタイラップを巻きつけてどこまでボトムしたかをチェックできるようにしました。休憩時にリヤサスをチェックしたところ、道中に特に大きくショックを受けた覚えがありませんが、フルボトムをしていました。
フルボトム問題
これは問題です。おそらく加速時や上り坂で荷重がリアに集まった時、些細なギャップを乗り越えた時にフルボトムしているようです。バンプラバーに当たったり、当たり続けている感じではないので、フルボトムしているのもほんの一瞬のようです。しかしこれはまずいと考え、スプリングのレートを再考をする良いテストツーリングとなりました。
バージョン1のスプリングレートは1.2kgf/mm。スプリングの全長は180mm。
これをオフロードでのしなやかさを保ちつつ、高負荷をかけたときにも耐えうるスプリングにするとなると、どのくらいのレートにするべきなのでしょうか。悩んだ挙げ句、杉山氏に丸投げすることに。
「いくつかスプリングを用意しますね」と心強いお返事をもらえました。さて次はどんなスプリングが送られてくるのか、楽しみです。
(つづく)
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上で紹介したCT125ハンターカブ用カスタムリヤサスペンションを、ヤングマシン編集部が新たに開設したクラウドファンディング型ECサイト『2輪市場 by ヤングマシン』にて限定販売中です。愛車のパフォーマンスをさらに高めたいと思うハンターカブオーナーの皆様は、本連載を読み進めつつ、ぜひ詳細をチェックください!!
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