
“世界の工場”と呼ばれた中国は、その技術力を高め、信頼性の高いプロダクトも数多く展開している。そして近年の2輪界においては、デザインにおいても高いクオリティを見せるようになってきた。ここでは「第78回EICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)2021」現地会場で目を引いた中国発ブランドを紹介する。
●文/写真:ヤングマシン編集部(河野正士)
【レポーター:河野正士】フリーランスのバイク系ライター。ニューモデルのインプレッションから海外のカスタムバイク系イベントの取材まで幅広く活動。EICMA取材は通算で10回を超える。
厳しい状況だからこそ実力あるブランドが残る
EICMA2021では、中国勢の躍進も目立った。欧州ブランドと手を組んだ彼らは、最先端の技術や洗練されたデザインを取り込み、ここ数年でその完成度は飛躍的に向上。これまで素通りしていたブランドでも、思わず足を止めてしまうようなキラリと光る車両を数多く見ることができた。
また、出展者としてだけではなく、老舗ブランドのビジネスに積極的に介入するビジネスマンとしての中国ブランドの底力も見せつけられた。ベネリを傘下に持つQJ MOTORS(QJモータース)は、新たにMVアグスタともパートナーシップを結んでいる。こういった欧州ブランドと中国、さらにはインド企業との技術および資本提携はあちこちで起こっていて、EICMA終了後もその手のニュースで溢れている。パンデミック後すぐの、この厳しい経済状況での出展は、高い実力とともに優れた戦略を持つ企業であることの証拠。勢いを感じて当然だ。今後の動きにも注目したい。
CFMOTO:欧州ブランド的アプローチを見せた中国ブランド
’22年にはKTMのマシンを使用し、モト3クラスにCFMOTO(CFモト)ブランドで参戦することを発表。’13年よりKTMと技術提携し、現在は中国におけるKTMの販売権を持つと同時に、KTMとの合同事業でKTM製品の中国工場を運営している。またKTMグループのデザインまわりを一手に担うデザイン会社・KISKA(キスカ)もグローバルパートナーとなり、その最新モデルと次期市販車の2台がアンベールされた。
’22年に市場投入を目指しているコンセプトモデル「SRC21」。排気量400cc以上の並列2気筒エンジンを搭載予定だ。
SRC21とともにアンベールされた’22年モデルの「300SR」。水冷単気筒エンジンを搭載する、スーパースポーツのエントリーモデル。
CFモトのヘリテイジシリーズ「700CLX」。アップハンドルを持つこの車両はヘリテイジモデル。ほかにカフェ的スタイルのスポーツがある。
水冷並列2気筒エンジン搭載のネイキッドモデル「650NK」。街乗りからツーリングまでマルチでこなすCFモトのスタンダードモデル。
水冷単気筒エンジンを搭載するライトウェイトスポーツモデル「300NK」。カラーTFTディスプレイなど装備も充実している。
QJ MOTORS:ビッグブランドとの提携を進めるトップブランド
QJ MOTORS(QJモータース)の親会社であるZHEJIANG QJ MOTORS(浙江QJモータース)は、BENELLI(ベネリ)やKEEWAY(キーウェイ)といったブランドを所有しているほか、ハーレーダビッドソンと提携し中国における小排気量モデルの生産と販売を行うと発表されたほか、今回のEICMAではMVアグスタとの提携もアナウンスされた。
’21年モデルとして新たに加わったアドベンチャーモデル「SRT750」は、ベネリTRK800(後述)とプラットフォームを共有する。
BENELLI:イタリア生まれの新型アドベンチャー
イタリア・サンマリノ近くの港町/ペーザロにデザインセンターを持つBENELLI(ベネリ)。ZHEJIANG QJ MOTORS(浙江QJモータース)傘下で活動を始め、デザイン力や品質も高まってきている。その’22年モデルとして登場したのが新型アドベンチャーモデル「TRK800」。TRKファミリーの最大排気量モデルで、754ccの新型エンジンとともに、新しいボディデザインが与えられている。
新型アドベンチャーモデル「TRK800」
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