楽な電動/自転車より手軽/持ち運びもできて収納もコンパクト/公道走行可、とそれだけ聞けば、もう売れないわけがない!! と思う電動キックボードだが、この”公道走行可”という言葉、ちゃんと分かっていない乗り手が意外に多い。使用者はもちろん売り手側もしっかり知識を持ってルールを守り、次世代モビリティとしての運用を広めたいところだ。
●まとめ:ゴーライド編集部 ●取材協力:カスタムジャパン
知って守ってこそ便利な次世代モビリティとなる
これまで電動キックボードに乗っている人を見るのは、サーキット場/広い施設内/観光地など基本的に公道ではない私有地のみだったが…。しばらく前に公道走行可能な電動キックボードが発売されたのは知って気になっていたけど、最近ものすごく電動キックボードを見かけるようになったな…と思うと同時に、あれ? なんかおかしいぞ、と気づいた。
ヘルメットをかぶり、キープレフトでスィーっと軽快に車道を走る爽やかな電動キックボード乗りに混じって、なぜか歩道を走る/逆走する/けっこうなスピード感でよく分からない動きをしている電動キックボード乗り? もチラホラ。…コレ、どのカテゴリに入っているの!?
公道走行可の電動キックボードは原付一種バイクのカテゴリ
ということで調べてみると、やはり”公道走行が可能”ではあるが、それはあくまで「保安基準適合(原動機付自転車第1種扱い)により公道走行可能」。つまり50cc以下バイク(原付一種)と同じ動きをしなきゃダメってことだった!! 普通に考えて、原付バイクがヘルメットをかぶらずに歩道を走り、車道を逆走したかと思えば赤信号で止まらずそのまま横断歩道を歩行者のワキをすり抜け走っていく…と考えると、完全に”ヤバイ奴=違反者”となるだろう。そう、公道も歩道も縦横無尽に駆けるワケのわからない動きをしている彼らは、まさに”逮捕待ちの人”であり、罰則/罰金を課せられる対象なのだ。実際に歩行者とぶつかる事故だけでなく、重大事故も起きているというし、「知らないで買って乗っていた」「知らないと思わないで売っていた」で済まされる話ではない。
乗り物を便利にするも危険にするも”乗り手次第”
かといって、電動キックボードという存在自体が悪いわけではない。駐輪場いらず/環境に優しい/コスパがいい/携帯性もいい、と時代に合ったこれからのモビリティとして注目を集めてもいる。なによりも手軽で便利だ。
つまるところ、”乗り物”である以上、その乗り方は”乗る人”の人格/品性/知識に委ねられる。本来なら安全意識の塊であるべき、子供を後ろに乗せた自転車のお母さんが、広い2車線の国道で横断歩道を渡り終わるなりそのまま車道を逆走しはじめる姿。横断歩道が赤に変わってもスマホをイジりながら前も見ずに渡り始める歩行者。夜間に反射板もライトもつけずに走る自転車。渋滞で右折車に道を譲ったその横を徐行せずに突っ込んでくるバイク。ウインカーをつけずに車線変更や幅寄せしてくるクルマなどなど。例を挙げればキリがないが、これらすべて結局は乗り手次第で、”便利”でありながら”危険”なものにもなり得るのだ。
では何が必要か。それは当然ながら”正しい知識を学び、マナーや法律を守る”こと。自分の乗るものにどんなルールが課せられており、みんなが使う道路上でどの区分に入っているかを知る。
そして”それらに則った安全な乗り物を買う”ことも。正しく安全に電動キックボードを楽しむために、きっちりと公道走行可能な電動キックボード=原付バイクと意識し製造され、保安基準適合をクリアした製品を購入するのが肝要だ。
公道走行可能な電動キックボードに乗るために絶対に必要なモノ(警視庁HPより抜粋)
運転免許が必要/車道通行/ヘルメットの着用義務等があること
原動機付自転車を運転することができる運転免許を受けないで運転することはできず、道路においては、車道の通行(歩道を通行することはできない)、ヘルメットの着用などの原動機付自転車としての通行方法に従う必要があるなど、道路交通法を遵守しなければならない。※無免許運転の罰則:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
制動装置/前照灯/後写鏡等を備えていること
電動キックボードは、制動装置/前照灯/後写鏡等の構造や装置について、道路運送車両法の保安基準に適合しなければ、運行の用に供することはできない(歩道/車道を含め道路を走行することはできない)。※整備不良車両運転の罰則:3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
自賠責保険(共済)の契約をしていること
自動車損害賠償保障法に規定する自動車損害賠償責任保険または自動車損害賠償責任共済の契約が締結されていなければ、運行の用に供することができない。※無保険運行の罰則:1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
区市町村税条例で定める標識(ナンバープレート)を取り付けていること
電動キックボードの所有者には、地方税法に規定する軽自動車税(区市町村税)を納付する義務があり、また区市町村条例で軽自動車税の納付の際に交付される標識(ナンバープレート)を取り付けなければならない。
警視庁
交通ルールは原付一種と同じ
- 車道のみ走行可
- 左車線を走行
- 逆走や歩道走行は違反
- 最高速度30km/h以下
- 片側2車線以上の交差点は2段階右折
- 2人乗り禁止
- 押して歩道など歩く時は電源を切る
電動キックボードは保安基準に適合したものを選ぼう
大型雑貨店等で販売されている1万円前後の電動キックボードには、保安基準を満たす装備がないものも多い。しかも安全基準を満たさないブレーキなのに”最高速度30km/h前後”を謳い文句に…と、危険極まりないものも平気であったりする。自分の身を危険にさらすだけではなく、周囲にも迷惑行為はおろか取り返しのつかない事態まで引き起こす可能性も。そんなことにならないためにも、保安基準を満たす装備のついた製品を買おう。
例えば以下に紹介するカスタムジャパンの最新電動キックボード「eXs1」は、初号機から改良を重ね、安全性だけでなく快適性もより高めた保安基準適合製品となっている。
みんな違ってみんな危ない:完全体で走り出そう
eXs1を国道や裏道や試乗したところ、ストレスなく20〜25kmで走り、制動にも怖さがなかった。しっかりと方向指示器も作動しホーンも鳴る。それでいて片手で持てる軽さ。法律とマナーを守って乗れば、やはり近場や通勤のお手軽な相棒として活躍してくれることを確信した。
だが、まだ電動キックボードの世間への正しい認知度や普及率の低いことを考えると、クルマ通りの激しい大きな国道での走行はあまり推奨できない。バイクもクルマも自転車も乗ったことがあり、それぞれがどういう挙動や視野を持つか経験のある人ならまだしも、原付免許しか持っていない/普通免許はあるがペーパーの人は、マナーを守っているつもりでも周囲から見ると危ない動きになってしまう可能性があるからだ。
使いどころをしっかり見極めて、自分が交通社会の中でどう見えているのか、そしてどれだけ”見えていないのか”を理解すれば、本当に便利な愛機となるだろう。ちなみに無灯火の自転車のみなさん、夜はあなたたちの姿、本当に見えません。明るい都心なら見えるだろうというのは大間違いです(泣)。
乗り物は便利で楽しいもの。安全にマナーを守って乗りこなそう!!
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