’21年4月中旬に国内発売されたホンダGB350は、夏頃にはすでに「今年の分は完売!?」なんて声も聞こえてきたほどの人気。そして7月には、派生型となるスポーティなGB350Sも登場した。どうしてそんなに人気を集めているのだろうか? ヤングマシンメインテスターとしておなじみの丸山浩氏が、”売れてる理由”について考察する。
●まとめ:ヤングマシン編集部(田宮徹) ●写真:長谷川徹 ●外部リンク:ホンダ
若年層が当然と思うことを諦めずに盛り込む
発売間もないGB350の実走インプレッションをお届けしたのは、ついこの間のこと。なのにもう’21年の生産分は完売になりそうな勢いというから、じつに驚きだ! なぜこんなにもバカ売れしているのか? その理由を考察した。
まず、若いバイクビギナーやこれからバイクに乗ろうかと思っているような人たちに話を聞くと、「GBってめっちゃカッコいい」なんて声が聞こえてくる。私(丸山)のようなオジさん超ベテランライダーからすれば、カッコいいとか悪いとかではなく、GBはあくまでもレトロでトラディショナルな”普通”のバイクに見えるのだが、世代と経験値によってスタイリングに対する評価はだいぶ異なるようだ。
ただし、”普通”であることはベテランにとって悪いことではない。だからこそ、バイクのことを知り尽くし、少しトーンダウンしながらもまだまだバイクライフを楽しもうという年齢層にも、GBは受け入れられているのだろう。
対若年層ということでは、レトロでだけど”イマドキの若者が欲しいと思う機能や性能は諦めていない”ということも大きい。我々世代は、振動や乗りにくさも「味だよ」なんて片づけていたが、今の若い世代でライトにバイクを楽しみたい人たちは、それでは許してくれないかも…。でもGBは、クラッチは軽くギヤもスムーズに入り、鼓動感はあるのに振動はほとんどなく、ゆったりとした旋回特性だが変なクセはなく、ロングホイールベースのおかげもあって直進安定性にも優れているから、発進直後でもフラつくことが少ない。ギヤポジションインジケーターや時計といった、たぶん今の世代には”あって当然”の装備も採用されている。これらもポイントだ。
また若年層にとって、価格設定も”売れてる理由”の大きな要因になっていることは間違いない。そもそも車両価格がリーズナブルなのに、39歳以下ならさらに5万円引きクーポンがもらえるキャンペーンまで行われた(’21年9月末で終了)。まずは乗ってみる、という決断がしやすいモデルなのだ。
エントリーライダー向けということでは、もう少し足着き性が良好ならさらに適していると思うのだが、ベテランライダーまで視野に入れると、大きく見える車格はメリットでもある。それに、現代っ子は我々世代より背も高めだから、男性なら初心者でも問題はないかも。むしろ、小柄な超ベテランライダーのほうが、最後のバイクとして行き着くにはハードルが高くなってしまうかもしれない。
ここまでの考察をまとめると、とにかく多様な世代と価値観に寄り添いやすい外観と性能と価格であることが、GB350シリーズが”売れてる理由”であることは間違いなさそうだ。そして、このバイクが若い世代に売れて、まずは乗ってくれることで、より深くバイクの楽しさを知ってくれる人が増えるかもと思うと、嬉しくてたまらない。
ちなみに、とても気が早いのだが、もしもGB350/Sが気に入ったらその先につながる車種は…なんてことまで考えてみた。例えばSTDの場合、もっとフォワードステップでどっしり車体に乗っかるクルーザーなんかに興味が湧くかも。とはいえ、STDはバイクという乗り物としては”素”の状態という雰囲気もあり、そこからどこにでも向かえそうだ。
Sの場合、その雰囲気や操る楽しさが気に入ったら、スクランブラーとかカフェレーサー、あるいはビッグネイキッドなんかでもいいだろう。
エンジンはたった20psだけど、GB350/Sにはコアなバイク好きを生む大きな力も秘めているのだ。
売れてる理由、見つけたり。ココがポイント!
丸山浩印・GB350/Sはこんな人にオススメ
【GB350】
スポーティな雰囲気は薄いが、生活の中に溶け込む要素はたっぷり。ゆったりとしたライディングポジションで、”乗っかる”とか”座る”という感覚に近く、バイクに関してほとんど経験がない人のほうが戸惑いは少ないかもしれない。この鷹揚さは、ライトな感覚で「まずは乗ってみたい」という人にも向いているはず。
・まずとにかく乗りたい人
・幅広い用途を考えている人
・部活が文科系だった人
GB350が気に入った、その先は…、レブル1100もアリ!
【GB350S】
バイクの設計(ライディングポジション)としては、むしろGB350Sのほうがオーソドックス。若い世代でスポーツ好きだと、もしかしたらGB350に物足りなさを感じるかもしれないが、GB350Sなら積極的に操るという楽しさの片鱗も味わえる。また、すでにバイクを熟知しているベテランも、こちらのほうがしっくりきそうだ。
・どちらかというと若い世代
・すでにバイク経験がある人
・学生時代に運動部だった人
GB350Sが気に入った、その先は…、CB1100もアリ!
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
走りを比べてみれば分かる、派生のワケ! '21年7月にSTDの派生版として追加されたGB350S(以下S)。その乗り味や、スタンダード(以下STD)との違いについて、この記事では詳しくお伝えしたい。 […]
スタイリング カラーバリエーション STDはブルー/ブラック/レッドの3色展開 Sはグレーとブラックの2色 ライディングポジション&車格 STDとSではライディングポジションに大きな差があり、これが走[…]
真のベーシックを作るには開発が大変だったはず! 先日、29歳の誕生日を迎えました。正直、どうっていうこともないな、と(笑)。ひとつ数字が増えただけで、人間そうそう変わりません。思うのは、「大人になって[…]
爆発してタイヤが回り、音と揺れがシンクロする 「本当に好きなものを作ることができた。夢が叶ったのだと思います」 こういうのを開発者冥利に尽きるというのだろう。短い時間のインタビューだったが、開発責任者[…]
【テスター:中村友彦】積算計が15万kmを超えた'06年型XL883をいたわりながら走らせつつ、最近は'74モトグッツィV850GTをメインの愛車としている、ツーリング&旧車好きフリーランス。 ツーリ[…]
最新の記事
- ホンダが電動トライアルバイク「RTLエレクトリック」で全日本トライアル参戦! ライダーは元世界チャンピオンの藤波貴久
- 独尊の水冷V型2気筒クルーザーに待望の250が登場! ヒョースン「GV250」シリーズ3機種を一挙発売
- ヤマハの新型モデル「YZF-R9」日本発売は2025年春以降! ウイングレット装備の3気筒スーパースポーツ
- 【正式発表間近】カワサキが「W230/メグロS1」「KLX230/S/SM」の発売時期を明らかに!
- 【SCOOP特別編】ホンダ新型CB400は…こうなる!! プロがその姿を大胆予想〈③装備&デザイン編〉
- 1
- 2