’01年に自主規制で300km/h速度リミッターが装着されて以降、メガスポーツは”300″に到達するまでのタイムや質が問われることになった。2代目ハヤブサは、この性能を一段と磨き上げ、初代はもちろん、次々と送り込まれる刺客をも退け続けた。本記事ではヤングマシンが過去に行なったゼロヨン(0→400m)加速タイム計測テストの結果を振り返る。
●まとめ:沼尾宏明
長らく加速キングに君臨。あの初代より0.5秒速かった2代目
’01年の300km/h速度リミッター自主規制に伴い、雌雄を決するバトルは最高速に代わって0→400mの加速タイムを競うゼロヨン対決へと移行。初代ハヤブサも怒濤の速さを見せたが、2代目の実力はこれを圧倒していた。
’08年の対決では、あわや10秒切りに迫るタイムで、先代のハヤブサと190psのZZR1400を打破。初代には0.5秒差で圧勝しており、2代目の怪物ぶりを見せつけた。
2代目は特に後半の追い上げが凄まじく、出足が速いZZRにも中間地点で追いついてしまう。ただし加速の質はだいぶ異なり、ZZRは振動が少なくフィーリングが上質。一方のハヤブサは、ゴリ押しパワーで車体を加速させる。その強引さがあまりにもハンパなく、ドーパミン大放出だった。
以後も、スーパースポーツ勢やVMAXなどのドラッガーが挑戦したが、そのタイムを上回ることができず、2代目ハヤブサは長らくゼロヨン王に君臨した。
しかし’13年、ついに最強の刺客がカワサキから送り込まれる。ZZRを徹底改良し、1441cc+200psのZX‐14Rが参戦したのだ。実測テストでは14Rが驚異の10秒切りを記録し、さすがのハヤブサもついに敗北を喫した。しかしながら、初代から14年間ほぼ無敵を維持し続けたのだから驚くしかない。
[’08] 2代目ハヤブサ対決 vs ZZR1400:初代もライバルも撃破(YM’08年2月号)
2代目ハヤブサと同じ’08年にモデルチェンジしたZZR1400と仙台ハイランドのドラッグコースで対決。ハヤブサはスタートでミスをしても追い上げ、高い確率で隣りのレーンを走るZZRより先にゴールした。なお初代ハヤブサのタイムはYM’06年6月号で測定した参考記録で、テスターも同じ丸山浩氏と安田毅史氏。この際のZZR1400は10秒631で、初代ハヤブサが勝利していた。
- ’08 スズキ ハヤブサ1300:10.059秒/235.81km/h(到達速度)
- ’08 カワサキZZR1400:10.203秒/222.07km/h
- [参考]’06 スズキ ハヤブサ1300:10.600秒/229.82km/h
[’11] 2代目対決 vs ZZR1400:再戦でも宿敵を打ち破る(YM’11年10月号)
日本自動車研究所(JARI)に最新モデル30台を集め測定。見事トップに輝いたのがハヤブサだった。直接対決したのは宿敵ZZR1400。瞬間的なトルクではZZRが勝るものの、ハヤブサは6000~8000rpmで分厚いトルクを出し続けた。ZZR1400は振動が少なく、フィーリングも極めて上質。その分わずかに性能にスキがあり、コンマ2秒の差に表れた。
- ’11 スズキ ハヤブサ1300:10.390秒/232.87km/h
- ’11 カワサキZZR1400:10.669秒/228.24km/h
[’13] 2代目ハヤブサ対決 vs ニンジャZX-14R:9秒台の新刺客に惜敗(YM’13年10月号)
’12年型でZZR1400がニンジャZX-14Rに新生。1352→1441ccにスープアップされ、馬力はついに200psに達した。公式PVのゼロヨンでは14Rが9.74秒、ハヤブサは10.11秒と、14Rが上回っていた。ヤングマシンの直接対決は’13年10月号で実現(コースは仙台ハイランド)。結果、YM史上初の10秒切りを果たした14Rが勝利を収める。ここまでしないとハヤブサには勝てなかったのだ。
- ’13 スズキ ハヤブサ:10.052秒/228.345km/h
- ’13 カワサキ ニンジャZX-14R:9.907秒/232.11km/h
参考記録:数々の強敵を打倒。現行スーパースポーツよりも速かった!
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