オフロードマシン専門誌『ゴー・ライド』連載中の「令和の世に放つ 愛と青春のオフロードマシン」より、バイクが熱かった時代にラインナップされた懐かしのオフロードマシンを、”迷車ソムリエ”ことムッシュ濱矢が振り返る。今回は、”どれがオフロードバイクでどれがオンロードバイクなのか”と惑う懐かしのモデルたちを、ダート好きムッシュによる不思議な線引きで紹介しよう!!
●文:濱矢文夫
やんわりとしたワイルドテイストのファウルチップ
タイトルからして意味不明で申し訳ない。そして今回も、「な…何をいっているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのか、わからなかった…」というジャン=ピエール・ポルナレフな内容でPardon。
人間というのは不安定より安定していたほうが楽だ。だから物事を分類する、カテゴライズをして心を落ち着かせる。日本全国にいる泥まみれになって喜ぶヘンタイ…じゃないダート走行好きの筆者としては、どれがオフロードバイクで、どれがオンロードバイクなのか線を引きたくなる。
今回集めてみたのは、その千疋…高級メロンが食べたい、じゃない、その棲み分けの境にいるものだ。
スズキのDF200E以外は、オフロード風であると言い切っても怒られないと思う。だから、ハードエンデューロに出ようぜって思う、つける薬がない重症患者ライダーにとって、候補車には間違いなくならない。林道をトレッキングしようぜって思う人すらどうだか…。
DFを除けば、あくまでもオフロード風。ミラノ風リゾットみたいなもので、ミラノに行ってリゾットを見たり食べたりしたことがなくても、じつは意味がわからなくても、ふんわりと勝手にイメージして納得するもの。大切なのはイメージだ。あたかも荒野を走り抜けるような感じ、普通のロードスポーツとは違う乗り物を感じさせる商品。
とくにスクランブラーは、オフロード専用車が登場する前にあった、オンロードスポーツをベースにして、ダートを走りやすく手直ししたものだったから、厳密にいえばオフロード車とは言いにくい。
とにかく今回紹介する5台に共通する部分は、”そこはかとないワイルドさ”。ミリタリーファッションに近いのかも。
ヤマハBRONCO:DT-1ってこんなんだったっけ?
名車250DT-1をイメージしたということ…。ガッキー似ということで紹介してもらった女の子が、髪型以外ガッキーじゃなかったという、盛り上がったリビドーが萎える喪失感にも似た気持ち。簡単に言えば、セロー225をベースにしたレトロオフ風味のストリートバイク。ガッキーと言わなければ…、じゃなかったDT-1と言わなければ、それなりに雰囲気もいいし魅力はある。セローの足を使ってフロント21インチのオフ仕様にした通称”セロンコ”にするのもアリ。だったら素直にセローを買った方が、なんて人の恋路を邪魔するやつは野生馬(ブロンコ)に蹴られて●んじまえ。
ホンダXL230:新しい時から新しさがなかった
ホンダのオフ系は、XL/XLR/XLX/XRと名前が似ていて、さらに排気量数字の後につく”R”や”L”で別バイクになったり、ミクロン単位の狭いとこにいるマニア以外にはややこしい。これもどうせならインパクトのある名にしてほしかった。スケベニンゲン(オランダ)、キンタマーニ(インドネシア)、シリフケ(トルコ)などのオモシロ地名なら一発で覚える。「私、ホンダのキンタマーニに乗っているのよ」って女子に言われたらじわじわくる。個人的にXL230の褒めポイントはリヤショックを避けたサイレンサーのステキな造形。ここで一句。”ブレーキは ディスクでいいに 最上川”。
スズキDF200E:魅力を知ってほしいと思っている間に消えてしまった
“ドジェベル”という愛称(?)で知られるラインナップの中で、お財布が軽いヤングの味方だった200cc版。それの派生モデル。長い泥除けや大きなリヤキャリアなどヤマハAG200のような海外畑仕事系バイクかと思われるけれど、それには兄弟車のTROJAN200がある。だから、もうちょっとファッション的な、Gジャンの袖を切り取って「ワイルドだろ〜」って言っている感じかな(ネタが古い)。ただ存在を知らない人が多い。でもジェベル200にはないオイルクーラーが付いていたり、セル/キック始動など魅力的。ただ存在を知らない人が多い。大事なことなので2回言いました。
ホンダ ベンリィCL50:旧と新があり、範馬勇次郎と範馬刃牙、のようなもの
ロードスポーツがCB。スクランブラーがCLというのがホンダのしきたり。スクランブラー…スクランブル…ダァッシュ! ダァッシュ! だんだんだだん。スクランブルゥ〜、ダァッシュ! 俺は涙を流さない(だだっだぁ!)、バイクだからマシンだぁ〜かぁらぁ〜…と歌いたくなるのは、おしっこの切れが悪くなったと感じる世代です。ベンリィCL50はそんな人たちが生まれた時代に近い’67年に販売。「ちょっと前にもあったよな」と思ったアナタ、その通り! ベンリィCL50レプリカとも言える新生CL50が’97年に出て、レトロ感でヤングなおしゃれ泥棒たちにウケた。
スズキ コレダスクランブラー50:イボイボタイヤはスタイルのひとつ
それだ、あれだ、コレダ。アンドロメダおまえだ!! K50というおっさんバイク…じゃないビジネスバイクがあって、それをベースにちょっとハイカラにしたコレダスポーツが誕生して、次にアップマフラーを採用したこのレトロなスクランブラーが登場したというワケ。ブロック風タイヤを履いてオフロードもバッチリかというと、う〜ん…まんだむ。腕さえあればカヴァルケード(昔あったスズキ版ゴールドウイングみたいなでっかいラグジュアリーツアラー)でも走れるわけで。ただ軽くて支えやすいから、行けるといえば行ける。だがオーナーの99%はこれでオフに行かない。
※カタログスペック、価格はすべて当時のものです ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
巻頭特集:標準モデル対足長モデル!! シン・CRF250L/〈s〉徹底比較試乗 ホンダの新型CRF250Lは、旧タイプLDに相当するシート高の低いモデルが標準となり、それに対する足長モデルを<s[…]
小さいけれどビンビンに元気だった黄色ナンバー排気量の思い出 ホンダ CRM80ヤマハ TDR80ホンダ XLR80Rカワサキ KSR-Ⅱホンダ EZ-9 車体が同じサイズでも、原付一種よりも交通法規的[…]
ホンダ XL-Degreeホンダ SL230カワサキ Super SHERPAヤマハ SEROW GPSスズキ DJEBEL GPS 最初のセローが発売されたのは、空前のバイクブームが到来し、ライダー[…]
オフロード専門誌『ゴー・ライド』連載中の「令和の世に放つ 愛と青春のオフロードマシン」より、バイクが熱かった時代にラインナップされた懐かしのオフロードバイクを振り返る。"迷車ソムリエ"ことムッシュ濱矢[…]
前評判以上に好評だった!?「オフロードマシン!!GoRIDE(ゴー・ライド)」の『令和の世に放つ 愛と青春のオフロードマシン』。無事に続きが掲載されることになり、読者に温かく迎えられている(3回目は最[…]
最新の記事
- 今が見頃!一生に一度は絶対に見たい500万本! 曼珠沙華群生地〜巾着田(埼玉県日高市)へ行ってみた
- カワサキ新型モデル「ニンジャ1100SX」登場! 排気量アップで新生、ブレンボ&オーリンズのSEも同時デビュー
- 黒玉虫とグリーンボール! カワサキ「Z650RS」の2025年もモデルが10月1日発売
- カワサキ「ヴェルシス650」新グラフィックで10/1発売! 可動ウインドシールドやトラコン、スマホ接続も装備するミドルツアラー
- 電子制御シフト搭載! クラッチ操作も不要のヤマハ新型「MT-09 Y-AMT」9月30日に発売
- 1
- 2