丸目のようで、ちょっと違う

ついに日本上陸、ドゥカティの新生「モンスター」がネイキッドのデザインを革新する!

ドゥカティの新型「モンスター」が間もなく日本でも正式発表される見込みだ。それに先立ち、日本に1台だけ上陸した車両を撮影することができたので、まずはその先鋭的なデザインについての話題をお届けしたい。ヘッドライトの造形や車体のスリムさだけでも、語るべきことは尽きない……?


●文:ヤングマシン編集部 ●写真:山内潤也 ●取材協力:ドゥカティジャパン ●撮影協力:J-TRIP(レーシングスタンド)

エスプレッソよりも濃く凝縮された“モンスター”エッセンス

ドゥカティが昨秋発表した新型モンスターのキーワードには、「リストレット」というものがあるそうだ。コーヒーの淹れ方の一種で、エスプレッソよりもさらに濃く抽出されたものを指し、これをドゥカティの本質やテイスト、そしてモンスターの持つエネルギー感の凝縮といったもののたとえとして表現している。

DUCATI MONSTER+[2021 model]写真はメーターバイザーなどを備えたモンスター+(プラス)。

ではモンスターの本質とはなにか。それを知るには、1993年に登場した初代モデルを振り返るとわかりやすいかもしれない。当時のスーパーバイクマシンであった851/888系のフレームに、ストリートユースに特化した空冷Lツインを搭載したネイキッド、というのが端的な特徴だろう。これに加え、ドゥカティらしくコンパクトかつ軽量で、筋肉質な躍動感を表現したフォルムが与えられたのがモンスターだった。

その後、空冷だけでなく水冷エンジンを搭載したスポーツバージョンも登場し、第2世代ではスチール製トレリスフレームにアルミプレートを組み合わせた車体に進化。途中でフレーム形状を変えながら、空冷の696から水冷の1200Rまで多くのバリエーションモデルが展開された。

1992年のケルンインターナショナルモーターサイクルショーで発表、1993年に発売された初代モンスター900。スーパーバイク851/888系のトレリスフレームに904ccの空冷Lツインエンジンを搭載した。最高出力76ps/7000rpm、乾燥重量は185kgだった。のちにFI化されたほか水冷エンジンのS4、S4Rなどスーパーバイク顔負けのハイパワーモデルも登場し、シリーズを拡大していく。

2008年3月末、モンスター第2世代として最初に発表されたモンスター696/+(2009年モデル扱い)は『less is more』をキーワードにシェイプされたボディと新フレームを採用。2009年モデルでは1100も登場している。その後、水冷エンジン搭載やフレーム変更を受けながら2014年に第3世代のモンスター1200が発売され、2020年モデルでは797(空冷)、821、1200というラインナップに。

今回紹介する2020年秋に発表された新型モンスターは、第4世代のモンスター。これに先立ちストリートファイターV4が登場したことを受けて、スポーツ性の最高峰を狙ったネイキッドの座はそちらに譲り、改めてモンスターらしさを問い直したかのような造りになっている。

フレームは最新パニガーレV4系に通じるアルミ製フロントフレームとし、従来のトレリス部分がなくなったことでニーグリップ部は極端なまでにスリム化。実質的に後バンクのシリンダーヘッド幅とほぼイコールで、単気筒と変わらないLツインのスリムさを最大限に活かしている。これに樹脂製シートフレームや、剛性バランスを最適化したうえで大幅な軽量化を可能とする両持ちスイングアームを組み合わせ、エンジンはスーパースポーツやムルティストラーダ950、ハイパーモタード950で定評のある水冷Vツインを搭載する。

まさしくスーパーバイク系のフレームにストリート向けのエンジンを搭載する、という初代モンスターの文法に則っており、従来モデルの797、821、1200というラインナップが担っていたレンジを1台でカバーしようという意欲作だ。

また、937ccの排気量を持ちながら従来の最少モデルであるモンスター821に対し18kgもの軽量化を達成しているのも見逃せない。フレーム重量は821の40%しかないといい、そのほかにも余分なものを徹底的に排除。モンスターの本質を追求したことで、レーシングライダーから小柄な初心者までが平等に楽しめる1台に仕上げたとドゥカティは言うが、それも大げさな話ではなさそうだ。

DUCATI MONSTER+[2021 model]

DUCATI MONSTER+[2021 model]

次世代ネイキッドのデザインをモンスターらしさにプラス!

ドゥカティのオフィシャル写真が出回ったとき、ヘッドライト周辺のDRL(デイタイムランニングライト)が盾型をしていること以外に大きな特徴は感じられなかったが、実物を撮影してみるとヘッドライトの構造や意匠はかなり凝ったものだということがわかった。やはりドゥカティは実車を見てみるまでわからない。

DUCATI MONSTER+[2021 model]

どこかにクラシカルなバイクらしさを漂わせる丸目ヘッドライトだが、実際にはLEDプロジェクターの光源を中央に配置した構造で、今までにない雰囲気を漂わせている。もちろんDRLに切り替えれば周囲だけが光るし、暗い場所ではオートライト機能が働いて自動的に中央のライトが点灯する。

左右分割パネルで着せ替えも簡単にできそうな燃料タンクカバーや、足元をスッキリ見せるショートフェンダー、右2本出しショートマフラーなども新鮮だ。

また、フロントフレームがコンパクトなことからシリンダーがライダーの膝に直接触れないよう、樹脂製カバーで覆われているのも従来のモンスターとは異なる点。シートフレームは樹脂製とされ、ハニカム調の紋様が刻まれている。ラジエターシュラウドに配置されたフロントウインカーはシーケンシャルタイプだ。

エンジンなどの詳細は日本仕様の正式発表を待たねばならないが、シート高は欧州仕様の820mmよりもフレンドリーな数値になるとの情報も。続報を待て!

DUCATI MONSTER+[2021 model]ディテール

メーターはスーパーバイク系などに準じた表示が可能なフルカラーTFTだ。電子制御はトラクションコントロールシステム、ABSなど最新のものをまんべんなく装備。

ヘッドライトユニット周囲にDRLを配置し、中央のヘッドライト点灯時にはポジションランプとして機能。ライトケース内部の造形も凝ったものとされている。

ラジエターシュラウドに配置されたフロントウインカーはシーケンシャルタイプ。

燃料タンクは左右からカバーを装着するタイプで、着せ替えも簡単にできそう。

シートカウル横のエアスクープはスーパーバイク系を連想させるものだ。

サーキットユースにも対応するブレンボ製ブレーキシステムを装備。

トレリス形状を彷彿とさせる、軽量な両持ちスイングアーム。

右2本出しのショートマフラーはエンドピースの形状も凝ったもの。エンジン下に膨張室を配置している。

Vツインエンジンやフロントフレームの後半部分は樹脂カバーで覆われる。遮熱目的以外に、造形としても新しい。

メーターバイザー内にはドゥカティのエンブレムも。

こちらはシングルシートカウルを装着した様子。

DUCATI MONSTER+[2021 model]

DUCATI MONSTER+[2021 model]主要諸元■全長/全幅/全高未発表 軸距1474 シート高820(各mm)※ローシート装着時800mm/ローシート+ローサスペンション装着時775mm 車重188kg(装備)■水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 937cc 111ps/9250rpm 9.5kg-m/6500rpm 変速機6段 燃料タンク容量14L■キャスター24°/トレール93mm ブレーキF=φ320mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ245mmディスク+2ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ※諸元はすべてイタリア本国仕様 ●価格:149万5000円~151万5000円(STDモンスターは144万5000円~146万5000円・受注生産) ●色:赤、灰、黒 ●発売時期:2021年夏

DUCATI MONSTER+[2021 model]

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DUCATI MONSTER+[2021 model]ギャラリー

DUCATI MONSTER+[2021 model]

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