インド現地で価格差はわずか

ホンダ「CB350RS」と「ハイネスCB350」は何が違う? スペックと細部を写真で比較してみた!

インドで発表され話題のホンダ「ハイネスCB350」に早くも兄弟車が登場した。すでにスペックや価格も明らかになっているが、本記事では新たに独自入手した写真素材で細部をじっくりと見比べてみたい。2月12日にはインド現地法人がSNSで発売から4か月で1万台を販売したという人気ぶりも伝えている。

ハイネスCB350[18万5000~19万ルピー]

インドで2020年秋に発売され、世界中で話題沸騰となっているハイネスCB350は上記SNSの通り、すでにインドでは発売後4か月で販売台数1万台を達成したという。まず魅力的に映るのはボア×ストローク比1.293(70mm×90.5mm)の超ロングストロークな単気筒エンジンだが、歴史ある“CB”の王道をゆくようなデザインも目を奪う。

HONDA H’ness CB350 DLX Pro[2021 India model]こちらは上級モデルのDLXプロ。 ●色:DLX=赤、緑、黒/DLX Pro=黒×灰、青×白、黒×銀

メッキされた前後スチールフェンダーや前19/後18インチの大径ホイールといったクラシカルな装備に加え、プレーンだが程よく抑揚のある燃料タンクや大きめのサイドカバーといったディテールも、クラシック好きにはたまらない。鉄パイプを曲げたようなシンプルなグラブバー、2本ショックのリヤサスペンション、丸目ヘッドライトなども、眺めているとカスタム欲がムクムクと湧いてくる。

それでいて、ホンダセレクタブルトルクコントロール(HSTC)やデュアルチャンネルABS、フルLED灯火類といった現代の装備で信頼性と安全性も担保しているのだから隙がない。現地価格は標準仕様で18万5000ルピー、上級モデルDLX Proでも19万ルピーと、日本円換算で30万円を割り込んており、日本で発売されたとしても、諸費用や保証といったものを考えても50万円前後になるのではと言われるほどだ。

CB350RS[19万6000ルピー]

一方、インド現地で発表されたばかりのCB350RSは、ハイネスCB350と骨格やエンジンを共有しながら、リアルクラシックからモダンレトロへと変身を遂げたロードスターモデル。RSは“Road Sailing”コンセプトの略とされ、帆に風を受けて帆走するフィーリングをライダーに与えてくれるという。さらに、変更点はハンドルやシートにとどまらず、マフラーやホイールサイズなどにも手が加えられている。

HONDA CB350RS[2021 India model]こちらは1グレード構成となる。 ●色:黄×黒、赤

ざっくり言えば、シートと前後フェンダー、サイドカバー、グラブバーといった外装パーツと、それにともなうテールランプまわりのデザインが変更され、さらにリヤホイールをインチダウンしつつワイドタイヤ化。ややアップめのマフラーはブラックアウトされ、ハンドルバーは低くやや前へ、そしてステップは後退しつつ少し上にも移動した。

走りの面でも、ホイールサイズはかなりコンセプトを明確に表しているはずだ。100/90-19というフロントタイヤサイズは共通だが、リヤはハイネスCB350の130/70-18に対し、CB350RSは150/70-17へと太くなっている。前者はクラシックバイクに通じる大径ホイール+ナロータイヤで、高い直進安定性と、旋回性自体はさほどでもないだろうが軽快な倒し込みを楽しめそう。そして後者は、ワイドタイヤの恩恵でグリップ力が増し、自信を持ってコーナリングが楽しめるに違いない。

ライディングポジションの比較。赤い線はハイネスCB350で、白い線はCB350RSだ。リラックスしたクラシックモデルの王道ポジションの前者に対し、やや前傾でスポーティなエッセンスを加えたロードスターモデルが後者といったところか。シート高は同じ800mmとなっている。

CB350RSは換装パーツだけにとどまらず、フォークブーツやスキッドプレート(エンジンのアンダーガード)も追加装備され、現地価格は19万6000ルピー(日本円換算約28万5000円)。現地プレスリリースには『“Made in India for the World”の2番目のモデルだ』と書いてあることからも、日本で発売される可能性もあると本誌は睨んでいるが、仮にそうなれば予想される国内価格は55万円前後に収まるのではないだろうか。

ハイネスCB350とCB350RSについての記事は、いずれも本誌/WEBヤングマシンともに大きな反響をいただいている。あとはホンダさんの英断を待つだけだ!

外観&スペックを比較

スペック上は、外装やポジションの違いによる車両寸法の差異と2kg軽量な点、そしてリヤタイヤのサイズが異なる程度の違いとなっているが、もし叶うのであればぜひ乗り比べてみたいものだ。ちなみに最低地上高は2mmの差となっており、リヤタイヤをワイド化していても、さほど外径は変わらないものと推察できる。

CB350RSのスタイリングとカラーリング

HONDA CB350RS[2021 India model]BLACK with PEARL SPORTS YELLOW

HONDA CB350RS[2021 India model]RADIANT RED METALLIC

HONDA CB350RS[2021 India model]BLACK with PEARL SPORTS YELLOW

HONDA CB350RS[2021 India model]RADIANT RED METALLIC

HONDA CB350RS[2021 India model]BLACK with PEARL SPORTS YELLOW

HONDA CB350RS[2021 India model]RADIANT RED METALLIC

HONDA H’ness CB350[2021 India model]Athletic Blue Metallic With Virtuous White

HONDA CB350エクスポート[1970 model]1968年4月に発売されたCB350エクスポートのカラーリングがハイネスCB350のツートーンカラーの元ネタになっている模様。ちなみに写真は1970年モデルだが、1968年モデルのカラーリングを踏襲しているようだ……という小ネタである。ホンダのアーカイブ資料によれば、1968→1970年モデルの主な変更点は、前輪制動時にも制動灯が点灯するようになったこと、反射器の装着、エンブレム変更、マフラーおよびマフラープロテクターの形状変更など……とのことです。

ハイネスCB350とCB350RSのディテールを比較する

HONDA CB350RS[2021 India model]燃料タンクはハイネスCB350共通のようだ。ハンドルグリップは前寄りの位置になり開き角はやや大きめに見える。スペック上は全幅が4mm広いので、低めで幅広のポジションと推察できる。ヘッドライトケースにはヘビーデューティなイメージを醸し出すリングが装着されている。ハイネスCB350のベースモデル「DLX」をベースとしているようで、シングルホーンでメーター下のUSB充電ポートが省略されている。

HONDA H’ness CB350 DLX Pro[2021 India model]プレーンな構成のハンドルまわり。ウインカーはCB350RSよりも大きく、ダブルホーンなどと相まってゴージャス感を醸し出す。ハンドルは往年の殿様ポジションに近い。メーターユニットは自体は共通のようだが、USBポートはDLX Proならでは。

HONDA CB350RS[2021 India model]フロントフェンダーは樹脂製マットブラックのショートなものを装着。マウント部分は金属だ。タイヤサイズはハイネスCB350と同じだが、ブロック構成が大きめのタイヤを履いている。

HONDA H’ness CB350 DLX Pro[2021 India model]シーランド比ではこちらのほうが溝が多そうなタイヤを履く。フェンダーはメッキが施されたスチールだ。フォークブーツはなく、金属感をストレートに表現。

HONDA CB350RS[2021 India model]ブラックアウトされたステッププレートに、後退&やや上昇したステップをマウント。ややアップタイプのマフラーに合わせて、タンデムステップ位置も高い。写真では見えにくいがエンジン下にはスキッドプレートも。

HONDA H’ness CB350 DLX Pro[2021 India model]低く前に出たステップに大ぶりなブレーキペダルの組み合わせ。シルバーのステッププレートにマウントされるタンデムステップは低く、パッセンジャーも快適そう? エンジンはクラス初のアシストスリッパークラッチも備える。

HONDA CB350RS[2021 India model]17インチホイールに150mm幅のタイヤを履く。チェーンアジャスターの見え方でマフラーの跳ね上がり方がよくわかる。リヤサスペンションのスプリングもブラックアウトされている。

HONDA H’ness CB350 DLX Pro[2021 India model]マフラーはステンレスだろうか。ホイールは18インチで、タイヤ幅は150mmだ。向こう側に見えるのは、インドの民族衣装を巻き込まないようにするサリーガード。

HONDA CB350RS[2021 India model]シート高は同じ数値とされているが、ややリヤが高めに見えないこともない。撮影したカメラ位置がやや高いようで、正確な比較はしにくいが……。タックロールの後端にLEDテールランプが埋め込まれ、すらりと伸びたリヤフェンダーとシャープな造形のタンデムグリップを装備。

HONDA H’ness CB350 DLX Pro[2021 India model]いかにも握りやすそうなタンデムグリップとフラット気味なシート。リヤフェンダーはスチール製で、大き目な灯火類がマウントされている。サイドカバーも1960年代のCBを思わせるような丸みを帯びており、この部分だけでもクラシカルな雰囲気が満点だ。

余談ネタ。写真は1980年モデルのCB250RSで、見えにくいが燃料タンクとシートカウルに黒い幅広のラインを配置したツートーンカラーとなっており、インド発表のCB350RSのレッドはこれをオマージュしたのではないかと思われる。

おまけカット。作ってみたが使い道がなかったので……。


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