意図せず加害者となりやすい違反とは

あおり運転の対象となる”10類型”とは?〈あおり運転”加害者誤認”回避マニュアル#2〉

  • 2021/1/5
あおり運転「加害者誤認」回避マニュアル#2〈あおり運転の対象となる「10類型」とは〉

●文:ヤングマシン編集部(田中淳磨) ●イラスト:田中斉

’20年6月30日に「妨害運転罪」が施行された。だが実際には何に気をつければいいのかよく分からない状況だろう。取り締まりの基準は? 法律の問題点は? 本特集では、これらの疑問を解決すべく、警察や弁護士にも徹底取材を行った。加害者にも被害者にもならないための運転や装備についても紹介する。本記事ではあおり運転の対象となる”10類型”について解説する。

あおり運転の対象となる10類型

(1) 対向車線からの接近や逆走を行う[通行区分違反|道路交通法第17条第4項]

あおり運転の対象となる"10類型"

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センターラインを越えて対向車線を走りながら他車に接近して走行を妨害したり、逆走しながら他車の走行を妨害するような場合、通行区分違反による妨害運転(あおり運転)となる。通常、センターラインが実線でなければ対向車線を走っての追越しも可能だが、そうした行為も注意しないとトラブルの元になる。

(2) 後続車に対して不要な急ブレーキをかける[急ブレーキ禁止違反|道路交通法第24条]

あおり運転の対象となる"10類型"

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急ブレーキは危険を回避するためなど”やむを得ない”場合を除いてしてはならないのが決まりだ。前走車の前に回り込んで急ブレーキを踏んだり、後続車がいる状態でむやみに急ブレーキを踏んだりすると追突の危険があり、妨害運転とみなされる可能性がある。渋滞時はもちろんのこと、車間距離は長めに取ろう。

(3) 車間距離を詰めて前の車に接近する[車間距離不保持|道路交通法第26条]

あおり運転の対象となる"10類型"

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あおり運転の典型例であり、前走車の後ろにぴたりとつく行為。道路交通法には「直前の車両が急停止しても追突を避けられる距離」とある。一般的には時速から15mを差し引いた距離とされているので、40km/hなら25m、60km/hなら45m。ただし、高速道路であれば80km/hなら80m、100km/hなら100mとされる。

(4) 急な進路変更や蛇行運転をする[進路変更禁止違反|道路交通法第26条の2 第2項]

あおり運転の対象となる"10類型"

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並走車や後続車の前に急激に割り込むように進路を変える、前走車や後続車の近くで蛇行運転を行うなどすると、進路変更禁止違反となりあおり運転と見なされる。左右の進路変更をするには3秒前に合図を出す必要がある。ウインカーを一度点灯させてのクイックな進路変更を続けていると妨害運転と見なされる恐れもある。

(5) 左車線からの追越しや無理な追越しを行う[追越し違反|道路交通法第28条第1項または第4項]

あおり運転の対象となる"10類型"

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“追越し”は追い越したい車両の右側からしなければならない。左側の車線から強引に追い越すと、あおり運転と見なされる可能性がある。”追い抜いてからの右への車線変更”と”右側からの追越し”の違い、坂の頂上付近や車両通行帯のないトンネルといった追越し禁止の場所についても、いま一度確認しておこう。

(6) 不必要に継続したハイビームを点灯する[減光等義務違反|道路交通法第52条第2項]

あおり運転の対象となる"10類型"

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多くのライダーが誤解していると思われるが、ロービームは”すれ違い用前照灯”、ハイビームは”走行用前照灯”とされており、通常はハイビームが基本だ。ただし、前走車や対向車がいる時にはロービームに切り替える必要がある。ハイビームのまましばらく追走してしまうと、あおり運転と見なされる恐れもあるので注意。

(7) 不必要に反復したクラクションを鳴らす[警音器使用制限違反|道路交通法第54条第2項]

あおり運転の対象となる"10類型"

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警音器を鳴らさなければならない場所は道路標識等で決められている。それ以外に使っていいのは危険防止のためにやむを得ない時だけだ。よくあるサンキュークラクションや相手に気づかせるための使用も、相手には「早く行け」と捉えられる可能性もある。もちろん、反復して使っていれば、あおり運転と見なされることも。

(8) 急な加減速や他車への幅寄せなどを行う[安全運転義務違反|道路交通法第70条]

あおり運転の対象となる"10類型"

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他車への幅寄せや蛇行運転、急な加減速を繰り返すなど、不適切で他人に危害を及ぼす恐れのある運転などに幅広く適用される違反。そうした行為で他車に明らかな嫌がらせをした場合、あおり運転と見なされる可能性がある。バイクの場合は、ウィリーや片手運転なども取り締りの対象となるので注意。

(9) 高速自動車国道等の本線車道で低速走行する[最低速度違反|道路交通法第75条の4]

あおり運転の対象となる"10類型"

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高速道路には50km/hという法定最低速度が設けられている。後続車への嫌がらせで最低速度以下で走ると最低速度違反となる。一般道には最低速度が定められていないが、道路標識によって指定されている区間もあるので注意。高速道路では前走車の前で停止しなくても、ノロノロ運転をわざとすることで妨害運転罪となりえる。

(10) 高速自動車国道等において駐停車を行う[高速自動車国道等 駐停車違反|道路交通法第75条の8 第1項]

あおり運転の対象となる"10類型"

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高速道路上は駐停車禁止と定められている。走行速度が速い高速道路で車両を停め、他車の通行を妨害するという行為は危険であり、妨害運転罪が適用される。’17年の東名高速でのあおり運転事故でも、加害車が被害車を無理やり追越し車線に停車させたためトラックの追突を引き起こした。

意図せず”加害者”とならないために

妨害運転罪は、上記の10類型の違反を他車をあおるように(通行を妨害する目的で)行ったとみなされ、道路交通に危険を生じさせる恐れがあった(交通の危険の恐れ)、または実際に道路交通に危険を生じさせた(著しい交通の危険)とみなされた場合に成立し、免許取り消しなどの厳罰が課される。

意図せず加害者となりやすい違反としては、(3)車間距離不保持、(4)進路変更禁止違反、(5)追越し違反、(6)減光等義務違反、さらには様々な行為が該当する(8)安全運転義務違反だ。

たとえば、(3)車間距離不保持に関しては高速道路で発生しがち。バイクはライダーから車体最前部が近いため「まだ大丈夫」と思って車間距離を詰めてしまう傾向がある。前走車からすると、バックミラーに大きくライダーが映るため、引き離したいという心理が働きアクセルを踏み込むが、後ろのライダーも一定の距離でついていくという、ありがちな場面だ。日常的にこういう運転をしていると、ある日突然、警察から電話がかかってくることになりかねない。10類型を心に留めてバイクを運転してほしい。

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夜間走行では(6)減光等義務違反に注意。近年はLEDを採用した車両も増え、ロービームでも前走車のドライバーはかなり眩しい。夜間は前走車を意識して、車間距離をさらに長く取ろう。

妨害運転罪とは何か、正しく理解するための本特集「あおり運転”加害者誤認”回避マニュアル」。次ページでは妨害運転罪に関する警察側の見解を紹介する。


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