●取材/文:ヤングマシン編集部(輪:田中淳磨)
「バイク駐車場は今どうなっているんですか? 増えているんですか?」と聞かれることが多い。新型コロナ禍にあって、密を避けての通勤/通学といったバイク需要からの質問である。特に駐車場環境の現状と、課題として何が求められているのかを整理したい。
「駐車場をここに作ってほしい」というニーズを行政や事業者に届けたい
バイク駐車場は間違いなく増えているが、大きく報じられることがなくなった。2輪車業界が要望していることは、具体的には以下の2つだ。
- 駐車場整備に向けた働きかけ:駅前の駐輪場に125ccまで停められるようにするなど、主に自治体等への規制緩和
- 自動二輪車等に配慮した駐車規制の見直し:駐車禁止場所における「二輪を除く」を増やす等
’18年4月に警察庁交通局から全国の都道府県警に向けて「自動二輪車等に係る駐車環境の整備の推進に掛かる通達」が発出された時は「取締りが緩くなる!」と騒がれたが、実感できているのは、配達業務等にバイクを使う事業者ぐらいだろう。
現状の課題として、方向性は2つある。
- 駐車場がなぜ増えないのか?
- なぜ取締りが緩和されないのか?
前述したように、バイク用駐車場は増えている。ただし、附置義務を受けた自治体や商業施設が公有地や敷地内にどんどん増やしているわけではない。増えているのはバイク駐車場ではなく”バイク用駐車スペース”と呼ぶべきものだ。本連載でも取り上げている予約制時間貸し駐車場のアキッパやパラカといった事業者が、予約から支払いまでをネットで済ませられる予約制駐車場としての契約数を増やしているのだ。
では、いわゆる箱モノ的な駐車場はなぜ増えないのか? それは、自治体や商業施設、民間駐車場事業者らに「ライダーやバイク利用者からの要望がない」と認識されているからだ。自治体の放置駐車対策は今やほぼ自転車メインで動いている。駅前や繁華街からバイクが一掃されたためだ。駐車場法の改正、取締りの民間委託が成された’06年以降、しばらくは行列ができていたバイク駐車場もいまや赤字を抱えるような状況である。東京都心でもバイクの数はあからさまに減っており、都心にバイクで行かないことがもはや当たり前となっているような状況なのだ。
一方、全国の2輪車駐車違反件数を見ても、’07年の52万件をピークに減少を続け、’19年は11万件(前年比9%減)である。これは取締りが緩くなったのではなく、東京/神奈川/大阪といった大都市部におけるライダーやバイク利用者の意識が変化したと見るべきだ。それはもちろん消費者マインドに直結するため、スクーターの販売台数は右肩下がりということになる。
今もっとも必要なのは、行政や駐車場事業者に声を届けることだ。日本二輪車普及安全協会/アキッパ/パラカはそれぞれに駐車場を作ってほしい場所を集めている。こうしたものを”見える化”してまとめ、要望活動に活用することも求められているだろう。
バイク駐車場 設置に関する各社/団体の要望フォーム
上で触れた通り、行政や駐車場事業者では「ここにバイク用駐車場作ってほしい」という要望を集める活動も行われている。ここでは、日本二輪車普及安全協会/アキッパ/パラカのリクエスト方法を紹介する。
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