カワサキから続々と発表されているNinja H2、Ninja H2SXといったスーパーチャージャー搭載車。このほど登場したZ H2はその末弟であり、そして“Zシリーズの親玉”ともいえる存在だ。後編では、兄貴分2車と方向性や性格はどのように違うのか?ヤングマシンメインテスター・丸山浩がサーキットアタックで比較する。そこで見えた素顔は……やっぱりとんでもないものだった。
カワサキから続々と発表されているNinja H2、Ninja H2SXといったスーパーチャージャー搭載車。このほど登場した「Z H2」はその末弟であり、そしてZシリーズの”親玉”[…]
普段乗りは穏やかだが、トラコンを切ると豹変
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Z H2の袖ヶ浦でのベストタイムは1分20秒065。前日の雨が路面に残っていたことを加味すると、ドライでも18秒台がギリギリだろうか。元々フロント荷重のあるH2&SXには一歩及ばなかった。いやいや、Zにタイムなど関係ないのだ。コーナーを立ち上がる度にアクセル全開、スーパーチャージド30cmフロントアップ加速を堪能するのがコイツの醍醐味。ワインディングも同様、コーナーは攻め過ぎずにサラッとこなし、直線で一瞬だけスーパーチャージャーを爆裂させる走りが一番心躍る。
ちなみに今回はよりリアルなテストとすべく、自走でサーキットに赴いている。スーパーチャージャーのヒュルヒュル感は4000〜5000rpmあたりから出てくるから、高速道路でも十分に堪能できる。ロードモードにすればアクセルに対するツキも穏やかなので、鋭いレスポンスに疲れることもない。かたや4000rpm以下、一般道領域だとスーパーチャージャーは鳴りを潜め、高性能直4スーパースポーツエンジンの軽やかに吹け上がる上質な回転フィールを味わえるよう造られていた。
だが忘れてはいけない、これは電子制御ありきの話。コイツは310psオーバーの化け物スペック・ニンジャH2R直系。というわけでトラコンをオフにしてみた。するとどうだ、ピーキーもピーキー、スーパーチャージャーシリーズの暴れん坊っぷりは健在だった。ピーキーといえば2ストレプリカ全盛期をイメージすると思うが、それどころではない。例えば8000rpm以下ではフロントアップにややパワーの立ち上がり不足を感じたと思いきや、8000rpmを超えた瞬間、9000rpmまでの狭い領域でいきなりズバーンとパワーが炸裂する。ウイリーも通常はアクセルワークで上がり量を調整するのだが、コイツは即座に全閉しても到底間に合わない。リヤブレーキで止めるのもギリギリ、一瞬で上がるから油断してたらアッという間にマクレてしまう。だから皆さん、絶対にトラコンOFFは厳禁!
いかにして多くの人にスーパーチャージャーの特性を楽しんでもらえるか。H2&SXとの配役の切り分けには、そんなコンセプトを受け取れる。ZH2で毎日がスーパーチャージャー、結構アリなバイクライフだと思うぞ!

【Z H2 袖ヶ浦ラップタイム:1分20秒065(最高速度:199.76km/h)】低めのセパレートハンドルを持つ兄弟車に対し、街乗りを意識したアップハンドルはフロント荷重が少なめ。タイヤのキャラクターも決してサーキット向きではない。 [写真タップで拡大]

【Z H2はコスパも光る】ホイールベースはSXがもっとも長く、H2とZ H2は同一値。エンジンも基本的には共通だが、Z H2は扱いやすくリセッティングされたSX用をベースに、出力特性をより低中速寄りに。ギヤレシオも3車で最適化されている。Z H2は200万を切る価格にも注目! [写真タップで拡大]
スーパーチャージャーを好みで選べる時代がやって来た!
H2Rでは最高出力310ps以上を発揮するスーパーチャージドエンジンも、今や電子制御でシチュエーションに合わせたキャラクター設定が可能。川崎重工のガスタービン、そして航空宇宙技術により造られた製品が、それぞれのライダーの好みや使い方に応じて選べるのだ。
デイリーユース:Z H2【365日をスパチャとともに】
ツーリングユース:ニンジャH2 SX【快適なのにH2並みに走れる!?】
スポーツユース:ニンジャH2【原理主義的最恐スパチャマシン】
●文:丸山浩 ●写真:富樫秀明
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- ニンジャH2カーボン/R, ニンジャZX-14R, スポーツ&ツーリング, 試乗インプレッション/テスト, 751〜1000cc[大型二輪], Z H2/SE, ヤングマシン(丸山浩)