カワサキから続々と発表されているNinja H2、Ninja H2SXといったスーパーチャージャー搭載車。このほど登場したZ H2はその末弟であり、そして“Zシリーズの親玉”ともいえる存在だ。後編では、兄貴分2車と方向性や性格はどのように違うのか?ヤングマシンメインテスター・丸山浩がサーキットアタックで比較する。そこで見えた素顔は……やっぱりとんでもないものだった。
カワサキ・スーパーチャージドシリーズ第3弾「Z H2」が遂に登場。'19年9月、ギュンギュン回るインペラに「Z」と映し出されたティザームービーの公開から待ちわびていた方も多いだろう。というわけで今回は[…]
普段乗りは穏やかだが、トラコンを切ると豹変
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Z H2の袖ヶ浦でのベストタイムは1分20秒065。前日の雨が路面に残っていたことを加味すると、ドライでも18秒台がギリギリだろうか。元々フロント荷重のあるH2&SXには一歩及ばなかった。いやいや、Zにタイムなど関係ないのだ。コーナーを立ち上がる度にアクセル全開、スーパーチャージド30cmフロントアップ加速を堪能するのがコイツの醍醐味。ワインディングも同様、コーナーは攻め過ぎずにサラッとこなし、直線で一瞬だけスーパーチャージャーを爆裂させる走りが一番心躍る。
ちなみに今回はよりリアルなテストとすべく、自走でサーキットに赴いている。スーパーチャージャーのヒュルヒュル感は4000〜5000rpmあたりから出てくるから、高速道路でも十分に堪能できる。ロードモードにすればアクセルに対するツキも穏やかなので、鋭いレスポンスに疲れることもない。かたや4000rpm以下、一般道領域だとスーパーチャージャーは鳴りを潜め、高性能直4スーパースポーツエンジンの軽やかに吹け上がる上質な回転フィールを味わえるよう造られていた。
だが忘れてはいけない、これは電子制御ありきの話。コイツは310psオーバーの化け物スペック・ニンジャH2R直系。というわけでトラコンをオフにしてみた。するとどうだ、ピーキーもピーキー、スーパーチャージャーシリーズの暴れん坊っぷりは健在だった。ピーキーといえば2ストレプリカ全盛期をイメージすると思うが、それどころではない。例えば8000rpm以下ではフロントアップにややパワーの立ち上がり不足を感じたと思いきや、8000rpmを超えた瞬間、9000rpmまでの狭い領域でいきなりズバーンとパワーが炸裂する。ウイリーも通常はアクセルワークで上がり量を調整するのだが、コイツは即座に全閉しても到底間に合わない。リヤブレーキで止めるのもギリギリ、一瞬で上がるから油断してたらアッという間にマクレてしまう。だから皆さん、絶対にトラコンOFFは厳禁!
いかにして多くの人にスーパーチャージャーの特性を楽しんでもらえるか。H2&SXとの配役の切り分けには、そんなコンセプトを受け取れる。ZH2で毎日がスーパーチャージャー、結構アリなバイクライフだと思うぞ!
【袖ヶ浦フォレストレースウェイ】都心からのアクセスに優れ、走行会や試乗会などで多用される全長2436mのサーキット。全14のコーナーは低速~高速まで多彩な設定だ。■住所:千葉県袖ケ浦市市林348-1 ■TEL:0438-60-5270
【DATALOGGERデジスパイスⅢ】タイム計測には超小型GPSロガーのデジスパイスを使用。車両に貼り付けるだけで速度変化や位置座標が計測可能。●価格:4万3200円
スーパーチャージャーを好みで選べる時代がやって来た!
H2Rでは最高出力310ps以上を発揮するスーパーチャージドエンジンも、今や電子制御でシチュエーションに合わせたキャラクター設定が可能。川崎重工のガスタービン、そして航空宇宙技術により造られた製品が、それぞれのライダーの好みや使い方に応じて選べるのだ。
デイリーユース:Z H2【365日をスパチャとともに】
ツーリングユース:ニンジャH2 SX【快適なのにH2並みに走れる!?】
スポーツユース:ニンジャH2【原理主義的最恐スパチャマシン】
●文:丸山浩 ●写真:富樫秀明 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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