洗練はされていても簡単には扱えない
とは言うものの、丸山さんが袖ヶ浦フォレストレースウェイでタイムアタックした時のGPSデータを見ると、彼自身も「悪戦苦闘した」と言っているように、1コーナーや3コーナーの進入でS1000RRよりブレーキングポイントを遅らせてタイムを稼ごうとしているのが見受けられ、決して楽にタイムを出したわけではなさそうです。この取材時のように路面温度が低くタイヤグリップが悪い状況では、特にエンジンの扱いやすさが重要ですが、RR-Rはそこが少し犠牲にされている可能性もあるのかもしれません。
あ、”犠牲にした”という表現は良くないですね。優秀な技術者たちが精一杯やっていて、犠牲にしようなどとは思っていないはずですから、「課題が残っているかも」くらいの表現にしましょう。丸山さんの「中上級者向け」という言葉にもそんな意味を感じるわけですが、実際問題、ここまで馬力のある乗り物を簡単に乗りこなせるわけがないので、あまり問題視する気はありません。
一方、路面温度やタイヤなどが良い条件で走った時に、やはりタイムを出しにくいとなると問題でしょうから、今後のテストやレースの状況は注視したいと思います。今はただ、これだけの最高出力があるエンジンを載せたマシンをよくぞホンダ品質で量産できるレベルに仕上げたものだと、RR-Rのエンジニアを称賛したい気持ちでいっぱいです。
●解説:エンジニ屋 ●写真:真弓悟史、ホンダ
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