極上の乗り心地に軽快感も際立つ

ダンロップ ツーリングラジアルタイヤ「スポーツマックス ロードスマートⅣ」新旧比較

ダンロップのツーリング向けラジアルタイヤ「スポーツマックス ロードスマート」が5年ぶりにモデルチェンジ。 基本性能だけでなく操る楽しさもアップしているという「ロードスマートⅣ」の実力を、前モデル「ロードスマートⅢ」との比較から探る。


●まとめ:大屋雄一 ●写真:山内潤也 ●取材協力:ダンロップ ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

ダンロップのツーリングラジアルタイア「スポーツマックス ロードスマート」が5年ぶりにモデルチェンジし、ついに第4世代へと突入した。プレス向けの試乗会は宮崎県のワインディングロードで行われ、私はヤマハ FJR1300ASを始め、カワサキ Ninja1000、ホンダ CB1300スーパーボルドール、スズキ SV650の4機種で前作ロードスマートIIIとの比較試乗を行った。なお、当日の天候は曇りで一日中寒く、気温は6〜8℃であったことを先にお伝えする。

【DUNLOP SPORTMAX ROADSMART IV】●価格:オープン

ロードスマートは’07年に登場し、’11年にII、’15年にIIIへとアップデートしてきた。今回、ダンロップ主催の試乗会では、Ⅳの進化ぶりを知るためにIIIを装着した同一車両が用意され、同じ条件で比較することができた。

まずはロードスマートⅢの印象から。FJR1300ASとニンジャ1000において、走り始めのまだタイヤが冷えている際、わずかにフロントの切れ込みを感じたが、それは一瞬だけであり、バイクの傾きに対してリニアに旋回するフィーリングや、段差を通過する際の優れたショック吸収性など、いずれも好ましく感じた。

この良い印象を持ったまま新作のロードスマートIVを履いた各車に乗り換えると、走り始めた瞬間から驚きが連続する。まずは乗り心地の良さだ。ケーシングが第二のサスペンションとして機能しているのが手に取るように分かるようで、特に減速帯を通過する際はまるでモッツァレラのように衝撃を包み込んでしまう。IIIとは次元が異なるといっても過言ではない。

ハンドリングは、前作よりも明らかに軽くなってはいるものの、決して軽薄ではなく、ビッグバイクであれば相応の手応えを残しつつも自然に反応し、フルバンクに至るまでの動きもスムーズだ。ツーリングの後半で疲労が溜まってくると、ハンドルの逆操舵すら億劫になってくるというライダーにとって、この自然な軽さは大いに歓迎されるはずだ。

触って冷たいと感じるほど路面温度は低かったものの、走り始めから十分な接地感が伝わり、グリップ力についてもまったく不満がなかった。これについてはIIIも同様ながら、IVはソフトなケーシングによってさらに接地感が高まっており、その分だけ安心できるのだ。これもツーリングにおいては大切な要素の一つであろう。

ダンロップによるとライフはフロントで23%、リヤは26%も高まっているとのこと。ツーリングタイヤに迷っている方は、ぜひお試しあれ。

ダンロップ スポーツマックス ロードスマートⅣ

[△]高剛性な重量車ほどⅢとの差異が明確に

IIIとIVの体感的な差が大きかったのはNinja1000で、これにFJR1300AS(GTスペックを装着)、CB1300SB、SV650が続く。タイヤ依存度が大きいであろう重量車ほど違いを感じやすいようで、SVではIIIも乗り心地は悪くなかった。

[こんな人におすすめ]特に乗り心地で抜きん出ており、試す価値は大だ

タイヤメーカー各社が注力しているツーリングラジアルは秀作揃いであり、シリカの高充填が可能になったことで低温時やウェットでのグリップ力は飛躍的に高まった。ゆえに性能が拮抗しているのだが、乗り心地についてはダンロップが一歩リードか。

フロントはIIIの7種類から5種類へ、リヤは12→10種類へとサイズバリエーションを整理。すべてのサイズで実車テスト済みとのこと。

〈技術解説資料〉ロードスマートIVの進化ポイント

POINT-1:軽やかなハンドリングを実現

ダンロップ独自のC.T.T.(キャンバースラスト チューニング テクノロジー)により、フロント、リヤともにプロファイルを一新。フロントは幅をわずかに狭くし、ラウンド形状を尖り気味に。これに対してリヤは大径化によってラウンドを緩やかに。加えてフロントの直立時のパターン剛性を低減することで、従来よりも軽快なハンドリングを実現。レーンチェンジが快適になり、峠道での楽しさも向上した。

POINT-2:吸収性、乗り心地を大幅に改善

フロントはスチール素材によるHES-JLBから、よりしなやかなアラミドJLBに変更。変形の範囲を広くすることで路面の凹凸追従性を向上。一方、リヤはカーカスラインのRを大きく取るIPT(インパクト パーリー テクノロジー)を採用し、タイヤ全体が上下方向にたわむことでギャップ吸収性をアップ。

POINT-3:偏摩耗抑制などで耐久性向上

タイヤの偏摩耗は接地面の中央と端で進む距離が異なることが原因とされる。これを抑制するために、排水溝の抜け角度を浅くしたり、細溝化やその溝の断面角度を変更するなどして、接地端のトレッド剛性を向上。これにより偏摩耗を抑制し良好な操安性を持続。

POINT-4:シリカ比率を高めWET性能UP

フロント、リヤともにシリカ充填比率を従来比150%に高めた新コンパウンドを採用。フロントとリヤのショルダーはポリマーにスチレン基を増量し、ウォームアップ性とグリップを向上。リヤセンターは結合力の高い耐熱高反応結合材を採用することで、シリカとポリマーの化学結合が強固になりライフ向上。

(補足)ストレスや疲労も低減される!?

前作のロードスマートIIIの開発時に採用された疲労テストを、新作のIVでも実施。これは被験者の心拍変動から交感神経と副交感神経のバランスを数値化し、ストレス度を評価するもので、一般道とテストコースの両方において科学的に疲労低減効果が証明された。

この実験を担当した小泉淳一・横浜国立大名誉教授も試乗会に駆け付けた。疲労は身体の活動能力の減衰状態と定義されているという。

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