Vストローム、ヴェルシス

’20新車バイク総覧〈大型アドベンチャー&オフロード|国産車#4/4〉スズキ カワサキ

オンもオフも、街乗りもロングツーリングもを楽しめるアドベンチャーモデルは、近頃特に勢いのあるカテゴリー。本ページでは全面刷新したスズキのVストローム1050/XTとその弟分・Vストローム650、カワサキのフラッグシップ・ヴェルシス1000SEの3台を紹介する。

スズキ Vストローム1050/XT:怪鳥のDNAを注入、快適性を高めつつオフテイストも強化

スズキのADV旗艦「Vストローム1000」は、’02年の初代から欧州を中心にアルプスローダーとして人気を博してきた。’14年には新設計1037ccVツインや同社初となるトラクションコントロールで進化。そして’20年型は、強化した電子制御と、’88年登場の名車DRビッグ(DR750S)風のデザインで新風を吹き込む。ライドバイワイヤの新採用よりスロットルボディを45→49mmに大径化したことで、ユーロ5に対応しつつ7ps増を達成。車名は「1050」に改めた。合わせて、3段階式トラクションコントロールと連動する走行モード×3パターンも獲得している。外観はオフテイストを強めたが、スタンディングしやすいタンク形状やワイドステップなど走りの部分もオフを考慮した。さらにXTグレードにのみ専用の電脳システムを満載。従来XTはスポークホイール車の位置付けだったが、新型から明確に上級仕様として設定される。

V-STROM

【’20 SUZUKI V-STROM 1050 XT HERITAGE SPECIAL】 ■水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブ 1037cc 108ps/8500rpm 10.2㎏-m/6000rpm ■247kg(装備) シート高850-870mm 20L ■タイヤF=110/80R19 R=150/70R17 ●YM予想価格:160万円前後 ●発売予想:’20年8月頃

XTは3色設定。’88パリダカ出場マシン=DR-Z風の特別色がヘリテージスペシャル。レーサーRM-Z系の黄色、STDと同じ黒が選べる。

V-STROM

「The Master of Adventure(冒険の達人)」をコンセプトに、450点以上ものパーツを刷新。元祖“クチバシ”デザインであるDRビッグ風の外装とLEDヘッドライト、高効率ラジエター&水冷オイルクーラーなどを与えた。フレームやフル調整式の前後KYBサスなどは基本的に従来型を踏襲。サス設定は柔らかめに変更している。

V-STROM

従来はアナログタコ+液晶だったが、フルパネルのモノクロ反転液晶タイプを投入。円形に集約したモード表示や、タコ中央のギヤ段数などスタイリッシュかつ直感的なレイアウトを与えた。左側にはUSB電源も設置。

スズキ Vストローム1050XT

スクリーンは風洞実験で形状を決定。無印では工具を用いて3段階に、XTはさらに50mm広い範囲を工具不要で11段階に調整できる。

V-STROM

XTは、シート下のスペーサーを使って高さを850→870mmに変更可能。このシートはSTDにも換装できる。

Vストローム1050:無印はシンプル装備で11kg軽く、価格も期待

ワイヤスポークホイールのXTに対し、キャストを履くSTD。サスやタイヤ(BS製アドベンチャーA41)は同一だ。車重はXT比で11kg軽い236kg。カラーは、白、灰×黒がSTD専用で、黒と合わせ3色設定。国内仕様の価格は未発表だが、装備が大きく変わるため、XTよりかなり安価になりそうだ。なお電子制御を除き、多くの部品はSTDにも装着できる模様。

スズキ Vストローム1050

【’20 SUZUKI V-STROM 1050】●YM予想価格:150万円前後 ●発売予想:’20年8月頃

スズキ Vストローム650/XT:シリーズ中堅モデル

Vツイン645ccのミドルアドベンチャーモデル「Vストローム650/XT」。電子制御は2段階+OFFのトラクションコントロールやABSのほかに、スズキおなじみのローRPMアシストやスズキイージースタートシステムを搭載。上級版のXTはアンダーカウルやナックルガード、それにワイヤースポークホイールを採用し、より本格的なスタイルになっている。ホイールサイズは、全車ともF19&R17インチだ。

V-STROM 650
【’20 SUZUKI V-STROM 650 XT】■水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 645cc 69ps 6.2kg-m ■212kg(装備) シート高835mm 17L ●予想価格:96万8000円 ●発売予想:’20年春頃
V-STROM 650
【’20 SUZUKI V-STROM 650】 ●予想価格:92万4000円 ●発売予想:’20年春頃

カワサキ ヴェルシス1000 SE:電子制御サスを持った最上級アドベンチャー

Ninja1000と同系の1043cc並列4気筒を持つアドベンチャースポーツ「ヴェルシス1000SE」。日本仕様としてラインナップされているのは、セミアクティブの電子制御サス=KECS(カワサキエレクトロニックコントロールサスペンション)を装備した上級版のSEのみだ。このKECSは、KTRC(カワサキトラクションコントロール)やKIBS(カワサキインテリジェントアンチロックブレーキシステム)とともに、IMUによる車体姿勢データを元にしたKCMF(カワサキコーナリングマネジメントファンクション)として統合制御され、高度な走りを実現。スマホとの連携機能も持っている。さらにKECSとは別に、電子制御リヤプリロード調整機構を搭載。「ライダーのみ/ライダー+荷物またはタンデムライダー/ライダー+タンデムライダー+荷物」の3モードが選択可能だ。’20では灰×黒の新色となった。

カワサキ ヴェルシス1000SE

【’20 KAWASAKI VERSYS 1000 SE】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 1043cc 120ps/9000rpm 10.4kg-m/7500rpm ■257kg(装備) シート高820mm 21L ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:190万3000円 ●販売中

ショーワのEERA技術をベースとする電子制御サスペンションのKECS。路面の状況に合わせリアルタイムで乗り心地を調整してくれる。

カワサキ ヴェルシス1000SE

非接触式のクイックシフターが、素早いシフトアップ/ダウンによるスムーズな加速/減速を可能にして、爽快な走りを楽しませる。

カワサキ ヴェルシス1000SE

【スマホとも連動】指針式タコメーターの横にフルカラーの大型液晶パネルを装備。ここではスマホアプリ「RIDEOLOGY」との連携で電子制御システムの各種設定なども行えるようになっている。

カワサキ ヴェルシス1000SE

【スクリーン高はノブで調整】スクリーンは内側の2つのノブを仕様し、シートに座ったまま簡単に上下55mmの範囲で無段階に高さを調整することが可能だ。

(左)SEには、車体の傾きに応じて照射範囲の変わる3段階コーナリングライトが標準装備。カウルサイドの左右に組み込まれている。(右)高剛性のリヤフレームは、純正アクセサリーのパニアケースとトップケースを同時に取り付けることが可能。高い積載能力を誇る。

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