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’20年にて創立75周年を迎えるイタリアの至宝・MVアグスタは、同年は既存モデルのSTDバージョンや、過激ファクトリーカスタムなどをラインナップ。さらに、ナゾに包まれていた新作350cc計画が見えてきた。一気に3機種を投入するのではないかというまさかの新展開だ!
EICMA会場のアクリル板展示の正体やいかに?!
MVアグスタは’19年7月、中国の大手メーカー・ロンシンと長期戦略的パートナーシップ契約を結び、350~500㏄の排気量帯でニューモデルを開発すると発表。「’21年末までにアグスタのディーラーから計4モデルが発売される」とアナウンスがなされた。それ以降は新たな動きはなかったが、EICMA2019のMVアグスタブースで計画の一端を垣間見ることができた。
……と言っても、詳細は一切明かされず、 シルエットを型取ったもので3車のアウトラインが示されたのみ。その3車とは、フルカウルスポーツ=F系、スラントしたヘッドライトを持つネイキッド=ブルターレ系、アップフェンダー+ロングサスにゼッケンプレート風の顔を与えたスクランブラー系のモデルだった。この輪郭が正確に市販車をなぞったものかは不明だが、少なくとも、この3ジャンルに新作を投入するのは間違いないだろう。
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〈予想1〉ブルターレ350?!
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スラントした顔にアップハン、筋肉質なタンクとショートテールのアクリル板展示シルエットは、ブルターレと瓜二つだ(写真はブルターレ800)
〈予想2〉F2 350?!
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フルカウルで垂れ角のあるハンドルを装備。F4やF3と同様、尖ったノーズとダクト風の形状が見て取れる(写真はF3 675)
〈予想3〉350スクランブラー?!
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ロングサスに高いハンドルなど、イマ風スクランブラーのフォルム。往年の350版をトリビュート?(写真は’74 350スクランブラー)
排気量に関しては「350㏄」と会場で発表されたが、気筒数などの詳細はこれまた不明だ。『ヤングマシン』本誌が予想するのは2つ。まず可能性が高いのは、ロンシンのスポーツモデル=GP300などに搭載される水冷292.4cc単気筒のスープアップ版だ。馬力は28.6㎰なので、排気量アップなどで30㎰台中盤まで上げてほしいところ。
理想としては完全新設計だが、そこまでコストを割く可能性は低そう。夢があるのは、現行F3などが積む675cc3気筒の活用だ。このボア&ストロークをダウンして、排気量を半分程度にするというもの。675ccの内径79×行程45.9mmに対し、ボアのみ56mmまで下げれば339.1ccとなり、コストを抑えつつスモール3気筒が実現できる……と妄想が膨らむ。
WGP常勝オマージュの3気筒スモールを熱望!
MVアグスタは、’60年代のWGP350ccクラスに世界初の4スト3気筒マシンを投入し勝ち続けた。そのイメージを重ねた現代のモデルにロマンを感じる者は多いハズ。いずれにせよコストで競争するのではなく、アグスタらしいアツいモデルを本誌は熱望する!
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【’74 MV AGUSTA 350S】アグスタの350は、WGPに加え、市販車でも一世を風靡。’70年代に4ストOHVパラツインの350㏄マシンを続々とリリースした。
ブルターレ1000RR:STD仕様も絶倫208ps堅持&車重キープ
2019年、限定300台で登場したシリーズ最高峰のブルターレ1000セリエオロ(国内価格605万円)。これをベースとするSTD仕様が追加された。シンボルであるラジエターのウイングレットを踏襲しつつ、ホイールをカーボン→アルミ製に変更するなどコストを抑制。一方で馬力や車重はセリエオロと同一としている。
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【’20 MV AGUSTA BRUTALE 1000 RR】■水冷並列4気筒DOHC4バルブ 998cc 208ps/13000rpm 11.9kg-m/11000rpm ■重量186kg(乾) 6速 ■タイヤF=120/70ZR17 R=200/55ZR17
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TFT液晶メーターをはじめ、IMU、シフター、電制オーリンズなどはセリエオロ譲り。STDと言えど十分過ぎるほど豪華だ。
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スーパーベローチェ800:STDとしてシンプル化しても流麗フォルムは不変
’19年にデビューし、ネオレトロSSという新ジャンルを構築したスーパーベローチェ。世界限定300台が完売する人気ぶりを示した。新投入するSTDグレードは、華麗なスタイルはそのままに、往年のWGPマシンを模した2+1本出しメガホンマフラーを右3本出しに変更。最高出力は152→148hpとした。
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【’20 MV AGUSTA SUPERVEROCE 800】 ■水冷並列4気筒DOHC4バルブ 798cc 148ps/13000rpm 8.97kg-m/10600rpm ■重量173kg(乾) 6速 ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17
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カラー液晶や4種類の走行モードは同様。カウルの材質やホイールを変更し、タンク上の革ストラップなどを廃止した。
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過激ファクトリーカスタムも見参
ラッシュ1000:ホイールカバーが強烈なブルターレ改
ブルターレ1000RRをベースにした謹製カスタム。ハイライトは、リヤに装着されたカーボン製ホイールカバーだ。空力特性を向上するのに加え、強烈なルックスまで両立する。コーナリングランプを備えた丸眼LEDヘッドライトも特徴だ。
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BLACKOUT2.0:Vスペシャルのドラッグスター改は勢い余って前方排気!
イタリアのパーツメーカー・バルターによるカスタムブランドがVスペシャルだ。アグスタのドラッグスター改「ブラックアウト2.0」では、驚異の前方排気マフラーを装着。アンチプレッシャーシステムなる機構で常識を覆す!
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