航続距離はそれぞれ87キロ/43キロ

【70万円台で法人向け販売】原付一種/二種の2バージョンとなったホンダのベンリィe: は電動バイク普及の足掛かりになる?

  • 2019/12/23
HONDA BENLY e:

新聞配達やピザデリバリーなど、毎日の各種集配業務に向けて「毎日のデリバリーにちょうどいい ビジネス e:スクーター」をコンセプトとしたビジネス電動バイク「BENLY e:(ベンリィ イー)」が2020年4月に販売開始される。モバイルパワーパック(交換式バッテリー)と充電器が各2個付属するという。

リース販売のPCXエレクトリックの次は、ビジネス電動バイクを法人向け販売

年間販売計画台数200台とされることからもわかるように、このベンリィe:/プロは、ホンダがメーカーとしてすぐに採算を取れるというたぐいのモデルではない。ホンダが今までに販売してきた電動バイクはと言うと、1994年に原付一種の「ホンダCUV ES」そして2010年に同じく原付一種の「EV-neo(イーブイ ネオ)」、さらに2018年11月に発売された「PCX ELECTRIC(エレクトリック)」が挙げられるが、いずれも法人や個人事業主を対象としたリース販売だった。

ベンリィe:では、これが法人向けとはいえ市販化されたことがまずはトピックだ。価格は73万7000円~74万8000円と、原付一種/二種のビジネスバイクとして考えれば高額だが、PCXエレクトリックがリース販売開始となった時点で「市販するなら70万円台」と言われていたことから、このモバイルパワーパック搭載モデルの価格はそのぐらいが妥当なようだ。

車両価格の中でモバイルパワーパックが占める割合は未発表だが、ガソリンエンジン版が24万2000円~30万300円ということから考えると、2セットずつ付属するモバイルパワーパック&専用充電器の価格は、1セットあたり15~20万円程度と考えられる。

日本4メーカー共通のバッテリー規格はホンダが主導権?

気になるのは、2019年4月に発足が発表された「電動二輪車用交換バッテリーコンソーシアム」(関連記事参照)の存在だ。これは日本のバイクメーカー4社が日本国内における電動二輪車の普及を目的として立ち上げた協議体で、4メーカーがバイク用根幹式バッテリーの統一規格を定め、無駄なくスピーディな車両開発の実現を目的としたもの。「VHSとベータ」や「SDメモリーカードとメモリースティックほか」のような規格乱立が市場に混乱を招くことを未然に防ぐ狙いもある。

バッテリーの仕様、つまり大きさと形状、ジャックの形、電圧などを決め、あとの車両開発は各メーカーに委ねる動きになっていくはずだが、このコンソーシアムについては特に続報がない。となれば、先行して市販化に漕ぎつけたホンダのバッテリーが統一規格の有力な候補となるのは間違いないだろう。ヤマハが2019年秋の東京モーターショーで発表したE01/E02という2台のコンセプトモデルも原付一種および原付二種を想定したものだったが、これが市販化に結び付いた際にどのようなバッテリー規格となっているのかは興味深い。

ちなみに、2017年3月には「ホンダと日本郵便が電動車両による郵便配達に向けた協業を検討」と発表されているが、こちらについてはホンダ4億台達成(関連記事参照)の発表会場で質問が飛び、回答は「研究中であり、現段階で特に発表できるものはない」とのことだった。

HONDA BENLY e:シリーズ

2020年4月からの販売開始予定を発表されたベンリィe:シリーズは、原付一種の「BENLY e: Ⅰ(ベンリィ イー ワン)」と原付二種の「BENLY e: Ⅱ(ベンリィ イー ツー)」をラインナップし、それぞれに大型フロントバスケット、大型リヤキャリア、ナックルバイザー、フットブレーキを標準装備した「BENLY e: I プロ」と「BENLY e: II プロ」をタイプ設定する。IとIIのスペック上の違いはモーターだけであり、価格が原付一種/二種で変わらないのは面白いところ。

動力用電源には、前述の着脱式バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」を2個使用。定格出力0.58kw(最高出力3.8ps/3000rpm)のベンリィe: Iは1充電あたりの走行距離87km、定格出力0.98kw(最高出力5.7ps/3900rpm)のベンリィe: IIについては、1充電あたり43kmの走行距離となる。ストップ&ゴーでも等速巡行でも航続距離に変化が少ないという電動バイクの特徴を考えれば、デリバリー業務には十分な性能を確保している。これに着脱式で交換可能なバッテリーという特徴を組み合わせ、拠点に戻ったら充電済みのバッテリーに差し替えて再び発進という使い方で、経済的かつ不自由なく業務を遂行できるはずだ。

この車両のコンセプトモデルは2019年春の東京モーターサイクルショーで発表され、同年秋の東京モーターショーでは3輪のジャイロe: とともに“参考出品車”として展示された。ジャイロe: はベンリィe: とシステムや車体まわりに共有している部分も多く、こちらの市販も待たれる。

BENLY e: I HONDA 2019
BENLY e: I(ロスホワイト) ●価格:73万7000円
BENLY e: I  PRO HONDA 2019
BENLY e: I プロ(ロスホワイト)  ●価格:74万8000円

【BENLY e: I/プロ】主要諸元■全長1820[1840] 全幅710[780] 全高1025[1050] 軸距1280 シート高710(各mm) 車重125[130]kg■EF07M・交流同期電動機 定格出力0.58kw 最高出力3.8ps/3000rpm 最大トルク1.3kg-m/2000rpm 変速機なし 1充電走行距離87km■タイヤサイズF=90/90-12 110/90-10 ※[ ]内はプロ

BENLY e: II HONDA 2019
BENLY e: II(ロスホワイト)  ●価格:73万7000円
BENLY e: II  PRO HONDA 2019
BENLY e: II プロ(ロスホワイト)  ●価格:74万8000円

【BENLY e: II/プロ】主要諸元■全長1820[1840] 全幅710[780] 全高1025[1050] 軸距1280 シート高710(各mm) 車重125[130]kg■EF10M・交流同期電動機 定格出力0.98kw 最高出力5.7ps/3900rpm 最大トルク1.5kg-m/1500rpm 変速機なし 1充電走行距離43km■タイヤサイズF=90/90-12 110/90-10 ※[ ]内はプロ

HONDA BENLY e: 2019
[左]Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)/[右]専用充電器

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