エンジンユニットと車体は一緒、これでナニが変わるの!?

【動画あり・手頃価格の4気筒】CBR650R vs CB650R 試乗比較インプレッション #01[CBR編]

  • 2019/6/16

プラットフォーム戦略なるバイク造りが流行っている。エンジンや車体の基部を共有化し、ネイキッドやフルカウルといったマシンを作り分ける手法だ。でも本当に作り分けられているの? そのキャラクターは!? 同門対決と洒落込んで、丸山浩が同門たちの個性をつまびらかにしていくぞ!

●テスター:丸山 浩 ●まとめ:谷田貝洋暁 ●写真:岡 拓

まずは2台のおさらい:共通の車体とエンジンで吸気とハンドルが異なる

エンジンは、従来のCBR/CB650F系のエンジンから、直4らしい吹け上がりの良さを追求。具体的にはピストン形状を見直すことで圧縮比を0.2アップした11.6へ。またカムプロフィールを変更で吸排気バルブのオーバーラップタイムを増やしている。

結果、最高出力は90psから95psへパワーアップ。その回転発生域も1万1000回転から、1万2000回転へと引き上げられている。

CBR650RとCB650Rのエンジンユニットに違いはないが、CBRにはラムエア構造が採用されており、最高速域(230km/h)で約3kw=約4psほどのパワーアップが見込めるとのこと。この辺りが今回の対決における争点になりそうだ。

テスターは2名。丸山浩(右):2輪、4輪レースで活躍するご存知本誌メインテスター。“CB”、“CBR”の名がついたマシンに手抜きはできないと、同門たちをワインディング、街中、高速とさまざまな場所で比較検証してもらった。/谷田貝洋暁(左):記事まとめ担当。オンオフ問わず、タイヤが2ある乗り物であればとりあえず乗ってみがる乗りたがり。初心者向け二輪誌の編集長だった経歴を活かし、難しくない表現でバイクを解説。

一方、車体。前作からの主だった変更点は、足まわりとシャーシ。

足まわりはフロントフォークに倒立フォーク&ラジアルマウントキャリパーを採用するとともに、アルミホイールを採用することで、前後で970gという軽量化が行なわれている。

フレームに関しても、最新の解析技術を導入して最適化が行なわれピボットプレートまわりを改変しているという。

ちなみにホイールベース、キャスター&トレールといったディメンションに関してはCBR650RとCB650Rで共通。CBR650Rのセパレートハンドル、CBR650Rのバーハンドルといった変更でキャラクターの違いを創出している。はたしてこのあたりの違いは、乗り比べにおいてどのような差異を生むのだろうか?

旧型からの変更点は多岐にわたる

【旧CB650F】当時流行したスランドデザインのヘッドライトを採用しストリートファイター風のスタイリングに。エンジンのキャラクターは中低速重視でややパンチに欠ける印象もあった。

【新CB650R】倒立フォーク、ラジアルマウントキャリパー、前後で1kg軽くなった軽量アルミホイールなど、前作に比べるとかなりスポーティな装備を手に入れた650cc直4
シリーズ。

【新CB650R】従来比でより直列4気筒らしい刺激的なフィーリングが追求されたエンジン。ユニット部分はCBもCBRも共通で、エアクリーナーボックスとその導入方法が異なる。

【新CB650R】鉄のツインスパーフレームも前作から引き継いだものの、ピボットまわりをボックス構造とすることで軽量化。シートフレームも新作されフレームまわりで約3kgのシェイプアップ。

[丸山 浩]CBR650R試乗:“手ごろな価格”ながら“ぶん回して”きっちり楽しい

都内にある編集部を出発し、常磐道を北上すること約100km。要所要所でCBR650R、そしてCB650Rに乗り換えながら、山間部のワインディングセクションを目指す旅に出てみた。

まず感じたのは、この2台のモデルが同門たる所以の648ccの直4エンジンは、そこそこよく回るということだ。高回転域に近づくほど、回るほどに速さが増していくのを感じる、実に直4らしい盛り上がりのある味付けがなされている。

具体的には8000回転を超えてから、1万回転、さらに1万2000回転とさらに伸び上がっていくなかで、二次曲線的な伸び上がり感が味わえて、これがなんとも楽しいのだ。そういう意味で直4エンジンを使っているよさはすごくよく出ている。前作のCB/CBR650の“F”シリーズのエンジンから、少しパワーを増して、レスポンスも向上。スポーツ性のあるエンジンを作り込んできているのをよく感じられた。このあたりは、もともとの“F”から“R”へと車名を変更した意味をきちんと感じる部分だ。

特にフルカウルのCBR650Rの方で、あえてこの直4エンジンを採用する意義がある。というのも明確なスポーツマインドが込められた直4エンジンのモデルを買おうとすると、現状ではCBR1000RRをはじめとした、非常に高価なモデルしかない。そこへこのCBR650Rが登場したことで、ようやく“手ごろな価格”で買えて、しかも“ぶん回して”もそれなりに楽しめるスポーツモデルが出てきたという印象だ。

“それなりに”という表現を使ったのは、エンジンそのもの実力としては、もっと伸び上がりそうな印象を受けたからだ。さらにパワーを絞り出せそうなところをある程度のところ、だいたい1万3000回転ぐらいのところでレブリミッターを利かせて、スパッと切ってしまっている。やはりエンジンの消耗度合い考慮して、コストを重視した結果だろう。ここに“RR”ではなく、“R”コンセプトが明確に現れている。

現代のスポーツバイクとしてちょうどいいところに仕上げている印象だ。(丸山 浩)

その一方で、直4の楽しさを消さないために、1万2000回転までは、キレイな伸びきり感が出るような工夫をしている。このあたりをレブリミッターとの兼ね合いの絶妙な配分で“ぶん回して楽しめる”感を出している。今思えば、このあたりの味付けに苦労したなかで出てきたのが前作の“F”のエンジンだったように思う。あまりに抑えすぎて、ちょっと伸びきり感が足りなかったのも否めなかった。今回の“R”化では、コストダウンをはかりつつも、直4の気持ち良さを残すという、非常に“ほどよい”ところにもってきたようだ。ここには相当開発陣の努力を感じる。

この路線変更は当然ながら市場の変化も関わってきていることだろう。近年は排気量を問わず“RR”系のレーシーなスタイリングがもてはやされたり、MT-07やSV650系など、このミドルクラスの排気量帯が市民権を得て層が厚くなってきたところで、ホンダが考える“今なりのスポーツモデルのちょうどいいところ”を具現化。それがカリカリの“RR”としてではなく、“R”というところに落ち着いた。そんなふうに感じるのだ。

だからこその前傾になりすぎないハンドルポジション。そして窮屈すぎないステップポジションが与えられているのだろう。高速道路では当然ながらカウルによる整流効果も出ているし、このCBR650Rとなら、日帰りのショートなスポーツツーリングはもちろんのこと、ロングツーリングだってきっちり楽しめることだろう。

[谷田貝洋暁]一般ライダー目線インプレッション

意外なほどの快適性に驚く。(谷田貝洋暁)

街乗り、高速、ワインディングで一貫して感じたのはほどよい安定感。車体に変な敏感さがないので、安心してアクセルが開けられるし、コーナリングでも車体に体を預けられる。つまりどんなシチュエーションでも力まず楽しめる気軽さがある。これだけスポーティなナリなのに、高速道路移動時の楽チンさは意外であった。ポジションも見た目ほどツラくなく、シートもコンフォートで淡々と走り続けられそうなのだ。

ライディングポジション[身長168cm/体重61kg]

ミドルクラスなりの、またがった感じの腰高感と、引き起こし時の重量を感じる。足着きは両足の腹までしっかりと接地した。セパレートハンドルだがツーリングにも行きやすい浅めの前傾姿勢となる。

ホンダ CBR650Rの車両&ディテール解説

【HONDA CBR650R 2019】主要諸元■全長2130 全幅750 全高1150 軸距1450 シート高810(各mm) 車重207kg(装備)■水冷4スト並列4気筒 648㏄ 95ps/12000rpm 6.5kg-m/8500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量15L ■ブレーキF=ダブルディスク R=ディスク タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:103万6800円~106万9200円 ●色:赤、黒

【HONDA CBR650F 2017年型国内仕様 価格:103万1400円】新開発直4エンジンを搭載したフルカウルのロードスポーツで、グローバル戦略モデルとして登場した。’17年のモデルチェンジでヘッドライトをLED化するとともに7psアップを果たした。■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 648cc 90ps/11000rpm 213kg

タイヤのチョイスが違うものの、フレーム、エンジンといった基本構成は、CB650Rと共通。最小7万5600円アップでフルカウルモデルが選べるのは嬉しいところ。

スポーティさを増した印象を受けるのは、倒立フォークとラジアルマウント、それに大胆な肉抜きと軽量化が行なわれたアルミ製ホイールを得たことによる視覚的効果が大きい。

“R”化とともに、トップブリッジ下に移設されたセパハン。上半身のポジションは若干前傾になったものの、ハンドルのたれ角も浅く、CBR1000RRのような極端なキツさはない。

スポーティなニ眼ヘッドライトとなったことで、“RR”風のデザインを得た。フロントからサイドカウルへの流れは、400ccクラスのCBR400Rよりもむしろスリム印象を受ける。

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丸山 浩

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「全国2000万人のヤングマシン読者諸君!」の呼びかけでおなじみのヤングマシン誌メインテスター。レーシングライダー出身だがユーザーである一般ライダーの目線を忘れない。