ホンダのミドルクラス直4フルカウルスポーツ・CBR650Rに引き続き、今回は兄弟ネイキッドモデル・’19 CB650Rに試乗した。動きが軽くライダーに従順で、CBRよりも元気良い走りを楽しめるこの1台、単なるネイキッド版にとどまらない、独自の走りがそこにあった。
[◯]CBRよりも元気良し。より旋回力の高いハンドリング
以前試乗したCBR650Rの記憶がまだ新鮮な状態で、ネイキッドモデルのCB650Rを試してみた。この2つのモデル、燃料タンクから後方のスタイリングは基本的に共通で、カウリングの有無と、それに伴うハンドル形状の違いしかないが、とてもベースを共有しているとは思えないほど雰囲気が異なる。この作り分けの妙は見事というほかないだろう。
ライポジは、伝統的なネイキッドとストリートファイターの中間的な印象であり、上半身が程よく前傾する。ヘッドライトを可能な限り手前に寄せたことで、視界にはほぼメーターパネルしか入らず、文字どおりネイキッド=裸になったかのような解放感だ。なお、下半身のフィット感はCBRと同様、非常にいい。
エンジンを始動し、いざスタートする。最高出力95psを公称する648ccの水冷並列4気筒はCBRと共通だが、カウルがない分だけ車重が5kg軽いこと、また風圧をダイレクトに受けることもあってか、さらに元気がいい印象だ。実はエアクリーナーボックス内の吸気ダクトがそれぞれで異なり、走りのキャラクターを分けているという。それを知ったのは試乗後のことなので、プラシーボではないはず。伸び上がりのタイミングがCBRの7000rpmよりもやや低いように感じており、このルックスに似合うエキサイティングな特性をうまく演出している。
さらにハンドリングもCBRとの違いは小さくない。どちらもニュートラルで扱いやすいが、操縦の仕方でより高い旋回力を引き出しやすいのはCBの方だ。マスの集中感とでも言おうか、無駄な慣性や重さがほとんど感じられず、まるで400ccクラスかと思うほどに動きが軽いのだ。バイク任せにオンザレールで曲がれてしまうCBRに対して、CBはどこまでもライダーに従順だ。
ブレーキの印象はCBRとほぼ変わらず、非常に扱いやすい。新開発のオイルを使用したという倒立フォークは作動性が良く、加減速時に発生するピッチングもスムーズ。これらもCBの好印象を支えている。
[△]オールマイティさではCBRに軍配が上がる
フルカウルが生む優れた防風効果や、CBと比べるとやや安定指向のハンドリングなどから、より万能的に使えるのはCBRだろう。とはいえ、街乗りや日帰りツーリングがメインであればCBの快活な走りも捨てがたく、大いに迷うところだ。
[こんな人におすすめ]兄貴分・CB1000Rよりも遊べるシーンは確実に多い
ネオスポーツカフェシリーズの頂点にあるCB1000Rは、上質ではあるもののパワーを持て余し気味だったが、このCB650Rはバランスが絶妙で、伝統の”CB”にRを付けたネーミングの意味を実感できる。スタイリングも非常にいい。
●まとめ: 大屋雄一 ●写真: 真弓悟史
※取材協力:本田技研工業
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