0-100km/h加速が6秒!の電動バイクに乗ってみた

最大航続距離270km!ジャパンクオリティの電動バイク「アディバ VX-1」試乗レポート

ADIVA VX-1

最大航続距離270kmを誇る電動バイク「アディバVX-1」が6月に発売された。しかも日本国内車両は相模原工場で組み上げられ、日本クオリティに改良して製造。0-100km/h加速が6秒という驚異的な加速性能を持っているとのこと。電動バイク追っかけタレント・近藤スパ太郎が試乗レポートをお届けする。

日本のクオリティで満足するマシンに進化!

実はこのモデル、元の車両はアメリカのバイクメーカー・ベクトリックス社の「VX-1」だ。アディバはベクトリックス社と技術提携をし、今年の6月から相模原工場で日本品質で組み上げているのが、今回紹介する「アディバVX-1」である。取材に伺った日は、防水性能と耐久性能を上げるための加工作業が1台1台に丁寧に行われていた。

【ADIVA VX-1】全長×全幅×全高(mm):2120×810×1330 ● シート高:770mm ●原動機種類:インテグラルホイールハブモーター(ブラシレスDCモーター) ●定格出力:11.0kW ●最高出力:35.0kW ●バッテリー種類・電圧:リチウムイオン電池・133V ●タイヤサイズ:フロント120/70‒14″、リヤ140/60‒13″ ●車体色:ホワイト、レッド、ブラック
【ライディングポジション】跨ってまず感じるのはシートが肉厚で座面の幅が広いこと。かと言って股下73cmというボクでも足つき性はベッタリ。車両の重心が下にあるので、236kgの車両を左右に振っても安定感がある印象。

ベクトリックスは米国発祥の電動バイクメーカーで、現在の工場はポーランドにある。VX-1は2006年に発表され、世界初のハイパワーな大型スクーターとして注目を集め、NY市警やEUの各国で公用車に採用された。日本でも2010年頃から販売されたが、当時はニッケル水素電池の搭載で、カタログ値とは違って60km程の航続距離で実用には程遠かった。その後VX-1は改良され、今はリチウムイオン電池搭載となりスペックも大幅に向上した。

アディバVX-1は、バッテリー容量が7.2、10.8、14.4(kWh)と3タイプがあり、容量が大きくなれば航続距離は伸びるが、車重が重くなり価格も上がる。一番容量が大きい14.4kWhの車両に試乗してみたが、航続距離は270kmというから当時から比べればかなりの進化。十分なパフォーマンスだと言えよう。

(1)シート下にはアルミフレームで囲われた、巨大なバッテリー収納スペースがある。バッテリーは1個が7.2kWhで、2段積むことで最大容量の14.4kWhとなるのだ。(2)車体に国際規格の200V普通充電SAE・J1772ソケットを装備しプラグインで充電。(3)1個が40kgの巨大なリチウムイオンバッテリーを車載している。

リアブレーキを握り、その後にフロントブレーキを握るとマシンは起動する。低重心設計なのと、スロットル操作がダイレクトにインホイールモーターに伝わるため、発進時の低速時の安定感がとても良い。そしてスロットルを開ければ、制限速度まで一気にフル加速する醍醐味は大型電動バイクならではの楽しさだ。 

最大の特徴は、回生ブレーキをライダーがコントロールできることだ。スロットルを全閉し、逆方向に回転させると、回生ブレーキがエンジンブレーキのように効く。慣れてくると回生ブレーキの強弱をコントロールできて面白い。しかも回生時もブレーキランプが点灯するのは良い。 停止時にスロットルを逆回転させれば後進するのも珍しい機能だ。また高速道路でも走行安定性とパワーを発揮し、90km/hからでもスロットルを開ければ一気にフル加速するパワー感には満足した。

そして7.2kWhの車両にもちょっとだけ試乗。44kgも軽いのだから、取り回しも、サスペンションの感じも、ブレーキの感覚もコッチの方が俄然いい。航続距離を取るか軽さを取るか、迷うところだろう。

回生ブレーキは減速時のバックトルクを利用してバッテリーに充電する機能で、上手く使えば蓄電量が増える。電動バイク上級者になると、回生ブレーキを上手く使って、航続距離を伸ばすことができる。

(左)高速道路も走行。高速巡航中でもスロットルを開けるとフルスピードまで一気に加速する(右)EV特有の強力なトルクと最高出力35・0kWhのパワーで、急坂でもグイグイ登る!

アディバ VX-1のディテールをチェック

逆回転で回生ブレーキと後進ができるスロットル

スロットルの動きに瞬時にモーターが反応するため、200kgを超える車重でも発進が驚くほどスムーズだ。さらに、スロットルが逆回転する珍しい構造のマルチファンクションスロットル。走行中に逆回転させると回生ブレーキが効き、停止中に逆回転させると後進させることができる。

(右)回生ブレーキの効き具合をライダーがスロットルで調整できるのはVX-1ならではの機能。

ハブモーターで軽量化!冷却対策にも工夫が…

リヤホイールに直結したハブモーターを採用することで、部品点数を最小化し、軽量化に大きく貢献。モーターには冷却フィンを設け個性的なデザインとなった。またEVバイクの頭脳部であるコントローラーの発熱の課題は、走行風でダイレクトに冷却する。

(右)黒いパイプがエアインテーク。発熱するコントローラーを走行風で冷却している。

防水性能、耐久性を日本クオリティで強化する

ベクトリックスVX-1は海外でも評価が高いが、日本ユーザーにさらに安心・満足して貰えるように、ADIVA相模原工場で車両を分解し、防水性能、耐久性を日本クオリティで高めている。特に防水性能はADIVA独自の防水機能をフレームの外側から金属プレートで挟み込んで強化している。

(右)エンジンの車両と比べると狭くはあるが、フルフェイスが収納できる広さを確保。

3連メーターのインパネ&充電接続はグローブBOXに

3連のメーターは、中央にアナログタイプのスピードメーター、左右にデジタル液晶ディスプレイを備え、車体のON・OFF状態、航続可能距離、トリップメーター、時計、バッテリー残量などが表示される。充電は200Vの普通充電「SAEJ1772 ソケット」を装備する。

(右)グローブボックスには充電口の他、USBソケットが2個備わっている!

●文:近藤スパ太郎(環境番組のパーソナリティを担当したことを機に、電動バイクの強烈なパワーにひと目ぼれする。俳優・MCの他、企画プロデューサー、芸能プロダクションSPANCHOOSの代表を務める) ●写真:輪

関連する記事/リンク

関連記事

2017年の東京モーターショーで発表された立ち乗りモビリティ・ヤマハ トリタウン。当時は単なるショー向けのモデルかと思われていたが、実はスペックや耐久性もアップし、近未来のパーソナルモビリティとして量[…]

関連記事

ペダル付きバイクのモペッド。日本では50年以上も前に流行った事があるそうだ。時を経て登場した最新のモペッドは、電動で指紋認証、軽量でコンパクトに折りたためちゃうのだ! 電動になった新感覚の「モペッド」[…]

関連記事

2015年に発売されたヤマハのオシャレな電動スクーター「E-Vino」が、人気TV番組の影響もあってか、いま話題を呼んでいる。東京都が電動バイク購入の助成金を個人も対象にしたため、ほぼ半額で所有できる[…]

YAMAHA E-vino
関連記事

電動バイクで100km以上を走るマスツーが開催された。もしかして、こんなツーリングは“国内初”じゃない? 6台が走ってもとても静かで新感覚な、異次元ツーでした! 案内人は近藤スパ太郎がお届け。今回はツ[…]

関連記事

電動バイクで100km以上を走るマスツーが開催された。もしかして、こんなツーリングは“国内初”じゃない? 6台が走ってもとても静かで新感覚な、異次元ツーでした! 案内人は近藤スパ太郎がお届けします。 […]